不老不死の漫画家
むかしむかしあるところに、絵を描くことが大好きな漫画家さんがいました。
漫画家さんの願いはただ一つでした。
「子供から老人まで楽しめる漫画を描きたい」
叶えるには時間が足りませんでした。
なぜなら漫画家さんが思い描いていた構想は壮大だからです。
そこで漫画家さんは不思議な力を使って、不老不死になりました。
出来た時間を使って、漫画に関係する全ての力を鍛え上げ、ついに漫画をネットで公開しました。
さぞかし感動しただろうとSNSで反応を見たら、驚くべき光景が溢れていました。
なんという事でしょう。誰も読んでいないのです。
漫画を完成させるのに掛けた制作期間は100年。なんと10000ページも描いていました。
人間が読み切るには壮大すぎたのです。
感動の読後感を味わえたのは不老不死の漫画家さん以外誰もいませんでした。
次に漫画を描く時は読者のことを考えて読みやすくしようと、漫画家さんは心に誓いました。