表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トンネル  作者: 桑 司
2/3

相沢貴理子 承

『女郎トンネル』

それが、トンネルの名前だった。


最初にこのトンネルを携帯で調べた時、写真のあまりの不気味さに「やっぱり止めない?」と皆に言いたかった、しかし、貴理子は周りの楽しそうな雰囲気にそれを言い出せないでいた。


トンネルでは交通事故が多発するらしい。

トンネルに入って何もなくても、数日で死ぬらしい。

トンネルには女の霊がでる。

トンネルには・・・・・・

携帯のサイトには噂話が沢山書かれていた。


貴理子は今、女郎トンネルを目の前にしてやっぱり止めるべきだったと思った。暗闇の中にひっそりと浮かぶトンネルは周りの暗さとトンネル内のオレンジ色の灯りでよりいっそう不気味に見えた


皆は車から降りてから全然喋らなかった。

そんな中、良が先陣を切って喋り始めた。

良「はい、皆さん着きましたね、女郎トンネルに」


李奈「ちょっと!いきなり大声出さないでよ!」


鈴「不気味だね、とりあえず写真に撮っとく」


不安に押し潰されそうだった貴理子は内心で皆が声を出し始めた事を嬉しく思っていた。一が近くに寄ってきて「大丈夫?」と声をかけてきた。

とりあえず大丈夫とだけ答えた。


5人でトンネルの中に入っていく、5人分の靴音がトンネルに反響する

カツーン、コツコツ

コツコツ、カツーン


再び誰も喋らなくなっていた。靴音だけがする。

カツーン、カツーン

コツコツコツ


何も起きずに反対側まで歩ききることが出来た。


良「何だ、何にも起きないじゃないかよ、つまんね」


李奈「何も起きなくていいの、ね、鈴」


鈴「そそ、何か起きないのが当たり前よ」


貴理子はトンネルを振り返る。

(本当に何もなかったの?)

何故かわからないがと言い様のない不安が彼女を襲った。


一を見ると、一と目が合った。

一は目が合っうと貴理子に笑いかてきたが貴理子は返すことができなかった。


良「あれ、これ何?」


良が指差す先には花が花束があった。

道端に花束がある。都会でもよく見る事故現場への供養の一貫だ。

やはり噂は本当なのだろうか。

自分達の時は事故が起きないように神様お願いします。

貴理子はそう思っていた。


「戻るか・・・・」一がそう言った。


再び、トンネル内に入り、今度は車がある方へ歩く。

カツーン、コツコツ

カツーン、コツコツ

と再び、5人の足音がトンネル内に響いた。


その時だった、微かに貴理子の耳に靴音以外の何かが聞こえた。

何かを引きずるような微かな音。他の4人には聞こえないのだろうか・・・・・・・・・


カツーン、コツコツ サッサ

カツーン、コツコツ サッサ


貴理子はその音が何だかわからなかった、きっと風で周りの草が揺れているだけだろうな、と位にしか考えなかった。


帰り道も、特に何もなかった。


車まで着き、皆が乗り込み、一がエンジンをかける、ホラー映画ならここでエンジンがかかるのに手間がかかるはずだが、特に何か障害もなくエンジンはかかり帰路についた。


皆、帰りの車の中では寝てしまってしまい、貴理子と一だけが起きている状態になった。


貴理子「皆で行けて楽しかったね」


一「まぁね」


何気ない話を続けながら無事に家まで着いた。


何もなく終わった。


だけど、貴理子はトンネルを出た後から、妙な不安に襲われ続けていた。


何かが起きそうな予感。


ドキドキでもない、ワクワクでもない何かが。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ