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第11話 再会 in アジト

疎らな街燈に照らされた仄暗い裏通り。

そんな道をひた歩き、着いた場所は港に近い大型倉庫。 以前は運搬船の荷物なんかを運び込む為に使われていた物だろう。

成程こりゃアジトとしては最適かも。 快適かどうかは別として。


――さぁて、どんな感じで乗り込もうか。

別に見張りとかは存在しない。 中から灯りが漏れているので、無人じゃないのは間違い無い。 考えるのもめんどくさいので正面から堂々と入る事に。


ギギィ……キキキキキッ……ガガガガガガガガガガッ!


――うぉビビった……!

このトタン張りの引き戸、半端無く気色悪い音を立てやがる。

これはもう完璧に忍び込む気分じゃない。 …開き直って明るく元気よく。


「こんばんわぁーーーーー!!!」


……、……。


――ナンダコレハ。

いや、なんというか、まずゴツい男が何人かバァーっと現れて、それを爽快に殴り倒して行くイメージを膨らませていたんだが。

もしかすると、オレは最悪のタイミングで来てしまったのかもしれない。


「不審な侵入者を確認!! 直ちに取り押さえろぉぉぉぉっ!!」


――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!


待て待て待て、一体これ何人いるんだよ。

ガランとした何も無い空間で綺麗に整列していた大勢の人間。 ザッと見渡しても50~60人は居る。 しかも暑苦しい男の戦士ばっかり。 まぁなんと汗臭そうなこと。


「おっし、望むところ!」


意味も分からず始まったこの戦闘。

別に無謀とは思わない。 どうせ1度に突っ込んで来れるのはせいぜい7~8人。


「ふんっ!」   ゴスッ!


「はっ!」   べキャッ!


「こっち来んな!」   バシッ!


「マッチョ嫌い!」   ズシャッ!


しかし全く理解に苦しむ。 夜の集会でも開いていたのだろうか。

それよりも、侵入者を見つけた時の対処の早さに加えてこの統率力は一体何事か。 噂に聞いたクズ傭兵団とは思えない大した組織っぷりに圧倒されてしまう。


「おらぁ!」   ドスッ!


「寄るなっ!」   ゴッ!


「汗臭ぁい!」   バスッ!


相手が人である以上、例えそれが大人数でも決して剣は使わない。 まぁ当たり前だが。

ヤツらもオレを殺す気は無いようで、各自が腰に下げている武器は一切使って来ない。 その点は助かるが、とりあえず素直に捕まる訳にもいかない。 この組織を潰しに来たのだから。


「てぃ!」   ゴッ!


「あぁうぜぇ!」   ドシャッ!


『待てえええええええええええええええええええええええええええええいっ!!!!!』


「いっ!?」


耳をつんざく滅茶苦茶デカい叫び声。 それは倉庫内に反響して何処から聞こえたのかも謎。 その声にビビって一瞬だけ動きを止めてしまったオレだが、声に従った周りの連中も同じく動きを止めた事で捕まらずに済む。

素直に命令を聞くその態度と、即座に道を開ける仕草からして、ヤツらの背後から間もなく現れるのはリーダーと推測。

しかしさっきの叫び声、どことなく中性的な声だったような。



「でえぇぇぇっ!!?」


こいつぁ本気で驚いた。

むさ苦しい戦士共を掻き分けてオレの前に立ち塞がったのは、スタイル抜群に容姿端麗の女戦士。

っていうか見覚えが有り過ぎる。 あの森で出会った口の悪い女剣士じゃないか。


やはりオレの予感は的中した。

この町に住んでるだろうとは思っていたが、まさか潰しに来た傭兵団のアジトで再会するとは。 しかも周りの反応からして、どう見てもリーダーとしか思えない。

壊滅させようって気が少しだけ失せたのは内緒だが、これは戦闘になったらまず勝てないと確信した。

――だって、女を殴る拳なんて持ち合わせてないし……


たった1人で傭兵団を壊滅させると決めた事は後悔していない。 真っ向からアジトに乗り込んだ事も別に後悔していない。 後悔してるとすれば、酒場の店主にリーダーの性別を聞き忘れた事か。


向き合うオレに鋭い視線を飛ばしてくる女剣士。


「お前か……随分と暴れてくれたな、ここに何の用だ。」

「……一応聞くが、お前が傭兵団のリーダーか!?」

「そうだが、お前に 『お前』 と呼ばれる筋合いは無い。 何の用かと聞いている。」


キター! このツンツンぶりな態度。 弱々しくてブリっ子な女に比べりゃ100倍マシだが、やはりどうも平常心を奪われる。 とりあえず目の前の現実は理解した。 それに、この女がリーダーなら男共が素直に従うのも納得。

ダラダラ話してもムカつくだけなので、早急に用件を告げる事に。


「この町の傭兵団を一掃しに来た、つまりお前らをな。」

「ほぉ……面白い話だが、何か理由があるようだな。」

「あ?」

「見境なしに動くような阿呆の目をしていない」


なんだ、褒められたのかこれは。 そっちこそ、冷静に人を見る目を持っているようで。

予想外に分別のつくリーダーだと理解したので、潰す前に理由ぐらいは述べてやろうと思う。


「住民が迷惑してる。 脆弱な仕事っぷりに、昼間から酔って絡んで人攫い。 加えて盗賊紛いの行為。」

「なに!?」

「オレの連れもその被害者だ。 盗んだペンダントを返せ。 後は牢屋行きかオレに潰されるか選べ。」


なんかオレ、正義の味方みたいだな。

罪状を告げられた女リーダーが何故か見せる動揺っぷり、それは実に印象的なモノだった。


「お前……今言った事に嘘偽りは無いか!?」

「これがつまらん嘘を言って殴り込んで来るような阿呆の目に見えるか?」

「……!」


この様子だとリーダーは何も知らなかったらしい。

なんとなく読めてきた。 この女、団員の数が増え過ぎてその行動の全てを把握できていなかったのかも。 ましてやリーダーが年の頃20前後の小娘。 悪さもせず素直に従い続ける男ばかりとは限らない。


「おいルヴァンっ!!」

「…はっ」

「お前は知っていたのか!? 私が狩りに出ている間は、皆の事をお前に任せていた筈だろう!」

「まぁ……中には手癖の悪い輩もおりまして……」


よく分からんが、リーダーとサブリーダーのやり取りって感じだ。 暫く黙って耳を傾ける。


「あぁ!? はっきり言え!! お前は仲間の悪事を知っていたのか!?」

「……えぇまぁ」

「なんてザマだ……知っていて見過ごしていたというのか!! なぜ私に報告しなかった!!」

「あぁ……うるせぇ……」

「なに!?」

「知られちまったら仕方ねぇな」


おっと、サブリーダーが本性を現し始めたぞ。 これは謀反の匂いがプンプン。


「真面目過ぎんだ……アンタはよぉ……」

「なっ……!」

「強くて逆らえねぇし儲かるから従ってきたけどなぁ、男の楽しみってモンを分かってねぇンだよ小娘が。」

「ルヴァン! お前それ本気で言っているのか……!?」

「……あぁ、それとアンタの方針通りに仕事してたら命が幾つあっても足りねぇ。」


サブリーダーの衝撃告白。

その言葉を聞きながら、周りのヤツらが不気味な程に揃って頷いている。 おいおい、その他大勢も同意見なのかよ。

だが、これで完全に読めた。 傭兵団の悪評はリーダー以外のヤツらで生み出したもの。 何も知らなかったリーダーは1人で必死に仕事をこなしていた。 ルヴァンとやらを信用して。

全てを任せていた人物を筆頭に行われていた悪行の数々。 その被害者はきっと数知れないだろう。


「情けない……大の男が揃いも揃って……」

「へっ、まぁこれを機にリーダーも考えを変えな。 それと全員の考えを常に理解する事だな。」

「……ざけるな………」

「あぁ?」

「ふざけるなっ!!! 失望したぞ貴様らっ!!!!」


これはとんでもない波乱の予感だが、それよりも困った事がある。

乗り込んで来たオレが完全に空気的存在エアーマンなんだが、この状況でオレは如何に動くべきか非常に困る。


「全く気付かなかった私にも責任がある……同行するから、全員で保安所に出頭するぞ。」

「あぁ!?」

「酒場に行った奴らも急いで連れて来い。 今日限りでこの傭兵団は解散だ。」

「はぁ? 何言ってんだ!? そんなもん従う訳ねぇだろがっ!」


完全にルヴァン君の口調が変わってます。 所詮は君も 「手癖の悪い輩」 でしょうが。


「……リーダー命令だぞ」

「うるせぇよ! オゥおめぇらぁ!!! 解散なんてしねぇよなぁっ!!?」


――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!


ええぃ喧しい。

しかしまぁこれ、本気で全員がサブリーダーに賛同してるようで。 この先の展開が見えてきた。 オレが取るべき行動も。


「ってぇことだ、解散も出頭もしねぇ。 んなこと考えてんのはアンタ1人だ。」

「やむを得ん……力ずくでも従ってもらう」


そう言って腰の剣を素早く抜いた女は、手首を返して刃を逆に持ち替えた。 

オレには出来ない芸当を見せる気だ。 両刃の大剣じゃ峰打ちなんて考えた事も無い。


「この人数相手に戦る気かぁ!? おい野郎共!! リーダーを手篭めにするチャンスだぜぇっ!!」


――な、なんてハレンチな発言を…。

そんな機会を窺っていたとは非常に許せない。 つまり、オレが取るべき行動もこれで明確。


「女、手伝うぞ! これで貸し2つ目だ覚えとけ!」

「フッ…お節介な奴め」



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