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32話

ーコンコンー


 部屋のドアを叩く音で俺は目を覚ました。


「はい、どなたですか?」

「ドルテナさん、おはようございます。エルビラです」

「あ、今開けますね」


 枕元の蝋燭に火を付けてからベッドを降り、部屋の戸に立て掛けてある剣をアイテムボックスに入れて鍵を外す。


 部屋の戸を開けると薄手の部屋着を着たエルビラさんが立っていた。


 うむ……なかなか発育が順調そうだな。


 薄手の服を内側から押し上げている物が、俺の想像以上の発育状態に思わずそう思ってしまった。


 14歳の子供ってこんなに発育がよかったか?だからといって中学生の子供に興味は無いんだが……。


 しかし14歳の中学生と思っていたので子供扱いしていたが、この世界の14歳はレディとして扱った方がよかったのかもしれないと考えさせられた。


「おはようございます。こんな朝早くにどうされたのですか?」


 ノーラさんなら兎も角、エルビラさんか夜這いに来るとは考えられない。そもそも夜這いに来るならこんな朝方ではなく真夜中だろう。


 ……いや、来られても困る。


「実は、父が昨日飲み過ぎたようで二日酔いになってまして……。それで、今日の買い付けに行く時間を少し遅らせてもらえないでしょうか?」


 うわぁ~、ヘイデンさんやらかしたな~。


「私は一向に構いませんよ。そもそも私はお父様の買い付けに同行させてもらうんです。都合はお父様に合わせますので気にしないで下さい。それでいつくらいになりそうですか?」

「ありがとうございます。えっと、お昼前でもいいですか?お昼御飯をここで食べてから出掛けるようにさせてもらえれば……」


 どうやらなかなかキツイ二日酔いになってるようだな。


「分かりました。ではお昼前に食堂で待ち合わせにしましょう。女将には私から伝えておきます。エルビラさんはお父様に付き添って部屋におられますか?」

「いえ、ずっと部屋にいるのも……。ドルテナさんはどうなさるのですか?」

「そうですね。折角ですから街中か外を少し散策してみようかと」


 部屋にこもっていてもしょうがない。街中は午後からも見られるから外の様子も見てみたい。


「あ、あの!もしお邪魔でなければ、その、わ、私もご一緒させてもらえませんか?」

「えぇ、構いませんよ。もう少ししたら夜が明けるでしょうから、一緒に朝御飯を食べたら出掛けましょうか?」

「はい!それではまた後ほど声をかけますね」


 そう言ってエルビラさんは部屋に帰っていった。


 完全に目が覚めてしまったので、部屋の窓を開けて外の清々しい空気を入れる。夏だが山の中と言うこともあり、朝は少し気温が低い。


「顔でも洗いに行こうかな……」


 部屋着から戦闘服に着替えて外套を羽織り、部屋を出て1階に降りて食堂を通り過ぎ外に出る。

 ここに井戸がある。

 アイテムボックスから自分用の桶を出してそれに水を汲む。井戸水は夏場でも冷たいので顔を洗うと気持ちがいい。


 顔を洗った後は空になった水筒に水を入れておく。空になった3本の水筒に水を入れ終わった頃、エルビラさんも井戸にやって来た。薄手の部屋着から普通の服に着替えていた。


「よかったら私の桶を使いますか?」

「よろしいのですか?ありがとうございます」


 アイテムボックスから先程の桶を出して水を汲み、エルビラさんに渡す。

 井戸には備え付けの桶もある。あるが、あまりキレイではないので俺の桶を貸したのだ。


 顔を洗い終えたエルビラさんと一緒に2階まで戻る。部屋に顔を拭いたタオルをクローゼットにあるハンガリーに掛けておく。夕方には乾くだろう。


 後はエルビラさんが用意できたら呼びに来るので、それまで部屋でゆっくりと待つ。女性は何かと準備があるものだ。


ーコンコンー


「ドルテナさん、お待たせしました」


 エルビラさんの準備が終わったようだ。


「はい、それでは行きましょうか」


 部屋のドアを開けると、朝は髪の毛を下ろしていたエルビラさんが今はキレイなアップスタイルになっていた。

 一緒に食堂へ行き、女将に声をかける。


「おはようございます。朝御飯を食べに来ましたが大丈夫ですか?」

「はい、ご用意できてますよ。お2人ともお席に座っていてください。お持ちしますので」

「分かりました。ではお願いします。それと、私とエルビラさん、ヘイデンさんの3人はこちらでお昼御飯を食べたいと思いますので、用意をお願いします」

「かしこまりました。ご用意いたします」


 お昼御飯をお願いしておいて席に着く。暫く待っていると、部屋の案内をしてくれた少女が運んできてくれた。


「おはようございます。こちらになります」


 パンと生野菜、焼いたハムにスープがワンプレートに乗っていた。チップを渡してプレートを受け取る。


「ねぇ君、この後、二人で村を見て回ろうと思うんだが、どこかおすすめの場所とかお店とかある?」

「そうですね……。木工細工のお店、燻製などがおすすめですね。後は東門の先に川があります。徒歩でもそんなに時間はかからないので、川辺でお昼御飯を食べるのもいいですよ」

「川は無理かな。昼までに帰ってこないといかないからね」

「それなら、西門から出て道なりに行くと、左手にシロメツの畑があります。丁度花の咲いている時期ですのできっとキレイですよ」


 木工細工と燻製のお店の場所を聞いてチップを渡した。


「ありがとうございます!」


 少女は嬉しそうにチップを両手で持って下がって行った。

 燻製か。少し買っておくといいかもな。女の子的にはやっぱりシロメツかな?


「エルビラさん、どうします?さっき教えてもらったところで何処か行ってみたいところありますか?」

「シロメツは少し興味がありますが、ドルテナさんと一緒ならどこでもいいです」


 やはりシロメツの方らしい。燻製屋も西門の近くだから丁度いいだろう。


「分かりました。私は燻製屋が気になるのでそこに寄った後にシロメツを見に行きましょうか」

「はい、分かりました」


 昼までには十分戻れるだろう。問題はヘイデンさんが復活しているかどうか……。

 朝御飯を食べ終えた俺達は女将にお礼を言って宿を出た。


「エルビラさん、行きましょうか」

「はい」


 広場を抜けて西門を目指す。すると目的の燻製屋が見えた。食欲をそそる匂いがしてきた。朝御飯を食べた後だがお腹が鳴りそうだ。


「凄くいい匂いがしますね」

「本当に。期待できそうですね」


 店先に並んでいる数々の燻製を見ていると、奥から年配の女性が現れた。


「いらっしゃい。何かお探しかい?」

「いえ、昨日ダウゼン村に着いたのですが、泊まっている宿でここの燻製がおすすめと聞きまして。どういう物があるかなど思って来たところです」

「それはそれは。そうねぇ、この時期だと鹿の燻製かしら。脂がのっていて旨味があるから、噛めば噛むほど味が出るわよ」


 それは美味しそうだな。貰っとくかな。


 その説明で思わず衝動買いをしてしまったが美味しそうなので良しとしよう。


「では鹿の燻製を貰おうかな。後は何かありますか?」

「豚の腸詰めはどう?スープに入れても焼いて美味しいわよ」


 腸詰め、つまりソーセージのようだ。


 いいねぇ。火で炙って食べたら最高だな。


 掌サイズの鹿の燻製を10個と、繋がったままのソーセージをそのまま貰うことにした。1㎏位はあるだろう。


「まぁ、これはこれは。たくさん買っていただきありがとうございます。34,000バルになります。後で宿までお持ちいたしますね」

「あ、いや、持って帰ります」


 34,000バルを渡して燻製を受け取りアイテムボックスに入れた。


「あ、そうだ。たくさん買っていただいたお礼です。これは鹿の肝の燻製です。量があまり取れないので常連さんにしか売らない物なの」

「いいんですか?ありがとうございます」

「この肝の燻製はね、精が付くって言われてるの。奥様の分もあるから一緒に食べて下さいませ」


 エルビラさんを俺の妻と勘違いしているようだ。勘違いされたエルビラさんは顔を真っ赤にして思考停止中だ。そんなエルビラさんの手を引いて燻製屋から移動した。


「わた、わたしが、奥様……お………」


 14歳と13歳がどうやったら結婚できるんだよ。この世界では16歳にならないと結婚は出来ない。俺もエルビラさんも16歳には見えないだろうに。


 あのおばちゃんのセールストークだろうな。


 とりあえず肝の燻製は俺が貰っておこう。


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― 新着の感想 ―
部屋に顔を拭いたタオルをクローゼットにあるハンガリーに掛けておく。 多分、ハンガリー → ハンガーの間違いなのではないのでしょうか?
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