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始まり
一昨日の午前10時半のことだった。
特に何か目的があるわけでもなく、近所の公園まで散歩していた。
ふと空を見上げると、いつ見ても変わらぬ星々が輝いていた。
「ねえ、そこの君。もしこの夜が明日、明けるとしたら、この世界はどんな風に見えると思う?」
声がしたほうを見ると、黒いフードを被った不審者がいつの間にかいた。周囲に他の人はいないため、私に話しかけているのだろう。
「そうですね、まず目が暗闇に慣れている人が多いので、しばらくはまともに世界を見れる人が少ない気がします。では、私はこれで。」
先へ行こうとすると、道を阻まれた。
「君は面白い視点から考えるね。新しい知見をくれたお礼にこれあげる。」
そう言って、不審者は小汚い時計を渡してきた。いらない。
「それにはね、夜明けを迎えられる力があるんだよ。明日の朝まで肌身離さず持っておくことを勧めるよ。それじゃ。」
不審者は闇に溶け込むように去っていった。
連載とはいってるが、続きをいつ書くのかは自分にもわからない