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29話

ーガタッ!……ゴトッ!……ー


「ん…………ん~~ん!」

「まだ寝ていても大丈夫ですよ。次の休憩地まではまだ時間がありますから」


 いつの間にか車内で寝ていたらしい。今朝は起きたのが早かったから馬車の揺れで気持ちよくなり睡魔に勝てなかった。


「すみません、いつの間にか寝てました」

「朝が早かったせいでしょう。エルビラもこの通りですし」


 ヘイデンさんの横に座っているエルビラさんを見ると、彼女は気持ちよさそうに寝ている。


 馬車は林を抜けて森の中を走っている。林に比べて少し勾配がでてきた感じがする。

 危険察知には相変わらず黄色の反応がポツポツあるが、林の時と同じで馬車から距離があるので襲って来ることはなさそうだ。

 危険が無いので、ボ~っと御者の方から見える景色をなんとなしに眺めている。

 それから30分くらい経った頃、急に開けた場所に出た。


「着いたようですね。ここでお昼御飯にしましょう」


 太陽もだいぶ上になってきている。お昼より少し早い時間かな?出発が朝早かったので、そろそろお腹が減ってきた頃だ。


「皆さん、ここでお昼御飯の為に長めの休憩としましょう」


 お昼御飯は各自で用意することになっている。

 俺は、馬達の世話をしてからお昼御飯にする。


 馬の近くの木を背もたれにして座り、水筒と屋台で買ったサンドイッチをアイテムボックスから取り出す。するとそこへエルビラさんがやってきた。


「御一緒させてもらっていいですか?」

「えぇ、構いませんよ。お父さんはよろしいのですか?」

「はい、父はあちらで食べてますし」


 そう言って視線をヘイデンさんの方へ向ける。ヘイデンさんはノーラさんとパメラさんに挟まれて楽しそうにお昼御飯を食べている。


(あれじゃぁ娘はいずらいわな……)


 そんなヘイデンさんを放置して、エルビラさんは俺と同じ木を背もたれにして座った。エルビラさんもサンドイッチだった。


「エルビラさんもサンドイッチですか、同じですね」

「はい、同じです。朝作ってきたんです」

「朝ですか。さすがですね。私はあまり料理が得意ではないので作れる方が羨ましいです」


 全く作れないわけではないが、この世界では作ったことがない。


「家での料理は私の担当なので。でもあまり作れる種類は少ないですよ。でもこれから頑張って覚えます!」


 何やら気合いが入っているようだ。料理が作れると女子力があがると思うのでいい事だと思うよ。


「エルビラさんもこういう旅は初めてなんですよね?不安になったりしないんですか?」


 14歳の女の子が魔物がいる森を抜けたりする旅に行くのは怖くないのかと思っていた。14歳って前世では中学生。まだまだ子供だ。


「不安でしたよ。家に一人で留守番をする方が危険だと思うので、父に付いて行くしかなかったんです。護衛の冒険者さんもいるし、女性の人も含まれるように父がしてくれるというので……。それに、ドルテナさんも一緒に来てもらえることになりましたから、不安はなくなりました。なので、今はとても楽しいです♪ドルテナさんはどうですか?」

「準備は十分してきましたので不安はありませんよ。他の街に行けるのでとても楽しみです。この旅に誘ってくれたエルビラさんには本当に感謝しています。ありがとうございます。護衛の冒険者の方々もランクは分かりませんが、4人もおられますしね」


 今回、護衛として雇った冒険者達のランクは聞いていない。

 確かギルドの護衛依頼はランクDからだった記憶がある。だから護衛依頼が受けられるって事は少なくともランクDだろう。

 ランクDの4人なら通常の魔物から2人を守ることは十分可能だろう。

 最近は変異体の報告はないとアビーさんも言っていたし。万が一の時は俺も戦えばいいか。


「若いお2人さん、楽しそうね~。お姉さんも混ぜてくれるかなぁ~」


 立っているノーラさんが顔をニヤァとさせながら、座っている俺達にその顔を近づけてきた。

 顔の下には顔と同じサイズくらいの2つの山が見える。その山々から目が離せないのだが……


「2人とも初めての旅ですからね。少し気持ちが昂ぶっているんですよ。ノーラさんはもうお昼御飯終わったんですか?」

「ええ、エルビラちゃんはあなたを待ってたけど、私達はあなたが馬の世話をしている間に食べちゃったわよ。はぁ~、いいわねぇ青春って」


 エルビラさんは気を使って待っててくれたのか。俺は一人でも大丈夫なのに。


「べ、別に、そういう意味で待ってたわけてはないですよ!」

「あら、そういう意味とはどういう意味だったのかしら?」


 あぁ~あ、エルビラさん顔を俯かせたまま動かなくなっちゃったよ。


「ノーラやり過ぎ。2人の邪魔をしない。それとその姿勢は青少年に悪影響を与えるから止めなさい」

「あ、パメラ、いや、これはね、ちょっ、待ってよ、ねぇ─── 」


 ノーラさんの後ろから現れたパメラさんに首根っこを捕まれて、あの姿勢のまま連れて行かれた。歩く度に山がユサユサと揺れる光景はすさまじい物だった。


 そういえば、この世界には寄せたり上げたりできるブラジャーというものがない。なのでノーラさんのあれは天然物。補正の入っていない天然物。つまりモノホン。


(ノーラさんパネェ)


 ノーラさんの破壊力を改めて感じていると、横から視線を感じたのでふとそちらを見た。

 するとエルビラさんが冷たい目をしてこちらを睨んでいた。



(う!……でもエルビラさん、あれを見るな言うのは男にとって無理な話ですよぉ)


 ノーラさんの破壊力を再確認した休憩も終わり、再びダウゼン村に向けて馬車を走らせる。


 森の中は夏でも涼しい方だ。街道の脇にうっそうと茂った木々が、夏の日差しを遮ってくれている。


 鳥のさえずり、森を通り抜ける風の音、その風で揺れる木や葉の音。お腹も満たされた体には全てが睡眠へと誘う唄に聞こえる。


 午後から俺の横に座るようになったエルビラさんは、俺の左肩にもたれ掛かりながら既に夢の中へと旅立っている。

 向かいの席ではヘイデンさんがコックリコックリと船をこいでいる。ヘイデンさんの横にはノーラさんが座っていて、後方を警戒している。

 俺の右にはパメラさんが座り、エルビラさんと同じ様に俺の右肩にもたれ掛かりながら寝ている。

 

(おいおい、護衛が寝てどうすんだよ!)


「ドルテナくん、ごめんね。暫く肩を貸してあげて。あ、何ならそのまま押し倒してもいいわよ。私が許してあ・げ・る♪」

「あははは、パメラさんは十分魅力的ですが、そんなことはしませんよ。それにノーラさんが許可を出しても全く意味ないですから」

「そうねぇ。パメラに手を出すならエルビラちゃんを先にしてあげてね。その方がきっとうまくいくわ♪」

「いや、なにがどううまくいくんですか……」


 ったく、この人は。俺はどちらにも手は出さないよ。


「そんなこと言ってるとパメラさんに怒られますよ」

「大丈夫よ。パメラは熟睡してるから聞こえてないわ。あ、ちゃんと後方は私が警戒しているから問題ないわよ」


(いや、そういう問題かよ。この人の行動はイマイチ読めないよ)


 とはいえ、女性に寄りかかられて嫌な気はしないから、2人が起きるまでこのままでいいか。

 危険察知には赤い反応はない。このままダウゼン村まで平和に行きたいところだ。


 結局、次の休憩場所まで2人は起きなかった。


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