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25話

 翌日。


 今日は、オープンテラスのあるパスタ屋で教えてもらったパン屋さんに来ている。


 この前はあまり商品が陳列されてなかったが、今日はしっかりと並べられている。いい時間に来られたようだ。


 店内にはバターの焼けた食欲をそそるいい匂いで溢れていた。思わず全種類3個ずつ買ってしまった。

 お昼前の空腹時に買い物をすると、ついつい買いすぎる。因みに、これとは別に今日のお昼御飯用のサンドイッチを買ってある。

 会計を済ませて店を出て、近くの広場で買ったばかりのサンドイッチを食べる。


 この後は、旅に供えてまだ使ったことがない武器の練習をする。

 場所はいつもの南門を出た先にある草原だ。今日も道すがらハーブとオバ草を採りながら行く。


「さてと、今日はこれを使ってみるかな」


 アイテムボックスから取り出したのは、アサルトライフル【FN SCAR-H】のサプレッサー付きだ。

 お決まりの所有者登録、からの鑑定で持ち方などを覚える。


「ふむふむ……なるほど……ここを覗くと……ほぉほぉ。よし、やってみるか」


 まずはセミオートでやってみる。右肩にストックを当てて照準器を覗く。

 深呼吸をして息を止め、トリガーに掛けた指に力を入れてゆっくりと引く。


ー ダンッ ー


「っな! 結構な音だな。サプレッサー付けてあんのに……P90に比べたら倍近くデカいからなぁ。それに反動も割とあるな」


 的まで17~18m。大体思った場所に撃てそうだ。


「次はフルオートだな」


 再び的に向かって構え直してトリガーを引く。


ー ダダダダダダ─── ー


「P90より撃ってる感があるな。手と肩にくる衝撃が全然違う。こっちの方が威力も高そうだな。しかし……デカな。ずっとP90を使ってたからそのサイズに慣れてるのかもなぁ」


 このFN SCAR-Hにはスコープが付けられており倍率も変えられるようになっていたのでそれも試してみる。


「ここで倍率の調整か。倍率って言われてもわかんねぇなぁ」


 と呟き、実際に覗いてみた。


「おぉ?!スゲェな……。あんなに遠くの木がここまで見えるのか。これなら遠くからも狙いやすいな。近くても遠くても使えるのか。森にいる猪なんかは遠くから狙いたいからスコープは重宝するかもな」


 普通の獣は兎も角、魔物相手の場合は先手が取れる上に遠くから狙えるから、かなり有利に戦えるはずだ。今度の旅は護衛の冒険者がいるから俺の出番はないけど。

 その後、遠近両方の的を狙う練習をしてから街に戻ってきた。


 昨日行った服飾店に、クッションカバーを受け取りに行く。お昼にはできているということだから、この時間なら問題ないだろう。


「こんにちは。昨日お願いした物を受け取りに来ました」

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。こちらになります。ご確認ください」


 そう言って、クッションカバーを出してくれた。渡していたペラペラクッションは、カバーの中に収まっているようだ。

 イメージ通りに作ってくれている。縫い目も丁寧な仕上がりだな。これなら簡単に解れたりしないだろう。

 薬剤店の彼女に渡すつもりのカバーも仕上がっている。こちらは四隅に小さなリボンがあしらわれており、女性に受けそうだ。


「ありがとうございます。イメージ通りですね。こっちはリボンまで付けてもらって、いい仕上がりです」

「はい、女性にお渡しになるとお伺いしましたのでリボンを付けさせていただきました。彼女さんに気に入っていただけると思いますよ」


 女性スタッフさんが素晴らしい笑顔で伝えてくれたのだが、若干ニュアンスが違うような……まぁいいか。

 クッションカバーを受け取ってお礼を言い、店を後にする。


 次はギルドだ。

 暫くマホンを離れるので、その件を伝えておかなければならない。

 これは冒険者に義務付けられていることなのだが、街を離れる際は必ずギルドに伝えなければならないことになっている。

 ギルドが冒険者を把握していないと、街にいない冒険者への指名依頼を受けてしまう可能性があるからだ。


 また、ここ数十年は起こっていないが、隣国との戦争だ。

 もし攻めてきた場合、こちらの戦力を把握するためにも街中にいる冒険者つまり戦力をギルドが知らないでは済まされないからだ。


 ギルドにやって来た俺は、依頼受け付けカウンターに向かう。

 このカウンターに来るのは初めてだ。見習いとはいえランクFになった俺が依頼受け付けカウンターに行ったことがないとは何とも不思議だ。

 そしてここのカウンターも受け付けはきれいな女性だ。


「すみません、出発予定は数日後で、20日間くらいマホンを離れるので手続きに来ました。ここのカウンターでよかったんですよね?」

「はい、こちらで伺いますよ。どちらに向かわれるのですか?」


 薬剤店の事と目的を話しておく。勿論、依頼ではなく単なる旅の同行者として。


「分かりました。山賊が出ているという報告はありませんが、ワカミチ村までお気を付けて下さい。それでは確認のためカードを見せてもらえますか?」

「ありがとうございます」


 お礼を言ってカードを渡す。カードを受けたった受け付けの女性は、カードを見ながら手元の紙に記録していく。


「はい、お預かりします。えっとドルテナさんですね。目的地がワカミチ村と。冒険者見習いさんで、ランクが……F……。あぁ、あなたが噂の冒険者さんでしたか。これからも期待していますよ」


 噂の、ですか。まぁ、13歳の冒険者見習いでランクFなんてね。そりゃぁ色々と内部では言われているんでしょうね。きっと。


「ご期待に応えられるかどうかは分かりませんが頑張ります」


 カードを返してもらい、アビーさんにも旅に出ることを伝えておく。


「ワカミチ村ですか。あの辺りには山賊が出たという報告もないですし、魔物の変異種の報告も今の所ありませんが、気を付けて行って下さいね。森に入ると視界が悪くなります。物陰から急に魔物が現れることもあります。変異種の報告はないですが、魔力溜まりはどこで発生するか分かりません。報告がないだけで、変異種が街道沿いにいる可能性も十分あります。他の冒険者の方がいるようですが、戦闘は極力避けて下さいね」

「はい、初めての旅なので無茶なことはしません。怪我をしては元も子もありませんからね」

「本当にですよ?帰ってきたら、必ず私の所にも報告に来て下さいね?待ってますよ」


 やたらと心配してくれるアビーさんに、帰郷の報告を必ずする事をアビーさんに約束して、ギルドを出た。


 一葉に帰ってきた俺は、裏口から厨房に入る。


「ただいまぁ。伯父さん、ウサギないんだ。あとハーブも少ししかなくてごめん。ここに置いとくね」

「おう。わかった」

「テナー、さっき薬剤店の子が来てたわよ。明日の朝、日の出と共に街を出るから準備をしておいてだって。集合場所は南門だそうよ。あの子、可愛いじゃない。お母さん、あぁいう子ならいいわよ♪」

「何言ってんだよ。そんなんじゃないよ。明日ね、わかった。なら今夜は早く寝るよ」


 何やら母は勘違いしているが放っておこう。

 14歳の女の子に興味はない。彼女も十分将来性があると思うが、それだったらアビーさんの方が……。


 さて、出発日が決まった。思ってたよりかなり早いが問題ない。

 部屋に帰る前に買っておいた水筒に水を入れて準備完了。

 明日の朝は早いから今夜のうちに用意は全て済ませておく。


 いよいよ明日はこの世界で初の旅に出発だ。


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