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侍女マリアの日記8

「え?」



私は呆然としてしまいました。

なぜなら、クロス侯爵様は、愛人がいてその方と再婚する予定と屋敷でも知られていることでございました。



「クロス侯爵は、ちょっとした行き違いで離婚に至ったので…まぁようするに復縁要請のための手紙だな。」



「は?」



二の句が継げないとはこのことでございましょうか、といいますか理解が追い付かないのでございます。



「…いえ、クロス侯爵様は愛…愛する方ができたので、離婚するようリネージュ様に告げておられましたので、行き違いなどは決して…」



「はぁだよなあ、ああ、めんどくせぇな。多分あれだろ。すまない、口調が乱れた。ちょっと待っててくれ。」


ガタン

そういうとナミル医師は大きい音を立てて部屋を出ていった。


なぜいまごろ?


リネージュ様には心穏やかに過ごしてほしいと私は考えております。

果たしてこの復縁…は良い縁なのでしょうか?



そんなことを考えていると、ナミル医師とランバート殿下が入ってこられました。


「面をあげて、楽にしなさい。すまないね突然」



「と、とんでもございません。」



「すまないマリアさん、殿下からのほうが話が分かりやすいかと思って、最初は記事を取りに行ったんだが、引っ張ってきた。」



そういわれ、ちらりとランバート殿下を見る。

「私はスポンサー集めで色々なところに顔を出していてね。まぁまず、この記事を読んでごらん。ここはゴシップの中でもたまーに真実を書いてたりするから、因みに今回の記事についてはソースは本物だとさ。」



私は一枚の記事を渡されました、そこに書かれていたのは…


「え?これは事実なのでしょうか?」


「ほんとだとも」


私の目に飛び込んできたのは、『クロス侯爵、子種がないことを夜会で暴露される、愛し合った愛人との決裂!』


との生々しい言葉でございました。



「え?」


私は理解が追い付かなかったのでございます。


だって、リネージュ様の離婚の理由は…


「あ、あの…リネージュ様は…。」


「心労になってはいけないと思ってまだ言ってない」


とナミル医師に告げられた私はホッとしてしまいました。


「君は本当にレディ・アントレットが好きなんだね。」



そうランバート殿下に言われ私は顔を赤くしてしまいます。



「はい、私の命の恩人でございますので…しかしこれがもし本当だとすればリネージュ様は不当な扱いを受けたことになります。」


そうだなと二人はうなづく。


「君はどうしたい?」



ランバート殿下に質問されて私は答えます。


「リネージュ様が、心置きなく治療に専念できるようにしたいです。」



そうランバート殿下に告げますと、ニッコリと笑顔になられました。


「そうだね、ただ、クロス侯爵家はスポンサーに名乗り出るかもとも言われてて結構逃したくないんだなあ」



膝の上で両手に力が入るのが分かります。

私には何もありません。身分も何もないのでリネージュ様をお守りすることができないです。

そう思うと自分の力のなさに今は泣いている場合ではないのに目に盛り上がってくるものがあります。


「おいこら」


「いったい!!一応王族なのに!!」


ガスっという音と主にナミル医師が殿下の頭を殴ってるのをみました。

それにびっくりして私の涙もひっこみました。


「一応王族だから急所はやめてやった。意地悪するなら出ていけ。」



「いやーこんな献身的な侍女をもってうらやましいなあって、ちょっとした冗談じゃん。」


「時と場合によるだろ。今はそんなときじゃない。」



「えっとナミル医師…」



「ああ、大丈夫だよ、こんなんで処刑されるならとっくに処刑されてるから。」


となんともお二人は気安い仲のようでございます。


「うーん、スポンサーの話は本当なんだけれど、レディに負担をかけるのは違うから。そうだね、レディが会いたいかどうかを確認しようか。」



「あの…できるだけリネージュ様に負担をかけたくないので、もう少し病状が良くなってからではだめでしょうか?」


私は進言いたしましたが多分却下されるのでしょう。殿下の表情からそのように感じました。



「大丈夫だ、その辺は配慮する。とりあえず今は断ってるけど、条件付きで許可を出そう。」



そうして、私はリネージュ様に内緒でナミル医師とランバート殿下と共にその場を作り上げることとなりました。


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殿下はもっと叱られたほうがいい
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