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2: 見た目はアイドル、中身は男、まごう事なき男の娘!!

 視界を埋め尽くした光が収まり、俺の視界には石畳に木造建築の家々が飛び込んできた。そして俺の目の前には様々な装備をつけたプレイヤーたちが歩き回り、商店らしき建物には人が集まっていた。


「なるほど、これがいわゆる『始まりの街』ってやつだな。見た目は中世ヨーロッパって感じか?」


 少しづつ動きの感覚を確かめ、ゆっくり歩き出す。地面を踏み締める感触。雑踏や話し声などの音。美味そうな焼肉の匂い。全てが現実同然に感じ取れる。

 いやー、最近のVRゲームってのは凄ぇなぁ。街並みのクオリティが高すぎるぜ。それに感覚まで同じとは、恐れいるぜ!

 しばらくは街を見て回るだけでも十分楽しめそうだ。そう思って歩き続けていると声をかけられた。


「なぁ、そこの姉ちゃん!もしかしなくても初心者だな?俺が案内してやるぜ!!」


 ん?姉ちゃん?じゃあ俺とは無関係か。無視無視。関わるとロクな事にならん。

 とか思って歩いていたら後ろから肩を掴まれた。なんだぁ?と思って後ろを振り返ると俺の視界に飛び込んできたのは・・・・・・・上半身裸、筋骨隆々、頭モヒカンのまるで世紀末漫画に出てきそうな見た目の兄ちゃんだった。


「ヒッ、世紀末でバイク乗り回してるチンピラ!」


「ちょっと待て!?誰が世紀末でバイク乗り回してるチンピラだ!?初対面相手に失礼な姉ちゃんだなおい!!」


 と、怒り出すモヒカン野郎。ん?姉ちゃんって俺に言ってるの?

 アレ?ちょっと待て?そういや声が高い様な・・

 慌てて頭に手を当てる。髪の毛は・・・・長い・・・・追っていくと腰辺りまで伸びている。視線を落とすと・・・・・・・つま先が見えない。

 いや、まさか、そんな。そんなバカな事が・・・・あるはずが・・・・・・・・


「な、なぁモヒカン!俺の見た目どうなってる!?できれば詳しく!!」


「え?そりゃお前、海色の長い髪にエメラルドグリーンの綺麗な目をした・・・・・・・お嬢様?令嬢?そんな感じだな」


 ・・・・・・・・・・・・・・え?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!??!?!?!!?!?

 お、おぉぉぉ俺がお嬢様!?!?そんな、そんなまさか!!!!ありえないだろ!!!

 慌てて近くの噴水を覗き込む。そこに写っていたのは・・・・・・・まさにモヒカンが言った通り。まごう事なき完全完璧なお嬢様の姿が写っていた。 

 恐る恐ると右手を挙げてみる。すると水に写る女も同じ動きをする。こ、これは・・・・これはもう間違いない・・・・・・・・・・・


「ど、どうして・・・・・・・どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」


「な、なんじゃあ!?!?」


叫び声を上げる俺。そしてその横には訳が分からずアタフタするモヒカンの図が出来上がった。



○●○●○●○●○●



数分後



「ーーハッハッハッハ!!!!そんで?アバターをランダムクリエイトしたらそうなったと!?最高だ!最高だよ、お前!!!」


「なーにが最高じゃ!!こっちは面白くないわ!はぁ、まさかこんな目に遭うなんて・・・・・・・」


 先程の噴水近くのカフェの中。俺とモヒカンは同じテーブルに着いていた。大爆笑のモヒカンと暗い雰囲気の俺。どう見ても怪しい組み合わせである。

 とりあえずアバターをランダムクリエイトした話をしたらこの通りである。チクショウメ。そんなに人の不幸が面白いか!


「それで?ユキさんや。お前さんの不幸はわかったぜ。その調子じゃあジョブと武器までランダムでやってそうだな。聞いてやろう」


「ん?おい待て。ユキってまさか俺の事か?俺のネームはユウキだが?」


「何言ってんだ?お前のネームプレート、ユキってなってるぜ」


 え?え?え?え?まさかそんな・・・・・・・・。慌ててステータスを開く。俺のネームの欄は・・・・『ユキ』となっていた。


「う、打ち間違えかよ・・・・・・・・・・・」


 さらに大爆笑のモヒカン。まさかこんなミスをするとは・・・・。我ながら恥ずかしい。


「と、俺のジョブと武器だったな。ジョブは『宣告者』、武器は『大鎌』だ」


「せ、『宣告者』と『大鎌』!?!?」


 三度大爆笑のモヒカン。ん?なんでだ?こんな笑われるのか?


「そ、その顔じゃわからねぇって顔だな。説明してやる。まず『宣告者』って言うのはな。自身にバフ、相手にデバフを与えるスキルを持つジョブなんだ。ところが、こいつはスキル発動までの時間が長い上に効果も短い。おまけに完全上位互換の『バッファー」と言うジョブがある。『バッファー』は自身だけでなく味方にもバフをかけられるだ。が、『宣告者』は自身にしか発動しない。これだけでまず選ばれない」


「マジで?」


「マジだ。そんで次は『大鎌』か。コイツは最弱武器だな。まず要求筋力値が高い。そして扱いが難しい。さらに強化方法が全くわからない。そんな訳でこれを選ぶやつはまぁいないな。まぁ、お前さんのステフリは割と常識の範囲内だ。そこだけが救いだな」


 そう言われて俺はステータス画面を見た。そこに書いてあるのは・・・・


======================

名前:ユキ

レベル:1

ジョブ:宣告者

武器:大鎌


HP:150

MP40


ステータス

STR:50 AGI:30 VIT:10 INT:10 DEX:0


装備

武器:初心者の大鎌

防具 頭:なし

   体:初心者の服

   足:初心者のブーツ


スキル

《宣誓》 《警告》 《残響》 《スピニングエッジ》

《サイクロンリッパー》

======================

だった。

 そうか、ステータスはまともか・・・・良かった良かった。


「ま、元気出せ。折角ならアバターを作り直したらどうだ?まぁ、俺は割とそのアバター気に入ってるがな」


「はぁ?何で気に入ってんだ?」


「そりゃあよ。変に弄りすぎた形跡がなく、普通の人間そのものだからだ。後見た目。その顔とその身体つきがありゃあ文句なしだ!」


「ハァッ!?馬鹿かオメーは!大体俺は男だぞ!」


「わかってるよこんチクショウ!何でお前男なんだよ!!これが中身も女なら完璧だと言うのによぉ・・・・」


「言ったな!?とうとう言いやがったな!?!?よーし、表出ろ!!!」


「上等じゃこんにゃろぉ!!!!」


そして二人はカフェを飛び出し、噴水の前で殴り合いだすのだった。

あ、カフェは先払いです。ご安心を


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