表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時雨一夜物語  作者: 白乃他人
プロローグ
3/5

既知の世界はどこにもない

 探索を始めてどのくらいの時間がたったのだろうか。変わらぬ光景、変わらぬ肌感覚、疲れない体、その他変化のないものばかりで気が狂いそうとも思えた。しかし、実際に狂乱することはなかった。少女とお互いのことを話しながら探索していたからだ。少女は学校帰りに時計を同じ不審者から受け取り、目が覚めたらここにいたこと、得手不得手、趣味なんかを話してくれた。


 それからまた長い時間が過ぎ、話すこともなくなってきていたころ、再びそれは突然現れた。

 「ちょうどいま、皆様が集まりました。よって規則3条に従い、狩りを1時間後に始めます。自分を見失った方、行先のわからない方、投げ出した方はご注意ください。ではまた1時間後に。」

 そう言って砂のようにそれは崩れる。

 「あなたはいまのどういうことかわかる?」震える声で少女が聞いてくる。

 「何も。でも今ので一つ気づいたことがある。」

 「何?」

 「私たち以外にもまだほかの人がいるということ。探して、何か知らないか聞きに行きましょう。何もしないよりましなはずです。」

 「そうだね、だったら善は急げだ。」

 そうして走り始めた。

  

 探し始めて体感20分、ついに一人、爆睡してる人を見つけた。

 「よくこの人この明るさで寝られるね。」

 「とりあえず起こして話を聞こう。」

 とりあえず体を揺らしたり、電動ベットのように上半身を起こしてみるも、起きない。むしろ鼻提灯を膨らませる余裕まで見せてくる。割るか。パアアンと風船が割れるときのような音が響く。次の瞬間、「んひゃっ。」という声とともに頭突きがとび、顔を覗き込んでいた少女のおでこにクリーンヒットした。

 「いたぁくない。ていうかここどこ。」

 寝起きくんに状況説明、自己紹介をした。

 狩りの5分前のことだ。

 

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ