嵐の前触れ
その夢はあまりみたくないものだった。それは、この集落が襲われている夢だ。人の形をした鳥型の魔物が飛びながら住んでいる人を襲っている。
そこには和人とアルカネの姿があった。
魔物はなかなか強いらしく、結構な手傷をどちらも負っている。力尽きるのも時間の問題だろう。数分した後、和人とアルカネを筆頭にした
戦線は崩れ、誰ひとりとして生き残ったものはいなくなった。
「はぁっ…はぁっ… 」
目が覚めると日は既に昇っていた。体は汗だくだ。ふと、和人は体に違和感を感じた。体を巡る魔力が少ないと感じたのだ。ステータスカードをみると、魔力値が半分程度消費され、アビリティが増えていた。
アビリティ 『危機察知』LV.1
「危機察知ってのは今の夢か?」
だとしたら襲撃は必ず起きるだろう。アルカネに伝えておかなくては。
下に降りるとアルカネが朝食を作っていた。
「おはよう、カズト。なんかすごい汗ね。なにかあった?」
「危機察知っていうアビリティが出てきたんだ。それでこの集落が襲われる夢を見たんだ」
「ちょっとそれ、詳しく聞かせて!」
和人はアルカネに夢の内容を話した。魔物の集団など、見たことを一通り話すとアルカネは立ち上がった。
「いつ来るかわからない以上、早く剣を教えなくちゃ。急ぐわよ」
そう言うと外へ出て行ってしまった。
「ちょっと待ってよ、アルカネ」
追いかけるように外へ出ると、アルカネが木刀を持ってきた。
「これを使って教えるわね。私の我流だから少し変わってると思うけど気にしないで。じゃあ基本的な戦い方からね」
それからアルカネの剣技の指導がはじまった。
アルカネの戦い方はヒットアンドアウェイやカウンターを用いた戦い方だった。そのため、遠距離にはめっぽう弱いらしい。3時間ほど練習すると、基本的な型は出来るようになった。
「一旦休憩にしましょう」
それからしばらく2人で昼食を取りながら談笑していた。すると遠くから若い男が走ってきた。
「ア、アルカネさん!魔物の群れです!救援をお願いします!」
どうやらもう戦うことになるらしい。
「きたわね。いくわよ、カズト!」
「はい!」
僕たちは集落へ走っていった。
集落の防衛戦が始まろうとしていた。
「あの男が余所の世界から来た魔術師なの?どっからどう見てもただの人じゃないの。あんな大量の魔物をけしかけなくても良かったかな?でも上からの命令には逆らえないし、どうしよう。とにかく頑張って生き残ってね」
次は初めての戦闘です。
銃器も少しだけ出ます。
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