想い星
暑さに慣れない身体と頭だけが重い
けれど心だけはどこか水辺にいるみたい
深く眠りたいから
日中の部屋に篭った熱を放つため
北の窓を開けてゆく
庭の紫陽花を小さな水差しに活ける
夜は小さなランプだけつけて紫陽花が浮かび上がる
仄かな灯りの中で洗い物を済まして
そうして、月を見上げ 久しぶりだと想う
暑かったけど 綺麗な紫陽花と月が見られてよかったと想う
月の涙がせせらいで、月の涙が満ちてきて
わたしは紫陽花が浮かべられた水鉢の中で
涼やかに涼やかにあの鈴の音を想いながら
少しずつ涙が流れてゆく
大切と想い、流れてゆく