18:これって大鎌・・・・・・・?
前回:第一回イベントが始まりました
光が収まり目を開けると、俺は始まりの街の路地裏にいた。
いや、おそらくこれがルールにあった、『始まりの街と同じ街の特別フィールド』ってやつか。
そういや物売りのNPCの声などの人が賑わう声がしない。なんかちょっとさみしいな。と言うか空が赤いぞ。良い演出だ。
と、俺が周囲の情報を確認していた時、空から声が鳴り響いた。
『みっなさーーん!!お待たせいたしました!!いよいよ、第一回イベント、バトルロワイヤルの始まりでーーす!!!わたくし、イベント実況を担当させていただきます!古町ミヨの申します!!』
おぉ、なんか可愛いキャラクターが出てきたぞ。多分今頃始まりの街(本物)は大盛り上がりなんだろうな。
『ここでバトルロワイヤル参加者の皆さんに補足説明しておきます!視界の右端っこに「20456」という数字が見えませんか? それが今のプレイヤー生存数です!
時間が経つごとにフィールドの周囲に張り巡らせた結界が小さくなっていきますよ!結界の外には出ることが出来ないので、参加者の皆さんは街の中心部を目指して移動しながら戦っていくことになります!
現在位置はマップから確認できますので、「気付いたら背中に結界が迫っていて逃げ場がない!」ということにはならないように気を付けてください!』
と、言われて確認すれば、なるほど。確かに数字が見えるな。まぁ、ただ今絶賛減ってるところだが。
さて、俺の位置は・・・・・・・あら、中心部。まいったな。こりゃ大量にキルできそうだ。
怪しい笑みを溢していると、丁度この路地裏に1人のプレイヤーが逃げ込んできた。
「うわあっ!なんでこんなところにプレイヤーがいるんだよ!・・・・・・・ん?お前の武器大鎌か!こりゃあ良い。そんな雑魚武器ならこんな場所じゃ使いずらいだろう!死ねぇぇぇ!!!!!」
と、襲ってくる。俺は大鎌を上へ持ち上げ、振り下ろす。
「甘いなぁ!《スピニングエッジ》!!!」
真空の刃が回転しながら飛び出す。ここは路地裏。横へ動く事はできないのだ。目を丸くした目の前のプレイヤーは体を縦に斬られ、消滅していった。
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モーブさんを倒しました!
ユキさんにイベントポイント+1!
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「よしよし、まずは一キル」
幸先の良いスタートに再び笑みが溢れる。というかこのイベントポイントってあれか。いろんなもの交換できるっていうあれかな?
「そんじゃ、ぼちぼち初めていきますか」
そして俺は路地裏から出て、噴水広場に向かった。そこには大勢のプレイヤーが戦っていた。俺はそこへ走りながらスキルを起動する。
「おらぁ!消し飛べてめぇら!!《サイクロンリッパー》!!!!」
竜巻が発生する。竜巻は広場にいる全てのプレイヤーを巻き込んだ。しかし、被害はそれだけでは治らなかった。俺はその竜巻の中へ入っていく。竜巻の中心へ立つと再びスキルを起動する。
「《サイクロンリッパー》《サイクロンリッパー》《サイクロンリッパー》《サイクロンリッパー》」
俺の位置からは見えないが、竜巻はどんどん大きくなっていく。
これは3日目に色々試していたら見つけた仕様だ。どうやらこのスキル、重ねがけで大きくする事ができるらしい。ちなみに、スキル発動者の俺とその味方はダメージを受けないようだ。
ただまぁ、ダメージを受けないからって中に入るのは大変なんだけどな。
そしてログが流れる。
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モリカズさんとライチさんとマリアさんとアリスさんとイゾウさんとタチバナさんとソウジさんとトウカさんとランテさんとローンさんとバルドさんと・・・・・・・・・・・処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中処理中・・・・・・・・・・・・・・処理不能 処理を省略します
10583人のプレイヤーを倒しました!
ユキさんにイベントポイント+10583!
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「ハーハッハッハッハッハッ!!!!!!!どうだお前ら見たか!!!!これが最弱武器と言われた大鎌の力だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
竜巻は消滅したので、俺の元に沢山のプレイヤー達が押し寄せてきた。全員が武器を構え、一斉に走ってくる。
だが甘い。この広場に入るには四方の橋を渡る必要がある。そしてその橋はさっきの竜巻に巻き込まれてボロボロになっている。・・・・・・・後はもうわかるな?
「甘いわぁ!!《スピニングエッジ》×4!!!!」
真空の刃が飛び出す。狙いは橋を支える柱。見事に命中する。橋は音を立てながら崩れていく。当然、その上にいるプレイヤー達を巻き込んで。
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9683人のプレイヤーを倒しました!
ユキさんにイベントポイント+9683!
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ハーハッハッハッハッハッ!!!!いやー、もう高笑いが止まりませんな。
『ユ、ユキさんの暴走が止まらないーーー!!!!こ、こんなのって一体・・・・・・・これ、本当に大鎌の戦い方なんですか!?!?』
ミヨがなんか言ってんなぁ。良いんだよ。これが俺の戦いだからな!あ、そうだ。これを聞いておこう。
「おーい。ミヨーー!!!俺以外に残ってるプレイヤーはどこだー?後何人いるーー?」
『え、あ、はい。少々お待ちを。えーと、ユキさん以外に残っているプレイヤーは・・・・・・・1人!1人です!そのプレイヤーは・・・・・・・」
ミヨがそこまで言った時、俺の真後ろの家が音を立てながら崩れ落ち、吹っ飛んだ。砂埃の中から特徴的なシルエットが浮かび上がる。
俺は笑顔を隠せなかった。だってその最後のプレイヤーは・・・・・・・
「ようユキ!お前とんでもねぇ戦い方するな!だがよ、約束通り戦いに来てやったぜ!!」
「よう!さっきので死んでないようで安心したぜ、モヒカン!!!」
そう。最後のプレイヤーは俺の親友、モヒカンだ。わかっていたぜ。お前なら生き残れるとな!
モヒカンは水場を飛び越え、広場に降り立つ。
『き、来ましたぁぁぁぁ!!!!最後の生き残り!ユリウス・フォン・マルグリットさんだぁぁぁぁぁ!!!!!!』
「・・・・・・・お前、そんな名前だったの?」
「ん?おうよ。そういや言ってなかったな」
意外な情報に驚くが、そんな事はどうでも良い。
「「それじゃあやろうか!!ラストバトルだ!!」」
プレイヤーの皆さん「こんなの大鎌じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
応援、アドバイス、アイデア等お待ちしてます