全ての始まり
初投稿です。設定も特に考えずに書いたので至らない点や拙い文章などが多々あると思いますが、優しく見守ってくださればありがたいです。
いつもの学校の帰り道、目的も無く歩く帰り道、またつまらない一日が終わる。
どこにでもいる高校生、一宮和人は自分の家へと向かっていた。今日は新しい小説を買いに行くのだ。一度家に着いたら駅前の大きな書店に急いで行かなければ。
「あの主人公はどう暮らしているんだろうなあ」
小説のことを考えているといつの間にか家の前に着いていた。部屋に戻り素早く着替えて玄関を出ると、すぐ前の道路に見知った顔がいた。相手も僕に気づいたのか手を振ってきた。
「あっ、和人くん。久しぶり!これからどこに行くの?」
「どこって、駅前の書店だけど」
「ねえ、私も付いていっていい?私も見たい本があるんだ」
「いいよ。そのままくる?着替えるなら待ってるけど」
「ううん。このままでいいよ」
「じゃあ行こうか」
今話していたのは近所に住んでいる幼馴染みだ。名前は平井永遠。最初に名前を見たときは「えいえん」と読んで叩かれた記憶がある。彼女とは昔からよく遊んだ仲だ。
遊んだと言ってもFPSで対戦したり、RPGのレベル上げを一緒にしたり小説を読むくらいだ。とはいえ、僕のただ一人の大切な友人だ。
今から買いに行く本は、見ず知らずの世界に飛ばされた主人公が現代の知恵と飛ばされた世界の武器を掛け合わせて生き抜く、サバイバルとファンタジーの混ざった小説だ。
普段が退屈だからこそ、そんなありえない仮想に心を躍らせるのだ。
しばらくして、永遠と話をしながら信号を渡っていた時、事件は起きた。風を切るような速さでトラックが突っ込んで来たのだ。運転手は気持ちよさそうに船を漕いでいる。
僕は咄嗟の反応で永遠を庇ったが間に合わず、僕らは宙を舞っていた。目が覚めるとそこはアスファルト。まだそれほど時間は経っていないようだ。痛む頭を折れていない左手で押さえながら永遠を探した。
少し離れた場所に「それ」はいた。体中の骨が折れ、倒れている永遠がいた。駆け寄って名前を呼ぶと、微かながら返事が返ってきた。
「和……人………君?」
「永遠!大丈夫?」
「私……もうダメみたい……」
「諦めちゃだめだよ!」
そう言ったとき口から血がこぼれ落ちた。
どうやらフロントガラスの破片が胸に刺さっていたらしい。
脇に倒れると一言呟いた。
「またどこかで……会えるといいな……」
「うん……私ね……ずっと前から……和人のことが」
そこまで聞いて、僕の意識は暗転した。
風の吹く音がする。鳥のさえずりが響く。目を開けると開けた森のようだ。体には傷ひとつない。いったいどうなっている?
辺りをみると、白いキューブのようなものと本が置いてあった。
本を開いて読んでみると、「そのキューブは自分の能力を示す。力を得れば記録される。わからない事もキューブが示す。力を付け、生き延びろ。できなければ待つものは死」
という内容が書かれてあった。いったいどうしろと?
「永遠はこの世界にいるか?」
キューブに問いかけた。しばらくしてキューブが光り出し、声が聞こえてきた。
「この世界には存在する。場所は特定出来ない。」
そう頭の中に響いてきた。くそ、使えないな。まあいいか。永遠がこの世界にいるならなんとしても探し出して見せる!