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プロローグ

はじめに――

未熟な作者が、計画性も無く書き始めた作品ですので、序盤は特に酷いかもしれません。(現時点で8話までは修正しましたが…)

それとファンタジー初挑戦ですので、それらを踏まえた上で読んで頂ければ幸いです。



人々に恐れられ、「魔物」 と称される異形の者達が確かに存在する世界。

それらに対抗する為 「魔道」 と呼ばれる技を生み出した一部の人間の存在もまた確か。


魔物の存在理由。

それは未だ誰にも解き明かされていない。


人同士の争いを禁じ、この世から全ての魔物を排除しようと考える各国の王達。


舞台となるのはマドラス現国王の統治する大国ローベルグ。

先々代の国王の頃より続く軍事国家としての武力を 「討伐隊」 として再編成したマドラス王。


軍事政権においては英雄として崇められた元軍人達。

鍛え上げた腕を振るい戦乱の世を生き抜いた傭兵達。 

一部の戦争では兵器として投入されたと噂される魔道士の一族。


ローベルグにはそういった戦士達が数多く存在するが、その中から討伐隊へ加わる者はごく僅か。

近年、強大な魔物がその数を増している事を彼らは知っていたから。

人の手に負えぬ程の力を持つ魔物に対し、国の討伐隊は余りにも無力だった。


勇気を示し、危険を冒し、命を賭して戦う屈強な戦士。 それがこの国に足りないもの。

この波乱の世に必要な人材を発掘する為、国王は定期的に武術大会を開き、広く勇者を求め続ける。


されど所詮は人間。

血に飢えた猛獣をも容易く食い殺してしまう怪物を前に、人の力などゴミ同然。

他国との競り合いで躍起になる国王の討伐隊も、無謀な作戦でその数を減らし続ける。

大会で発掘した猛者達も、町や村に出向いては果敢にも挑むが、次々とその命を落とすばかり。


それでも国民の信頼を裏切るまいと、手に負える範囲の魔物を必死に駆除し続けたマドラス王。

結果、この国の 「武力」 と言えるものは既に底を尽きかけていた。 依然として国内各地に増え続ける強大な魔物達。


今まさに、大国ローベルグは危機的状況に陥っていた。

そんな状況下のこの国も、たった数名の人間によって劇的な変化を遂げる事となる。


全ては、1人の若者がこの地を訪れた事から始まった―――






僅か7才で両親を亡くしたオレは、遠方で暮らす叔父の元に引き取られた。

そこで学問を教わりながら育ててもらった訳だが、オレは密かに剣の腕も磨き続けた。

だが、それが叔父にバレていたらしく、15才になると 「卒業! 旅に出ろ!」 なんて投げ遣りな台詞を吐かれた。


どうやら、何者かに両親を殺されたオレの復讐心を嗅ぎ取っていたらしい。


そんな過去はどうでもいいが、喜びを噛み締めて叔父宅を後にしたオレの一人旅も既に6年目。

これまで幾つもの国を転々として来たが、両親を殺した奴の手掛かりは全く無し。

実を言うと、殺された事実以外は何も覚えておらず、相手の素姓も顔も知りはしない。

――なんて無計画な旅だ…。


それはそうと、次に訪れたのは噂の大国ローベルグ。

噂というのは隣の国の市民に聞いたモノで、どうやらこの国は今ヤバいらしい。

なんでも国王が作った 「討伐隊」 とやらが役立たずで、しかも壊滅寸前だとか。

更に、各地の猛者を集めては強い魔物に挑ませ、その命を無駄に散らしているそうで。

――今宵もオレの大剣が吠えるぜぇぇぇぇ!!!


とまぁ、意気揚々と国境まで来たオレ。

流石大国と言わんばかりの巨大な門と、左右に伸びる高壁。

しかし警備兵が妙に優しく、「ここを通りたいんだが」 と申し出たオレをあっさり通すその態度。

開門後、サッサと通り過ぎようとしたオレに、警備兵が付け加えた一言。


「是非ここをまっすぐ進み、首都のカルバナに向かって下さい! 戦士さんは大歓迎ですので!」


すんなり通してくれたのは助かったが、取り敢えず呆れてしまった。

こんな怪しい放浪者に対して “猫の手も借りたい” と言わんばかりのその態度に。


更に、他の警備兵の1人が優しい心遣いを示してくれて。


「旅の疲れがおありでしたら、途中にナトゥーラという小さな村がありますので」


――おいおい、オレは一言もまっすぐ進むなんて言っちゃいないぜ。

とにかく長旅の疲れを癒したかったオレは、黙って爽やか笑顔を返しておく。

まぁこれ程デカい大剣を背負った戦士なら、それなりに腕が立つと思って受け入れた次第だろう。


オレは正直、ここの討伐隊や猛者共に興味は無い。

この国を救おうなんて考えも無く、強い魔物に出会えば滅ぼすのみ。

旅の目的には関係無いと思うのだが、あの強かった親父を殺した相手が人間とも限らない。


――ひたすら己の腕を磨き続け、とにかく最強を目指す。

それが現在の旅の目的だと、敢えて訂正しておくべきかもしれない。






言われた通り国境から真っ直ぐに進むと、見渡す限りの岩場が続く。

人気は無く、魔物にも出会えない退屈な道程。 それは旅をする上で、オレが最も嫌うモノだった。


その時――

微かに聞き取れた声が 「気のせいじゃない」 と確信出来たのは、ある特殊な気配のおかげ。


「キャァァァァァッ!!」

「このざわつく感じ…出たな」


迫り来る甲高い叫び声、それは余り気にしていない。

姿を確認する為にオレが視線で探るのは、これまでの経験で培った魔物の気配。


方向が分かろうと視界には何も入ってこないが、状況から察するに女が逃げている様子。

人助けをするつもりは無いが、この国で最初の魔物がどの程度かには興味が有る。

別に戦闘依存症バトルマニアって訳じゃない。 何日か使っていないこの腕が疼くだけ。


「イヤァァァァァッ!! 誰かあああああああああああっ!!」


更に近付く女の悲鳴。

素早く背中の大剣を抜き取り構え、その方向を見据える。


「…来たか」


――グアオォォォッ!!!


まず獲物の声を確認。

そして、大きな岩の隙間から遂にその姿を現した女…というか子供。

猛烈な勢いでオレの視界を真横に通過して行く子供だが、恐怖の余り声も出なくなっているようで。

そっちには目もくれず、次に現れる魔物の正体を確かめる為に岩の隙間へと駆け寄る。


「おわっと」


見計らった通りのタイミングで現れた魔物。

だがこれが全くの期待外れで、隣国でもよく出会った大グモ。 体長は足も含め約2、5メートルで、体高はおよそ1、7メートル程。

予想通り、相手は突っ込んできたオレに気付き、こちらへ狙いを変えて来る。

目の前まで迫ったオレに、前足4本を上げ体ごと伸し掛かろうとするが、これはお決まりの攻撃方法。


――グァウッ!!


「期待させやがって…よっと」


喰らえば軽く潰されてしまう程の攻撃、それをサラリとかわす。

これはつまらない相手だと、透かさず持っていた大剣を頭上に掲げ、奴の頭部目掛けて振り下ろす。


「ふんっ!」


ズバンと叩き斬る。


――グァギャアアアアアアアッ!!!!


相変わらず汚い声で、もう聞き飽きた断末魔。

これまでの旅路で、この化け物グモを何度仕留めてきたことか。


まぁ大抵は一撃で終わる。

頭から血を吹き出し、8本全ての足を折り曲げ、その体を地に伏した大グモ。

返り血を嫌うオレは攻撃直後に素早く身を引き、数メートル離れた場所で剣を納める。


「くだらん、剣が汚れた」


別に格好付けている訳じゃなく。

そんな台詞をいつも無意識に口走るオレは、やはり戦闘依存症バトルマニアかもしれない。



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