反骨精神
作者の前書きはこのように作者の個人的な事や説明に使います。
後書きは作品に関する事とかになります(いつ破るか分からない約束の説明)
♪~♪~
聞いたことあるような気がするメロディを綺麗に鼻歌で奏でる少女が下手くそなスキップをしながら私をすれ違っていく……
よく観察すると10歳もいかなさそうな子で、服は妙にきっちりとしていて、まるで最初から少女のためにあったかのようなサイズ感であり、少女の可愛さを最大限に引き出していた。だが、その完璧な世界を壊す片眼鏡、スカウターとも呼ばれそうなそれは酷く不格好であり、機械的なデザインで少女を醜くしていた。
「おじさん。私をジロジロ見て、ロリコンさんなの?」
ふと、思考の渦から抜け出すと、少女が訝し気な目で私を見ていた。
「いやぁお嬢ちゃんが面白かったからね、随分眺めてしまったみたいだね。お嬢ちゃんはもうお家に帰った方がいい。これからすぐに日が落ちて危険なロリコンさんが出るかもしれないからね。じゃあね嬢ちゃん」
「おじさんも通報されるまえに帰ったほうがいいよー。ばいばいおじさん」
そういうと彼女は駆け足で帰っていく。不思議な子だった。
「おじさんも出来れば通報されるまえに帰りたいけどねえ……」
私はろくな人間にならなかった。私は頑張り、人類の進歩への貢献者となり、そして今では世界共通の指名手配犯になった。だが、私は自分の罪を償わねばならない。先ほどの少女のような無垢な者が絶望の淵に立たされることとなったとしても。人類がどうなったとしても。助かるために。助けるために。
私がそう決意を感じていると、何も無いように見える空間から一人の少女が出現した。
「残り30分ほどで完了だそうです。人払いの空間の形成も終わり後は待つだけですね。……博士?」
「博士ではない。教授だ。最後の約束を完了する為にも別れを言わねばならんな……左良、よろしくだった。そしてこれからもよろしく頼む……皆にも最高であったとな……」
「いえ……私は、……ありがとうございましたっっっ!」
そうして私は話している彼女と初めて顔を向け、彼女の瞳を視る。合ってしまえば記憶が強制的に読み込んでしまう悪魔の瞳に。そして、彼女は音を立てず倒れた。私の軌跡を辿っているのだろう。いくら私の記憶が10年しかなかろうと辿るのは壮絶なはずだ。それが儚い少女にやらせるしかないことに苛立ちをおぼえるが、少し身体に力を入れるにとどめる。
先ほどは彼女の瞳を視ることに集中していたが、初めて見た助手の姿はかなり美しかった。壊れそうな病的な白さの肌、身長だって150あるかぐらいの私の身長より頭一つ小さい。だが彼女の姿はいびつで、服に隠れたたくさんの傷、右足は既に動かなくなっており私の義足をつけている。右半身と左半身で見てもやけに右が小さく感じられる。成長が止まったということらしい。名前も健康状態から『左良』とした。彼女は喜んでくれたが酷いものだと自分で思う。
「姉貴……?姉貴大丈夫か博士?」
「能力を使ったんだよ……後は頼む」
「おう!あんたも帰って来いよ!あんたが諦めそうになったら俺でも姉貴でも思い出せ!姉貴は永遠の別れを確信してるみたいだが、俺は信じてるからな!あんたがぶっ飛ばした恨みはこの身体にしっかりのこってんだからな!」
私はその言葉に振り返らず、目の前の穴、穴のような何か、次元のひずみに足をかける(といっても触れたら木端微塵になるため格好だけだが)。私はこの世界に未練を残しこの世界から出る。だがこの未練は『恨み・妬み』となりアンカーとして機能するだろう。さよなら、自我。まあ元々無かったが。別の世界で能力はちゃんと機能するだろうか……この計画は能力が機能しないと出来ないからな……そうだ、次の世界はARやらVRやらで繁盛するか……再現はできるだろう。『黄色人種の世記』に書き込み、俺は穴に向かい身を投げ出し、
俺 は 死 ん だ
E N D
CONTINUE?
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