表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

00



 今朝見た夢はさいあくだった。


 あたしが家族と住む一軒家は火事で燃え尽きて、命からがら逃げ出したあたしは通り魔にナイフで一突きされたし、どうにか急所をはずれたかと思えばよろめいたはずみで道路に飛び出し、大型なダンプカーで轢かれてはい、ジエンド。

 なんていう絶望的な夢だ。夢はよく自身の経験や記憶に基づいて構築されるものだと聞くけれど、果たして今まで身の危険を感じたことがあっただろうか、いやない。もう一度言うけど、いやない。もはや誰かの陰謀を感じる。そっとあたしを殺したがってるヤツでもいるんだろうか。



「死神よ、あなたには死神が憑いてるのよ…」



 地を這うような、震えた声が絶望まっただ中のあたしの背中を撫でた。

 驚いて飛び退くと、そこにいたのは学校でも噂の魔法使い。とは言えどここはそのようなファンタジーな世界などではないのでもちろん、自称ではある。黒いローブと、ビン底メガネが特徴で、放課後迷える子羊を救済して回っているらしい。


 初めて声を掛けられたと少しドキドキしながら、まるで他人事のように救済の言葉を待っていると、にやりと笑った自称魔法遣いさんは恐ろしいことを口にした。



「あなたは死んだのね…」


「……えっ?」


「屋上が吉と出ているわ」



 魔法使いさんは言うだけ言うと、くるりとローブを翻してあたしの目の前から去っていった。虚を突かれたあたしはそのまま黙ってその背中を見送ってしまい、今更真意を聞くことなどできなかった。


 それから屋上へ向かってみたことが、本当に吉だったのかどうか、今となっては分からない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ