9-10 レミリアの水着、アブナイ
「いやー、第二戦、冒険者ギルド選抜チーム戦、凄かったですねー」
司会バニーは感慨深げだ。
「ええ全く。中盤まではいい勝負でしたが、後半はモーブ組、怒涛の快進撃でした」
珍しく、コメディアンが真面目に応えた。どうやら、バニーにかなりキツくお仕置きされたようだ。
「さて、次はどんなチームかしら」
肩にタオルを掛けたまま、マルグレーテはボトルの発泡水で喉を潤した。コート脇のベンチに並んで、俺達は次の試合開始を待っている。
結局、ギルドチーム戦はあれから俺達が一方的に蹂躙して終わった。能力を全開放したマルグレーテ、それに俺との連係に長けたランやレミリアのおかげだな。これまで多くの戦闘をこなしたパーティーだけに、阿吽の呼吸って奴が高レベルだし。
あとなんというか、今晩マルグレーテが寝台でごほうびをくれるって言ってくれたんで、俺のテンションが上がったってのもある。なんとなく怖くて使ってない絶倫茸の干物、試してみようかな。それとももっと後に取っておこうか……。楽しい悩みだわ。
「また強いチームだといいなあ……」
「疲れるけどいいのか、ラン」
「だって楽しいもん。モーブだってそうでしょ」
「まあなー」
受付嬢の美麗ビキニ姿が脳裏に浮かんだ。俺の脳はもうすっかり彼女の全身を3Dスキャンして脳内ストレージに保管済み。いつでも引っ張り出してもやもや妄想可能だわ。
この後も当然、かわいい女の子がぞろぞろ出てきて、俺の目の前で胸を揺らしながら跳ね回るだろうしな。じいさんとチームを組んでるカフェ娘たちの水着姿も楽しみ。なんなら毎日やってもいいわ、このイベ。生きる死ぬと無関係だし。負けたって別にマイナスはない。
原作ゲームだとただただ操作が難しくてイラつく難関ミニゲームってだけだった。それがリアルゲーム世界では、最高の娯楽じゃん。いやマジで。
「あたしたちもだいぶ連係良くなったよね」
水のボトルを置くと、レミリアはタオルで腕を拭った。
「いやだ。このビキニ、なんとなく透けてきた」
観客側に背を向けると、ビキニの紐を緩めて、中にタオルを突っ込む。
「汗で濡れただけで透けるとか、水着失格じゃん」
「白い水着なんか選ぶからだわ。それによせばいいのに、中の胸パッド、お前外したじゃないか」
白水着でパッド取るとか、「海に入らなければギリなんとかなる」レベルの無謀さだからな。グラビア撮影だって、そんなことしないぞ。やるとしたら、もっとアダルティーな動画とかだわ。
「だあってえ……」
胸の汗を吸い取らせ終わったのか、トライアングルビキニの紐を、首の後ろで結び直した。
「パッドあるとごわついて、着心地悪いんだもん」
そりゃお前の胸が小さいからだわ……と言おうとして、止めた。かわいそうだ。
「どう。胸、透けてる?」
俺に向け、胸をぐっと突き出す。
「動くなよ……」
身を屈め、顔をぐっと近づけてみた。胸の先の形や色が透け……はしない。
いやてか、間近に見ると、胸にすごーくうっすら、産毛が生えてるじゃん。柔らかそうな奴。ロリ胸なのにギャップがあって、萌えるわ。運動したからなのか、いつもの草のようないい香りが漂ってくるし。
「くすぐったい」
くすくすと、レミリアは身をよじった。
「鼻息がかかるよ。そんなに近づいたら」
「透け……てはいないな。でも……あっ」
「な、なに?」
胸を覆う水着、その真ん中が、ぷっくりと膨らんできた。多分、俺の鼻息がくすぐったかったからだ。色こそ透けてはいないが、胸の先の位置はがっつりわかるな。
「ほらよ」
俺のタオルを掛けてやった。
「しばらくじっとしてろ」
「なんで」
エルフ耳に口を寄せた。
「たってる」ごにょごにょ
「いやだ。わかるの!?」
珍しく、レミリアが赤くなった。あんまり恥ずかしがりはしない奴なんだけどな。
「試合が始まるまで大人しくしてたら、収まるだろ」
「そ、そうかな……」
タオルの上から、そっと胸に手を置いた。
「自分ではよく……わからないけど」
まあそっち方面はウブだろうしな。
「マルグレーテやランはそうだ。エルフも同じだろ」
「あ、ありがと……」
「なんの話かしら」
マルグレーテは呆れた様子だ。
「さて、次はいよいよ第三戦。モーブ五番勝負への賭け受け付けは、三戦開始時で終了です。まだベットされてないお客様は、今すぐお申し込みを。観客席を回っているバニーにお申し付け下さい」
「そうだった。俺、今すぐ賭けるわ。マルグレーテちゃんのあの魔力だ。五戦全勝にな」
「俺は第四戦まで勝利、第五戦敗退だな。どうやら大賢者ゼナスが出てくるようだし」
「マジか。なら俺も五戦敗退で賭けるわ。ゼナスの魔力が底なしなの、すごろくで見せつけられたからな」
「よし、俺も賭ける」
観客席のあちこちで札束が乱れ飛び、ツケのサインが飛び交っている。いやマネジャー、商売上手だわこれ。
「いよいよですね。次の対戦相手の情報が、手元に来ました」
渡された紙をガサガサめくると、司会バニーが瞳を細めた。
「眩しくて読めないわ。……陽射し、どんどん強くなってきたし」
「もう昼前だからねー。暑くなってきたし。どれどれ……」
サングラスを掛けると、コメディアンがペーパーを受け取った。
「モーブ五番勝負、第三戦は……えーと」
紙をめくる。
「ポルト・プレイザーのイーストサイド、貿易会社エリート女子チームです」
観客席から、大歓声が巻き起こった。
●頭脳派エリート女子チームとの対戦はしかし、誰もが予想だにしなかった展開を迎える……。
次話「エリート女子対戦の戦略」、お楽しみにー!




