4話
「なんで現代兵器が……いや、この世界から見たら異世界兵器か?まぁ今はどっちでもいいか。俺にこの世界で戦争でもしろってか?!なんだってこんな物が……」
とりあえず武器リストを確認してみる。
「サバイバルナイフは変わったナイフとかでごまかせるけど、グレネードとか銃は……さすがにごまかせないよなぁ」
こっちの世界の武器は、剣や槍、弓矢。後は、盾といったものが使用されてる。
それに対して俺は銃火器……。かなりのオーバースペック。更に、兵器の個数や弾数が無制限という、とてつもない武器設定チート。
この世界には、普通の獣より強い魔物がいるから、殺傷能力が高い現代兵器は非常に助かるけど、けどね……チート過ぎないかい?
「リアルでは使ったことないから正直怖いな……。俺みたいな素人でもこういう武器って扱えるのか?」
前世では、ゲームでメタルギ○とかはやったことはある。だからといって、銃の特性とか戦術とかがわかっている訳ではない。
プレイしていたときも、武器の詳細なんて読まずにステータスバーとかを見て「あ、これ強そうだからこれ使うか~」といった感じで、テキトーに武器を選んでいた程度だ。
「名前だけだと、どんな武器なのかわからないなぁ。せっかくだ。一つ取り出してみるか」
リストを見て悩んでいてもしょうがないと思い、実物を見てみることにした。
「そうだな……ハンドガンにするか」
グレネードでもと思ったが、取り出したとたん爆発までのカウントダウン開始とかになったら洒落にならん。
「取り出す……ってどうやったら出てくるんだ?」
母からはアイテムボックスの中がわかるとは聞いたが、肝心な取り出し方を聞いていなかった。
「そう言えばイメージすればどうのこうのって言ってたよな?」
母の言葉を元に肉屋で見た冒険者を思い出してみる。
冒険者は台の上に手を出して肉を取り出していた。その前に何か行動していたようには思えない。
「となると、〈取り出す〉というイメージか?」
そう思い、ハンドガンを取り出すというイメージを持つ。すると手の中にハンドガンが現れた。
「おぉ~。重!!デカ!!…ん?」
ハンドガンが手に現れて感動したのもつかの間、目の前にアイテムボックスと同じ様な画面が現れ“所有者登録を行いますか?”と選択を迫ってきた。
「もちろん“イエス”」
すると、“所有者ドルテナを登録しました”となり、急に銃が軽くなった。いきなりの事に驚きはしたが、楽に持てるのでよしとした。
「やっぱりデカいな。5歳児の手に比べたらってことなのかな?子供の小さな体だと使えそうにないな。持てるけど引き金も引けるかどうか怪しいし、引けたとしても俺の方が後ろにぶっ飛びそうだわ。あと数年したら、体が成長して使えるようになるのかな?」
サバイバルナイフとかは子供の体でも使えると思うが、他の武器は使えるようになるまで、アイテムボックスの肥やしになることとなった。今のところ身の危険を感じることはないしね。
「アイテムボックスが使えることがわかって、まずは一安心だな。まぁ、現代兵器に関しては……ラッキーということにしておこう。はぁ~……。大分夜も遅い時間になってるようだな。眠気がヤバいからそろそろ寝ないと」
ハンドガンを収納してベッドに潜る。
アイテムボックスとチート兵器を手にいれた事に興奮して眠れない……ということには、ならなかったらしい。ベッドに入ったらすぐに寝てしまった。5歳児に夜更かしはできない。
寝付きの早さはの○太級である。いや、の○太が5歳児級なのか……。
◆◇◆◇◆◇
六年後…………
11歳の秋。収穫の秋だ。
街の周辺には耕地が広がっており、そこでは主に小麦が栽培されている。この国の主食は小麦で作るパンとパスタ。
その小麦が、今年は例年以上に豊作で、猫の手も借りたいといった状態だ。
何十年に一度のってやつらしい。災害じゃなきゃ毎年でも歓迎だ。
冒険者にも収穫の依頼が例年よりかなり多く出ているらしく、魔物に出会う危険性はほぼないということで、人気の依頼となっている。
更に領主からも、収穫の為に例年より多くの兵士が護衛兼作業員として提供されている。
毎年、収穫する際の護衛として兵士が数名提供されているが、今年は収穫作業にも兵士が提供されている状況だ。
また、犯罪者奴隷も殆どが貸し出されている。
この犯罪者奴隷は、普段は治水対策工事や農地開墾、鉱山といった重労働で尚かつ命の危険にさらされる場所で働かされている。
猫の代わりに犯罪者奴隷を借りたって訳だな。
なので、どこもかしこも人手不足。前世の日本みたいだな。アルバイト従業員が確保できないってやつだ。
そういえば、前世のスーパーの何処かがパートさんの確保ができなくて閉店してたな。
収穫作業による人手不足は、うちの工房は関係がないと思っていたが、しっかりとその影響を受けている。
工房で使う木材が不足しているのだ。不足しているのは俺のせいではない。
確かに、去年から工房で仕事を教わっていてよくミスる。今までに使えなくした木材は数知れず……ほっとけ!
材料となる木材は、木を切り出す事が専門の樵が山に入り、木を切り出して街まで運ぶ。
枝打ちなどの処理も樵がする。
そして処理をされた丸太の木を大工やうちみたいな工房が購入する。
ただ、森には多くの危険な獣や魔物がいる。
時々山賊がでたりもするが、これはめったにいない。
山賊に対しては、領主が積極的に軍を出して処理しているのだ。
山賊達は冒険者では稼げない奴等、つまり弱い連中が成り下がっているらしい。
だから冒険者稼業で稼げてる者が、山賊程度に負けるなんてことにはならない。
とはいえ、樵達からしたら山賊でも十分脅威になる。どちらにしても物騒な話だ。
獣や魔物、ついでに山賊へ対抗するために、樵は冒険者達を護衛に雇う。
が、今はその冒険者達は収穫依頼を受ける者が多く、樵の護衛が集まらないらしい。
普段なら手持ちの木材で足りるのだが、どうやら想定外の大口の仕事が入ったらしく、手持ちの木材では足らなくなったらしい。
小麦の収穫が終わっても雪が降るまでには時間があるので、そこまで待てば木材は手に入る。
だが、納期が冬までとなっており、今から切り出しに行かないと納期に間に合わないらしい。
ちなみに、乾燥は魔法でちょちょいのちょい(父談)なんだとさ。なんとも便利な世界だ。
その不足分の木材を確保するために、父と従業員数名が樵達と共に山へ行くことにしたらしい。
なんでも父は、工房を開く前は冒険者だったらしく、その頃の仲間が護衛に来てくれることになったようだ。
「あなた、無理しないでよ!剣なんてテナーが生まれる随分前から握ってないんだからね!本当にもう。納期を伸ばしてもらえばいいのに」
と、母から小言を言われながら倉庫から出てきた父はライトアーマーに身を包み、腰には剣を下げていた。
「まだまだいけるな。どうだテナー!似合うか?」
ちょっとポーズをとりながら俺に聞いてきた。
「うん!似合ってるよ!!で、でも無理しないでね」
身長が190㎝はありそうな父がライトアーマーを着ると迫力あるな。
思わず声が大きくなったが、母の冷たい視線に気付き、慌てて注意を付け加えた。
俺も11歳になって体もだいぶ成長したが、今回は一緒に連れて行ってはもらえないようだ。
俺には銃器がある。まだ使ったことないけど、魔物でも勝つ自信はある。
でも、人前で銃器を使うのはちょっとまずいかな。
それに、練習もなしでいきなり実戦でぶっ放すのは余りにも危険だ。
父たちの出発は明日。
夜が明けると同時に街を出て森へ向かい、到着次第木を切り倒す。
その日は全員で野宿。
翌日も木を切り倒しながら枝打ちなどの処理をして更に1泊。
3日目に馬車へ木を載せ、日が落ちるまでには街へ帰ってくる予定だ。
日が落ちたら門が閉まってしまい、翌朝まで門外で待たなければならなくなる。
その日のうちに準備を済ませ早めに床についた。




