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Let There Be Love  作者: 武城 諸行
Ⅱ D'You Know What I Mean ?
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僕はもう一度メールの文面を確認した。


「突然のメールでごめんなさい。

僕はあなたに謝らなければならないことがあります。僕はあなたのことを本気で愛していましたが、僕にはあなた以上に好きな相手がいたということです。

今まで嘘をついてきてごめんなさい。

でも、あなたと付き合っていた四ヵ月間、僕は心の底から幸せでした。本当に感謝しています。

これからも一人の友人として接してください。」


文章のつながりが変ではないか、誤字脱字がないか…。

僕はそう何度も見返した。誤りはもう見つからなかった。

それでも僕は迷っていた。はたしてこのメールを本当に彼女に送るべきなのかを。それはこのメールの内容がすべて嘘だったから。僕は彼女のことを今でも愛しているし、彼女以上に好きな人はいない。ましてや、まだ彼女との関係を続けたいとさえ思っている。しかし、これ以上は我慢できそうになかった。彼女が本当に僕のことを好きでいてくれているか分からないからだ。僕は彼女に嫌われることが何よりも怖かった。それは彼女のことを本気で愛していたからだ。


 僕らが付き合い始めたのは夏休みが始まる前のことだった。もっともそれよりも前から僕は彼女のことが好きで、彼女が言うには彼女も僕のことが好きだった。僕らは同じ近所の合気道道場に通っていてそこで知り合った。その道場には僕らのような高校生はいなく、僕ら二人以外は皆大人であった。そのせいか道場の師範が気を利かせてくれたおかげもあり、合気道経験者の僕は初心者の彼女に技を教える機会が多かった。おかげで僕らは次第に仲良くなっていったのである。僕らの仲が一気に縮まったのはメールのおかげであった。道場の稽古は週に一回でそのため彼女とは週に一回しか会うことができなかった。しかし、現代科学技術の進歩は素晴らしい。メールアドレスを彼女と交換すると、携帯電話を介して彼女との会話が毎日可能となったのである。僕は男子校のおかげであまりと言うよりはむしろ全く女子とメールのやり取りをしたことがなかったので、彼女とのメールのやり取りに初めは手間取った。しかし、彼女が話し上手であったことに救われ、尽きることなくさまざまなことを二人で話した。しばらくするうちに、その話は恋愛話へと進んでいった。僕は恋愛経験などほぼないに等しかったが、好きな相手と恋愛話をするという行為は胸躍る行為であった。お世辞でも僕に対してかっこいいなどと言ってくれた時には心臓の鼓動が抑えられなかった。

 そんなある日のことであった。僕が彼女からメールで告白されたのは。僕は小躍りした。心臓の鼓動が今まで経験したことのないほど大きく鼓動を打っていた。素直にうれしかった。本気で愛していた彼女に好きと言われたのだから…。僕はすぐに自分の気持ちを伝えて、彼女と付き合うことになった。

 初デートはありきたりだが、映画館であった。正直映画よりも隣にいた彼女のことが気になって内容はほとんど覚えていない。覚えていることと言えば、映画の中のキスシーンに合わせ、僕たちもキスしたことだった。僕は初めてのキスだった。僕らはお互い相手に求めるわけでもなく、以心伝心したかのように息をそろえてキスをした。僕らの関係は最高だった。今思えば、このデートの時が僕らの関係の最高潮だったと思う。

 最高があるということは最低もある。最高な関係を迎えた僕たちはそこから上へ行くことはできなかった。まず、ずっと続いていたメールのやり取りが期末試験のせいで途切れてしまった。おそらくこの辺から下り坂が始まったのだと思う。連絡を取る手段はなく、試験期間中、彼女も僕も道場の稽古は欠席したので、お互いに会うこともなかった。しかし、まだ僕らの関係は終わったわけではなかった。

 期末試験が終わり、7月の終わりごろ、僕たちは2回目のデートをした。と言っても、お互い塾の講習で忙しく、時間が取れなかったため、講習の空き時間に喫茶店で少ししゃべっただけだったが。僕は彼女へのプレゼントを持って行った。彼女は喜んでくれた。それだけで、僕は満足だった。僕はこの流れで彼女に直接好きだということを伝えようと考えていた。というのも考えてみれば僕らはメールでは好きだということを伝えあっていたが、直接お互いにそれを口にしたことはなかった。だからこの機会にそれを言おうと決心していたのである。ところが、結果的には僕にはそれを言うことができなかった。言わなくてはと考えれば考えるほど、言うタイミングを失い、違う話をして誤魔化してしまうのであった。彼女と別れた後、僕は僕が本気で彼女のことを愛しているのか悩み始めた。また、僕と同じく自分の思いを口にしたことのない彼女も僕のことを本気で愛しているのかと…。

 そして、いつからだろうか僕らの会話のネタが彼になったのは…。彼は僕の高校の数少ない友人の一人で、彼女と同じ塾に通っていた。つまり彼は僕らの唯一の共通の知り合いであった。彼は人懐っこく、優しい奴だった。その性格から僕は彼を信用し、彼女との恋愛を彼に相談することが多かった。話のネタが尽きたせいか僕らはいつの間にか彼の話で盛り上がるようになっていった。塾での彼のことを彼女が話し、学校での彼のことを僕が話した。彼は面白い奴だったので、話のネタは尽きなかった。

 そんな中、ある日僕は彼と喧嘩をした。それも今考えれば相当幼稚なものだった。原因は模試の結果である。彼は勉強面において僕のライバルであった。もちろん彼も僕をライバルと思っていたであろう。模試の結果が彼より僕のほうがよかったのだ。僕は素直に喜んだのだが、彼は受け入れられなかったようだった。

「君は何でも手に入れてしまうんだね。」

と彼が僕に言ってきたので、からかって

「君も彼女を作れば点数があがるかもよ。」

と言ってやった。必要のないことを言ったと今では思っている。しかし、当時僕の気持ちは頂点に達しており、何も考えなかった、いや考えられなかったのだろう。明らかにこの発言によって僕と彼の冷戦の火蓋は切られた。彼は僕と同様強情でねちっこい性格をしており、以降僕と彼は頑として口をきかなかった。

 そんな僕らの間に入ったのが、彼女であった。彼女は僕らの橋渡しをしようとしてくれた。彼女は僕の前では彼をかばった。しかしそれが気にくわなかった。と言うよりか、僕の中でそのあたりから彼女に対してある疑念が拡大していった。彼女は僕ではなく彼のことが好きだったのではないだろうかということである。その考えが思い浮かんだとき、すべてが結びついていく気がした。その前からもそう思ったことが何度かあった。なぜなら趣味にしかり、考え方にしかり…、彼女と彼は様々な部分が似通っていた。彼女が僕に直接気持ちを伝えないのは本心では僕を愛しているという気持ちがないためで、彼女が僕と付き合い始めたのも彼に近づくため、彼女が彼の話しかしないのは彼のことが好きであるため…。そんな風に考えると自分が惨めに思えてきた。何よりも冷戦状態にある彼がより一層憎く思えてきたのである…。


更新が遅くなり申し訳ありません。

この夏、私は受動的なことしかできず能動的に行動できませんでした。

そのせいでこんなに更新が遅れてしまいました。

その代わり、様々な小説に影響をされたと思っています。この小説かなと想像してみてください。

それではまた次話で。

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