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35話

「お待たせしたようですね」


 馬達を構っているとヘイデンさんが厩舎へやって来た。


「あ、ヘイデンさん。もう体調は大丈夫てすか?」

「はい、お昼御飯を食べたら少しは楽になりました。折角なので少し村を歩いて来ましたよ」


 体調が戻って何よりだ。冒険者さん達はいないけど先に晩御飯を食べることにした。


「ドルテナさん、今日はすみませんでした。昨夜は少し飲み過ぎたようで」

「明日はまた移動ですので、体調が戻って何よりです。私達は色々と見て回れたので気にしていませんよ」

「そう言っていただけると。エルビラもご一緒させていただいたようで、ありがとうございます」


 そう言って頭を下げられた。大したことはしてないんだが。


「そんな、こちらこそエルビラさんに付き合ってもらった方ですし。1人で寂しく見て回るより2人の方が楽しいですからね。エルビラさん、ありがとうございました」

「私こそありがとうございました。たくさん色々な物を見ることが出来ましたからとても楽しかったですよ」


 本当に色々と見て回った。エルビラさんを退屈させてなくてよかったと思う。


「明日は日の出の頃にここを出るんでしたのね?」


 昨日の晩御飯の時にそう言っていたはずだが、一応確認しておく。


「はい、そうです。ノーラさん達には昼過ぎに会ったときにもう一度伝えてあるので、彼女たちも遅れることはないでしょう」

「明日の移動も昨日のように何も起きなければいいですね」

「そう願いますよ。ところで今日はどの辺りを見て回られたのです?」


 ヘイデンさんに今日見て回ったところを掻い摘まんで話した。

 シロメツの#件__くだり__#で若干顔を引き攣らせていたが、あえてスルーしておいた。護衛なしで外に出たらそうもなる。


「さて、そろそろ部屋に戻って休みましょうか。エルビラも眠そうですしね」


 エルビラさんは、俺とヘイデンさんが話している最中に欠伸をしていた。あれだけ歩けば疲れて当然だ。


「そのようですね。明日1日、頑張りましょう」


 そう言ってそれぞれの部屋に帰った。

 エルビラさんだけでなく、俺も疲れていたらしい。ベッドに入ったら直ぐに寝てしまった。



◆◇◆◇◆◇



 翌日。


 夜明け前に目を覚ました俺は顔を洗うために井戸へやって来た。

 顔を洗い終わったら、馬達の桶に水を入れておく。これで最初の休憩所で水を汲みに行かなくて済む。

 荷物は全てアイテムボックスに入っているから、部屋には戻らずに食堂へ行こう。朝御飯を食べながら皆が起きてくるのを待つとする。


「ドルテナさん、おはようございます」


 食堂に入ると、俺以外の全員が朝御飯を食べている最中だった。


「あ、おはようございます。後は私だけだったんですね。でも皆さん、朝早いですね」

「ええ、昨日は飲まずにおりましたので」


(あははは、その方がいいと思います)


 運ばれてきた朝御飯を受け取る。昨日とほぼ同じ朝御飯を食べながらこの後の予定を聞いてみる。


「予定通り、日の出くらいに出発ですか?」

「私達もノーラさん達も何時でも出発できるので、ドルテナさんの準備ができ次第ここを出て西門に行き、門が開くのを待とうかと思います」


 朝御飯を食べてしまえばここにいる必要はない。早く出ればその分この後の道中が楽になる。


「(モグモグ……ゴクッ)っん。はい、私もこの朝御飯を食べたら何時でも出発できます。荷物は全て持っていますから」

「分かりました。それではセベロさん、先ほど話していた通りの予定でお願いします」


 俺が来るまでに今日の行程の打ち合わせをしていたようだ。次の村も1日でたどり着く距離にある。


「ごちそうさまでした。すみません、お待たせしました」

「急がせてしまいましたか?」

「いえいえ、いつも通りに食べさせてもらいましたよ。大丈夫です」

「分かりました。それては皆さん行きましょうか」


 ヘイデンさんに続いて皆がククル亭を出る。

 宿の横には既に馬が繋がれた馬車が待機していた。その馬車の横では少年が車体のチェックをしてくれている。


「あ、御出発ですか?ご注文の飼い葉をお持ちしますね。少々お待ち下さい」

「私も一緒に行きましょう。皆さんは先に乗っていて下さい」


 飼い葉を持つのは俺だから、わざわざ持ってきてもらわなくても俺が取りに行けば直ぐに済む。


「ありがとうございます。助かります。こちらがご注文の飼い葉です。では馬車へお運びしますね」

「あ、それにはおよびません。私が持つのでここで受け取ります」


 そう言って積まれている飼い葉をアイテムボックスに入れていく。その様子を唖然としながら少年は見つめていた。


「この事は秘密で、ね?」

「は、はい!畏まりました!」


 その少年にチップを渡して厩舎を出て馬車に向かう。


「すみません、お待たせしました」

「ドルテナさん、毎回すみませんね。セベロさん、お願いしますね」


 ヘイデンさんが御者台に座っているセベロさんに出発を伝える。

 その声に応えてセベロさんが馬車を西門へ向ける。


 広場を抜けて西門に到着した頃に日が昇り始めた。しかし既に門は開いていた。開くには少し早い気もするが……。いつものように警備兵に身分証明書を見せて門を抜ける。

 昨日見たシロメツ畑を横目に馬車は進んで行く。


「ヘイデンさん、さっき警備兵に何か言われてましたが何かあったのですか?」

「えぇ、そういえばドルテナさんには話していませんでしたね。昨日、この街道沿いで魔物がいたと女将さんから聞きましてね。その魔物を見つけた冒険者が取り逃がしたようなんです。手負いの魔物でも十分に危険ですからね、警備兵からも注意をと言われたんですよ」


 街道沿いで魔物が出たとなるとこれまで以上に気を付けないといけないだろう。

 危険察知スキルの範囲を広げて周りを見渡していたが、殺気の話の中で気になることがあった。


「あの、魔物を取り逃がしたってことは、逃げたという事ですか?」

「えぇ、何らかの理由で仕留められなかったんでしょうね」


 魔物は攻撃的だから直ぐに襲ってくる。俺は攻撃的=逃げないと思っていた。

 以前、草原で仕留めたウサギの魔物は俺を見つけても逃げずに襲ってきた。まぁあの時は、先手攻撃で仕留めたから逃げる云々ではなかったが……。


 初日と違って車内には緊張感が漂う。幌も俺やヘイデンさんが座っている左右前側のみ下ろして、後ろは視界を確保するために上げたままだ。


 俺も危険察知を広範囲に展開させておく。幌越しでも危険察知のシルエットは分かるから、不自然にならないように気を付けながら視線を全方向に向ける。

 幌の一点をジィ~と見つめていたら変な奴と思われかねない。


「ヘイデンさん、次の村はどんか所なんですか?」

「ツルモ村ですか?そうですね、村の規模はダウゼン村とあまり変わりませんが、ツルモ村では木炭を作っていますね」


 ほぉ、木炭はこの村で作っているのか。


 炭火の焼き肉って鉄板でするより断然うまい。前世では同級生とか商店会の青年部の人達とかでよくバーベキューしていた。

 商店会の場合は話し10分飲み2時間の会合という名の飲み会だったが……。みんな元気かな……。


 で、バーベキューに必要な木炭だが、この世界の木炭は高い。

 前世だとホームセンターとかで安く買えていたが、こっちでは一番安い物でも前世の最高級備長炭並みに高い。高くて買った事ないが。


 価格は、10㎏くらいの量の物が、マホンで80,000バル以上で売られているという超高級品。

 一般家庭ではまず使われない。貴族やなんかは暖房用に使っているらしいが……。


 生産地なら少しは安く売っている可能性はある。割れ物でもいいから安く買えたらいいと思っている。

 木炭を手に入れたら何処かでバーベキューコンロを作ってもらって、アメリカみたいに串に刺して肉を焼く!


 そういえば何処だったか鉱山があるって昔聞いたことがあるな。


 魔物を警戒してか、馬車は山道を走っているにしては少し早いくらいのスピードで街道をひた走る。

 約2時間後、最初の休憩所が見えてきた。


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[気になる点] 「ヘイデンさん、次の村はどんか所なんですか?」
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