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11話

 散々な言われ方をしたが、俺にも考えがあったので母に話した。


「お母さん、落ち着いて。見てもらいたい物があるんだ。それを見ても納得出来なければ直ぐに装備を選び直しに行くよ。とりあえず誰にも知られたくないから部屋で、ね?」


 伯父さんに断りを言って、母と二人で部屋に戻る。


「さぁ、何を見せて私を納得させようとしているの?」


 部屋に入り、母に俺が13歳の時に取得した“装備品全解放”について説明をした。

 ただ、自衛隊なんて通じないし、説明するとなると俺が前世の記憶を持っている事も話さなければならなくなる。

 今は前世の記憶の事は知られたくないので単なる戦闘服とした。


「戦闘服?……服?……って服なんかで冒険者ができるわけないでしょ!」


 と言う母を前に、とりあえず着替えてみた。一瞬で服装が替わった俺に母がビクッ!ってなった。

 イーリス仕様のお陰で、この世界ではトップの防御力を誇る戦闘服を剣で刺してもらう。

 鎧より強固なことを見てもらう為だ。百聞は一見に如かずである。

 着たままだと母が刺せないので一旦脱ぐ。その状態でブスッ!と思いっきり穴を開ける感じで刺してもらった。


「えっ?うそ。布なのに刺さらない……」

「そうなんだ、だから外に出るときはこれを着て行くよ。でも街中では非常に目立つから、あのレザーアーマーを買ったんだ。着替えるのも一瞬だからね。これなら安全でしょ?」


 母もとりあえずは納得してくれたようでよかった。

 ただ、「あの人との子なのにどうしてこんなことが……」とブツブツ言っていたが気にしないでおこう。


 とまぁ、そんなこともあったこのレザーアーマーと剣は、擬装用として暫くは重宝することとなる。


「さてと、それでは行こうかな」


 冒険者稼業の始まりだ。

 今日は南門から出た先にある草原が仕事場だ。

 ギルドから配布されたギルドカードを警備兵に見せる。カードが俺の身分証明書になる。街の出入りの際には必ず提示しなければならない。


「生まれて初めての外だな。お父さんが生きていたらもっと早く外の世界を見ることもあったんだろうなぁ」


 街の外は肉食獣なども出るため、未成年の子供だけで外に出ることは許されていない。

 もし出るならば親又は保護者と一緒でしか認められない。


 だから父親が生きていたら外の世界を見せてくれたと思う。


 ……まぁ過ぎたことはいい。


 さてと、今日の仕事は伯母の宿“一葉”からの指名依頼だ。

 依頼といってもギルドを通している訳ではない。ギルドを通さずに依頼を受けても問題はないが、何かトラブルに遭った場合は個人の責任となる。

 ギルドを通している場合はギルドが間に入ることで迅速に解決することが出来るため、冒険者もよく知っている相手ではない限り、個人的に依頼を受けることはない。


 さて、その依頼内容だが草原に生えているハーブの採取と草原にいるウサギの肉だ。

 草原にはハーブの他、治療薬の原料となるオバ草という薬草が生えているが、雑草の中からこれらを見分けなければならない。


 どの草がハーブなのかオバ草等の薬草なのかは薬師等から特徴を教えて貰うか、図書館などで利用料を払い本を閲覧し覚えるしかない。

 が、俺は鑑定スキルがあるので問題ない。調べたい草を片っ端から鑑定しまくる。


「これは雑草、これも……ない……ないな」


 この辺りは街から近いからか、ハーブもオバ草も全く見つけられない。

 もう少し林に近いところの人気がない場所で探すことにした。

 ここまで街から離れているなら、人に見られる心配もないだろうから自衛隊戦闘服に着替える。


「これをいつも着られればいいなぁ。この上から被れる#外套__がいとう__#を用意するか」


 戦闘服を着ていても人目に付かないようにするには、外套を被れば大丈夫だろう。それに一瞬で服装が替わるので着替える場所を考えなくてもすむ。

 イーリス仕様のお陰で、暑いときは涼しく、寒いときは暖かくしてくれる機能はかなりありがたい。

 更に肉体強化の恩恵もあり作業が楽にできる。戦闘服に着替えたので早速ハーブ探しを再開する。


「この辺なら林も近いし大丈夫だろう。どれどれ……お、早速ハーブを見つけた。ん?その横はオバ草か。うん、やはりこの辺りまで来たら結構あるな」


 人が余り来ないからか、先ほどの場所より圧倒的に数が多く見つけやすい。

 ハーブは途中から刈り取ればいいが、オバ草という薬草は根から採らないといけない。


 このオバ草、見た目はカブの葉にソックリで、土の中にはカブのサイズよりもっと小さく二十日大根位しかない。

 途中から刈り取ったオバ草は成分が抜け落ちただの草となるそうだ。なのでオバ草は刈らずに周りの土を掘り、根からきれいに採らなければならない。


 手間が掛かる採り方だが草原にあり魔物の危険性がほぼない場所に自生しているため、オバ草自体の買い取り価格は高くない。

 土を掘り返すから大変だが肉体強化のお陰もあり、大した時間も掛からずにハーブは依頼されていた量より多目に確保でき、オバ草もかなりの量が採れたので、売れば日当くらいにはなるだろう。


 ハーブは片が付いたし、せっかく人気の少ない林の近くに来たのでやってみたいことがある。

 俺が持っている武器の練習だ。


「さてと、どれを使ってみるかな。グレネードを使ってみたいが爆発音を出せば近くの動物も逃げるだろうな」


 この後に、ウサギを狩る予定なのでそうなっては困る。それにこの辺りなら森まで音が届くから、冒険者がいた場合は説明が面倒だ。


「音を出さないように、音を小さくするサプレッサーってやつを付けられる物がいいな」


 初めてアイテムボックスを知ったときに、一度取り出したことのあるハンドガン【FN Five-seveNファイブセブン】を選んだ。

 ハンドガンとサプレッサーを認識して、取り出すイメージを持つと手にハンドガンが現れる。


「あの時はまだ6歳で体が小さかったから少し重たく感じたけど、今なら肉体強化のお陰もあるからかなり軽く感じるな。肉体強化されている今なら発砲の反動で体が後ろに飛ばされることはないだろう」


 的は、近くに1本だけポツンと生えている木があるので、幹にサバイバルナイフでガリガリと×印をつけてそれを狙う。

 射撃方向に人影がないことを確認し、木から距離をとる。


「初めてなんだからあまり距離があると当たらないだろうし、この辺でいいか」


 とりあえず10m程離れて、手にしているハンドガンをみる。


「正しい構え方とか姿勢とか素人にゃわからねぇぞ……トリセツとかないしなぁ」


 思わず呟いてしまったが、ふと思った。


「鑑定したら説明とか出ないかな?物は試しだ、やってみよう。“鑑定”」


 すると、詳細が出てきた。



▼▽▼▽▼▽


【登録者ドルテナ】

登録者以外使用不可。登録者から長時間離れた場合、アイテムボックスへ収納される。

【イーリス仕様】

自動修復:破損部分を修復し初期の状態を維持する。(汚れにも対応)

重量軽減:重量を90%軽減する。(使用者のみ)

自動装填:アイテムボックス収納時に自動装填。

【概要】

種類:軍用自動式拳銃

製造国:ベルギー

etc.……


▲△▲△▲△



 重量軽減のお陰で5歳の時でも持てたようだ。アイテムボックスに入れると弾を装填してくれるのは助かる。自分でマガジンを交換することも可能なようだ。

 概要の中に簡単な説明があった。やってみるものだ。

 銃の持ち方、狙い方など基本的な物だが素人には助かる。


「先ずはこれをスライドさせて、左手はこうなのか……親指がここでっと。で、狙いはこことここを……なるほど。とりあえずやってみるかな」


 衝撃がどれくらいなのか分からないので、足を前後に開く。

 深呼吸をして息を止め、説明の通りに狙いを定めてゆっくりと引き金を引く。


ー タンッ ー


 手を思いっきり叩いたような音が辺りに響いた。衝撃は思ったほどの物ではなかった。


「おぉ~。意外と音出るんだ……マンガみたいにもっと静かなのかと思ってた。でもこの程度なら離れている人にはあまり聞こえないかもな」


 肉体強化の恩恵がどのように作用しているかは分からなかったが……。結果、×印から多少外れていたが木には当たっていた。


「……まぁ木には当たったか。しかし銃ってすげぇなぁ。とりあえず暫く練習したら狙い通りに出来そうだな」


 この後、20mくらいまで距離を広げて練習を行った。

 途中、休憩を兼ねて母が作ってくれたサンドウィッチを食べ、結果60発を撃ち的の×印周辺に当てられるようになったので、一旦練習を終える。


 夕暮れにはまだ時間はあるが、今日はウサギ狩りを諦めよう。練習の為にずっと音を出し続けていたから、この辺りにはもういない可能性が高い。

 オバ草が結構な量あるから日当分の稼ぎにはなるだろう。冒険者初日から無理をして、けがを負っては幸先が悪い。


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