4:気合いと初勝利
始まりの街をぐるりと取り囲むフィールド、『万里新緑の平原』の序盤も序盤。俺はそこで何回かの戦闘を行っていた。そしてその全てが敗走である。
相手はこのゲーム最弱モンスターと名高い『キラーラビット』である。
敗走の理由は幾つかあるのだが・・・・・・・まぁ、一番の理由はやはりこの武器、『大鎌』だろう。
さっきカフェでモヒカンに言われた通りだ。この武器、ものすごく扱いずらい。刃が横、それも内側にあるので斬りずらい。そして長くて重い。
スキルを使えばと思って試してみたがスキル発動の隙が大きかった。
そんな訳で5連敗中なのである。
「ハァーー、ハァーー、クソッ!!確かにこの武器じゃじゃ馬すぎるだろ!!モヒカンの言う通りだわ!」
悪態を吐きながらそれでも次のエネミーを探しだす。成り行きや結果はどうであれ、一度このキャラができてしまった以上、できる限りの事はしたい。・・・・・・・アバター再構築、金かかるし・・・・ね。
そして次の敵はあっさり見つかった。その敵はいきなり後ろから襲ってきたのだ。
ソイツはいきなり地面から生えてきた、植物型のモンスターだった。えーと、名前は?
『レアエネミー』 マンイーター・プラント
・・・・なるほど、名前のまんまか。そんでレアエネミーって事はここのモンスターにしては強いのだろう。正直勝てるとは到底思えない。
・・・・・・・だがな。勝気はある。奴は植物だ。そしてその根は地面に深く根付いている。つまり奴は動けない。『キラーラビット』共と違って動かないのであれば勝てるのでは?
「フ、フフ、フフフフフ。ようやく運に恵まれてきたか・・・オラァ、覚悟しろ植物!!」
大鎌を持って走り出す。『キラーラビット』達との戦いは負け続きだったがそれでも意味はあったのだ。
その意味とは、大鎌の使い方を体で覚える事ができた事だ。小っこくて素早しっこいアイツらは良い練習台になってくれた。まぁ、勝てなかったけど。
真っ直ぐ走ってきた俺をマンイーター・プラントは蔓を伸ばして攻撃してきた。その蔓を俺は避けていく。
「ハンっ!こんな蔓に比べりゃあのウサギ共の方が何倍も早いわ!!」
俺はあっという間にマンイーター・プラントに接近する。
俺が接近すると蔓は激しくなり、さらに棘を飛ばしてきた。一つ一つの威力は低いが数が多い。俺のHPは徐々に減り始める。
足がもつれる。転びそうになる。それでも。
「うおぉぁぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
臆する事なく前へ、奴へと近づく。そして、その体を鎌の間合いに入れた瞬間、左足を前へと踏み出し、地面を強く踏み締める。そのまま体を捻り右足を前に出す勢いで全身を使って大鎌を振るう。
刃はマンイーター・プラントの体に容易く突き刺さり、深々と斬り抉る。
俺は回転の勢いに任せて鎌を振り抜いた。
マンイーター・プラントの体が光り、砕け散った。キラキラとエフェクトを残しながら。
その時、ファンファーレが鳴り響いた。
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マンイーター・プラントを討伐!レベルが5まで上がりました!
ステータスポイント40を獲得しました!
スキル《大物喰らい》を取得しました!
《大物喰らい》敵が自身よりもSTR、INT、VTR、DEX、AGIの内、2つ以上高い場合、全ステータスが2倍になる。
獲得条件:自身よりもSTR、INT、VTR、DEX、AGIの中で、2つ以上高いモンスターを倒す
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「オラキタァァァァァァァァァ!!!!!初勝利じゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ウィンドウを見ながら俺は勝利の雄叫びを上げるのだった。
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