真面目女兵士と一途なタラシ隊長
恋愛小説初めてです。
恋愛ってだいたい最後に結ばれる結末なのが苦手です。人生そんなうまくできてないですしおすし。
でも最近気付きました。これって恋愛の話だけじゃなく、どの話でも言えるわなってこと。
大体人が思い描く理想の物語の結末はみんな知っているんです。戦闘系のものだったら正義のヒーローが最終的には勝つ。恋愛系のものなら主人公が好きな人と結ばれる。推理系なら見事に事件解決する。
大体結末は皆分かっているんです。それなのに物語を読むのを面白いと思うのはその結末に至るまでに色々な出来事を重ねて行く、そんなところを見たくて物語を読む。作者はそこをいかにして面白く書くかを考える。
こんな簡単なこと今まで気付かなかったんです。
まぁこんな話どうでもいいんですけどね。
片手で木製の剣を振り続ける。肩が痺れてきたがまだ限界ではない。
「シロはたくましいな〜」
私は動きを止めて後ろを振り返る。
声の主は鍛錬所のドアの前に立ってにこにこと笑いかけてきた。
「隊長、何か用ですか」
私は疲れた様子を見せないようにわざと声を低くした。
誰から声をかけられたかは気付いていた。毎日聞いているこの男の声はどうも耳から離れない。
「自分の隊員の女の子が夜中に鍛錬所で1人剣を振っているから心配になっちゃって」
隊長はウインクをしながらカッコつけた。無駄に整った顔でやると様になる。“女の子”にはよくやるのだろう。
「そうですか、なら部屋にお戻りください。私の心配は不要ですので」
「冷たいな〜」
頬を大きく膨らませて拗ねた表情をする。イケメンを目指しているのか可愛い子を目指しているのかよくわからない。他人を腹を立たせることを目的としているのなら理解ができるが。
「シロが終わるまで見といてやるよ」
と言って勝手に胡座をかいて座り出す。人の話を全く聞く気がないようだ。私はすぐ隊長に背を向け剣を持ち直す。何か言ってやろうかと思ったがうまく声を出せなかった。
さっきの続きを始める。
5分くらいたっただろうか。
妙に後ろが気になって集中できない。特に声を出している訳でもないし邪魔をしている訳ではないのに。
私は剣をしまって地面に置かれたタオルを首にかける。
「あれ、もう終わるの?」
「はい。集中できないので今日はもうやめます」
隊長はそれを聞いてクスクスと笑う。先程から腹の立つ人である。
「何か面白いことでもありましたか」
「ぜーんぜん!部屋まで送って行ってあげようか?」
「結構です。おやすみなさい」
私はさっさと鍛錬所を出ていってなるべく顔を見ないように帰った。またあの顔を見れば殴りかかりそうな気がしたからだ。
怒りのせいか顔が熱くなって鼓動が早く波を打つ。まったく…隊長がいなければもっとしっかりできたかもしれないのに。もともとあそこで夜中に一人で鍛錬しているのは隊長に早く追いつくためだ。
そんなことを考えているとまた腹が立ってきた。早く寝てしまおう。
部屋へ戻る足がさらに早まる。
☆
「クロさん、ご飯一緒してもよろしいですか?」
「構わないよ。一緒に食べよう」
「ありがとうございます!」
「あ、ウチも一緒に…!」
「いいよいいよ、人数多い方が楽しいだろう?」
「シロ、またクロ隊長のこと見てる」
目の前に友人のモモの顔がいきなり現れた。その途端に現実に引き戻された感じがした。
私の心の中は昨日の夜とはまた違った怒りがある。
「別に隊長を見てない。騒がしいところに目がいくのは必然的、その騒がしいところにいつも隊長がいるから仕方がない」
「はぁ…何っていうか…殴りたいわね」
ため息をつかれながら物騒なことをいう。以前敵勢の男を素手でぶん殴って歯を折れさせたという噂のモモの鉄拳は受けたくない。
「私は殴られるようなことやってない」
「やってないけど腹立つのよ!」
「…?」
何もやっていないのに腹が立つとは私は存在自体を否定されているのか。
「シロはもっと自分に正直になりなさいよ…本当もう…」
軽く頭を小突かれた。本気の殴りが来なかったことに感謝した。
自分の気持ちに正直になれ…とは初めて言われた言葉だ。
「そうそう、シロちゃんはかたっくるしいんだよ」
モモの頭に顎を、肩に肘をついて男が登場してきた。モモはぐへっと言って潰れかけていた。
「アカネ隊長、こんにちは」
「アカネ隊長とかやめろって。学生時代は同じだっただろ?」
「そうだとしても今は上司です」
「バカネ…人の頭に頭乗っけて話続けんじゃねぇ…!」
今モモに吹っ飛ばされたのがアカネ隊長。モモと私とは年齢が同じだが抜群の統率力とリーダーシップが評価され、隊長に任命されている。モモはアカネの隊員である。
「バカネとは酷すぎだろ、仮にも上司だぞ」
「シロには別のこと言ってたクセにどの口が叩いてんのよ」
「シロちゃんは別にいいんだよ、どうせ別の隊で直属の部下じゃねーし」
「あっそうですか、生意気な隊員で申し訳ございませんでした〜」
二人は学生時代から顔を合わせては喧嘩ばかりしていた。いつもこんな時私はおいてけぼりだ。
二人から目を離した。行き場をなくした視線は自然と隊長の方へと向いた。
さっきと変わらず女の子に囲まれて食事をとっている。その真ん中にいる隊長の顔を私は知らない。いや、知りたくもない。
私はまた理由の分からない苛立ちを覚える。あの楽しそうな雰囲気が異常に気に食わない。
私は静かに立ち上がる。早くここから出て行きたかった。
「あ、シロちゃんがキレてるじゃん!」
「はぁ?私のせいじゃないわよ!」
喧嘩していても仲良さそうに見える二人も今は腹立たしい。
お膳を持って無言で二人を置いていく。鍛錬所にでも行って気を紛らわすことにする。
「シロがあんなに感情に振り回されてるの珍しいわ」
「クロのことが関わるとあんなんだな」
「クロってシロのところの隊長?」
「そう、女タラシの一途な男」
「…それってどっちよ。っていうかクロ隊長はアカネの大先輩でしょ?そんな言い方して…」
「それでもクロの方が俺の方来るんだよ」
「…なんでよ」
「理由は分かっていそうな顔してるじゃねぇか、それが答えで構わねぇよ」
「はぁ…本当なのね」
★
昼休みが終わり、会議があるからと女の子達の群れから早めに出てきた。いつも一緒にご飯を食べている奴はいつの間にか隣から消え、完全に一人で囲まれていた。
「よぉ、クロ」
赤毛の幼さの残る笑顔を向ける。コイツがいつも一緒にご飯を食べる男…だがよくどこかへ消えている。そしていつの間にか隣にいる。俺も若くして隊長に選ばれたがコイツはさらに年下で選ばれている。
「どこに消えてたんだよ〜俺一人だったんだけど」
「わりぃわりぃ!あんなに女の子に囲まれると緊張して飯なんて食えねぇし」
手を合わせて軽く謝る。全く悪いと思っていないな、コイツ…。
会議室に向かって歩き出す。そして一番聞きたいことを聞く。
「シロは今日も元気かい?」
またそれか、と顔に書いてある。1日に一度は聞いているからうんざりされるのも当然だ。だけどそれほど彼女のことは気になるのだ。
「今日も真面目で冷静で変わらずかわいいデース」
「そうか」
表情が緩む。どうも彼女の話になると強い緊張をはることができない。
「前々から思ってたんだけどさ」
「ん、どうしたんだい?」
「年下の俺に付きまとってまでシロちゃんの様子聞いてるのにどうしてシロちゃんに気持ち伝えねーの?」
真っ直ぐな目。疑問に思ったから聞いた、とその程度だろう。
実に子供らしい質問だ。隊長として頭のキレはあるがやはりこうゆうところは子供っぽい。
俺はつい湿気たことを言おうとして咄嗟に変える。
「こんなオッサンに気持ち伝えられてもシロが困るだけだろう?」
「へ〜お前の本心は言う気はないってことか」
「お前な…人の言うこと聞いてた?」
「ってことはさ」
横に並んで歩いていたが生意気なコイツは目の前に現れた。
「シロはオレがもらっちゃってもいいよね」
さっきまでの目つきとは違う、獲物を狙う男の目だ。この言葉は俺に対する宣戦布告、挑発のつもりで言っているらしい。
「好きにしたらいいよ、アカネ」
でもそんなものには興味はない。俺は目を細めて笑った。
するとアカネは腰に手を当てため息をつく。
「…クロってずるいよな」
「ず、ずるいって?」
予想外の反応が返ってきた。アカネはこんなに掴みづらい奴だったか?
「頼る奴を勝手に決めれて、さすが先輩は違うっすね〜」
「…はぁ?」
アカネは拗ねたような表情を一瞬見せて会議室とは逆方向に歩き出した。まるで俺を突き放すように。
俺はアカネに何か声をかけようとしたができなかった。なんだか向こうから近寄るな、と言われた気がしたからだ。
俺は立ち止まったまま小さくなっていく背中を見ていた。するとアカネは背を向けたまま言った。
「俺がシロを取ろうとした話嘘だから。両想いの奴らの邪魔するのとか虚しいだけだし」
「…。」
あの目は嘘をついていた時の目か…?嘘だとしたらアカネは素晴らしい道化師だ。どこまでが本当でどこまでが嘘か、分からない。
そんな考え込んでいる暇はない。早く会議室に行かなければいけない。
*
コンコンと部屋をノックする音が聞こえた。誰にも会う気はないから返事はしない。
「アカネく〜ん、いるんだろ〜?」
…なんだアイツのテンション。というか、よりによって一番会いたくない男かよ。
「部屋にはいねぇから帰れ」
「あ、本当にいた。入るよ〜」
俺も人の話を聞かないがそれ以上に聞いていない。勝手にクロは入ってきた。
「何の用だよ」
「会議の内容知らないと困るだろ?」
そんなことどうでもいいだろと吐き捨ててやりたかったが隊長としての責任は捨てることはできやしない。
「そりゃどうもご丁寧に」
嫌味をたっぷり含めて睨みつけた。コイツに優しくしてやる義理はないのだとさっきの会話で知ったばかりだった。
「そんな怒るなって。俺が悪かったって」
「何を悪いと思ってるのかしんねぇけどさっさと用件だけ済ませ」
「お前を信用しよう」
見透かしているかのような目だ。
「チッ…クロってずるいよな」
クロは何もかもわかっていやがる。それも腹立たしいがコイツに振り回されてる俺の方がさらに腹立った。
☆
「他の隊も全滅…ですか」
「あぁ…」
敵陣の本拠地へ攻め込んだ私達は罠に引っかかってしまったらしい。敵の本拠地はすでに移動していた。ここに残っていたのは捨て駒の兵士達。こちらの軍勢は精鋭を集めたエリート達、力の差は圧倒的だったが敵の兵士は戦って無駄だと分かったら自爆する。その姿は私達の肉体的にも精神的にも傷を与えた。
どこの隊も動ける者がもういない。敵ももうほとんど自爆して死んでしまっていた。爆撃を受けなかった者はいないだろう。私の隊は私と隊長以外はもう動けない。
燃え盛る建物はいずれ全壊するだろう。あとはここから脱出するだけだ。
「担げる体力がある者は怪我人を担げ!早急にここから脱出し、外の救護隊と合流する!」
担ぐ体力はあっても闘う体力がない人がほとんどだろう。怪我人を励ます声と怪我人の苦しむ呻き声がごちゃごちゃと混ざって聞こえる。私は倒れている女の兵士へ近付いて脈を確認する。まだ生きてはいるが相当弱っている。外に出るまで間に合うか分からない。女の腕を自分の肩に預けさせ立ち上がらせる。ぐったりとしたまま動かなかった。
「時間がない。もう出発するぞ」
「ですがまだ助けられる隊員も…」
「諦めろ!」
団長の全体を見ての判断だ。ここで駄々を捏ねる兵士は居なかった。誰もがこの判断が正しいのだと理解していた。
☆
「あと少しで出口だぞ!!」
団長が前を指差して言った。指の先に救援のライトが見える。
あと少しで…あと少しで助けが…
その瞬間私達の真横で大きな音と共に風が体に叩きつけた。
爆発した。私はなんとか立っていることができたが周りはバランスを崩して倒れてしまった人達が多い。
煙が少なくなりようやく見通せるようになる。
絶望とはこうゆう時にぴったりなのだろう。
爆発した先には敵側の援軍がいた。数は50くらいだろうか、こちら側にはもう闘えるのは5人程度しか見当たらない。
「動ける者はいるか!」
団長は叫ぶ。全体を見回して私と隊長のところで目を止めた。そして頷く。
意味は分かっていた。2人で時間稼ぎをしろ、ということだ。
「出口まで駆け抜けるぞ!体制を崩すな!」
周りにいた兵士達はまっすぐ走り出した。私はそれを横目に見ながら敵陣へと走り込む。隊長は後ろから援護と味方側に行く者を斬った。
ひたすらに敵を斬り続けた。それでも向かってくる敵は減らない。
そろそろ限界が来ていた。
「シロ、よけろ!!」
隊長が突然叫んだ。だが、疲労が溜まった体では反応が遅れた。目の前からつっこんでくる男は爆弾を抱えていた。
「あ、おわっ…」
真っ暗になった。耳を劈くような爆発音も体を吹き飛ばす爆風ももう感じていなかった。
ゆっくりと目を開ける。すると焼き付くような炎の暑さや炎だけが照らし出す建物の中の暗さが目に映る。まだ死んではいない。
だが、どうして?
「シロ…目覚ましたか…?」
どこからか苦しそうな声が聞こえた。それが誰の声か確認しなくても解る。
「隊長!どこですか!?」
私はすぐに立ち上がり、周りを探す。
「後ろだ…」
後ろを振り返ると血だらけになった隊長が壁に体を預け座っていた。肩で呼吸をしながら私にひきつった笑顔を見せる。
「隊長!どうなったんですか?皆は!?」
「ちょっと…まずい状況なんだよね…」
息も絶え絶えになりながら説明してくれた。
爆発から私を救出し、安全な場所に避難しようと隊長は私を担いで逃げ出した。だが、出口に駆け出せば折角逃げ出した皆に敵を押し付けることになる。隊長は出口を手榴弾で爆発させ、敵諸共建物の中に閉じ込めた。敵は他の出口を探すのと私達二人を処理するので手一杯らしい。今この場所はまだ敵に見つかっていないがいつか敵に見つかるだろう。
「シロ…隊長として最後の命令だ」
「はい」
私は苦しそうに話す隊長の背中を支えた。最後の命令なんて言葉聞きたくなかった。
「俺の体に…今ある分の爆弾を…巻き付けろ」
「…はい」
私はポケットの中から爆弾を取り出す。隊長は覚悟を決めている。私が泣き言などを言っている暇はない。
「シロはこの建物内の敵を…出来る限り倒せ…外へ出すなよ…」
「はい」
無茶な命令を最後にするな、と私は思った。でも隊長も分かっていてそう言っている。出口を封じた時点で私も隊長も殆ど助かる訳なかった。
ぐったりとした隊長の体に爆弾を巻き付けた。これで敵が近づいて来ても道連れにして殺すことが出来るだろう。
「以上だ…シロから何か質問は」
私は隊長を担いででも外へ出ます、だから一緒に生きて帰りましょう。どうして隊長や私だけがこんな目に…。ここで味方の救援を待って、そして…。
私はあらゆる言葉を飲み込んだ。
「…っありません」
「…シロは…いい子だ…」
視界が歪む。溢れ出す涙が頬を伝う。だがこんなことをしている間に敵はまだ出口を探し回っている。味方に近付けさせてはいけない。
「…任務実行します」
私は立ち上がる。武器がしっかりあることを確認して私は歩きだそうとした。
「シロ」
「…何ですか」
「俺…シロのこと…好きだったよ」
「…そう…だったんですか」
また泣き出しそうになるのを堪えた。ただ私はその言葉がとても嬉しかった。
「だが…今は大嫌いだ…」
「…」
「死にそうな人を置いてまで…命令に従うようなクソ真面目なシロめ…」
鼻で笑いながら人のことを貶す。全く往生際の悪い人だ。
「私も、隊長のこと大好きでした」
「…へぇ」
「ですが今は嫌いです。疲れ果てた女の子に死に物狂いで軍隊の為に闘えだなんて言う…クロさんが」
私は皮肉をたっぷり込めて言った。
初めて互の気持ちを知るのには遅かった。だけどこれでいい。
私は再び歩き出す。もう涙は止まった。
「シロ…さよならだ」
小さく呟かれた言葉は本当に言ったかどうか分からない。だけど確認する必要はない。
遠くから隊長以外の声が聞こえる。それも複数。
「おい、ここ怪しいぞ!」
「探せ!!」
私は走り出した。余計なことを考えるのをやめた。とりあえず私は託された最後の命令を。
大きな爆発音が聞こえた。
☆
暖かい風がカーテンをなびかせる。
「シロ、調子はどう?」
「まずまず」
真っ白な病室の中に私はいた。隣でリンゴをむいてくれる友人のモモがいた。
「敵の一部隊を全滅させた、英雄シロ様の友人であることを誇りに思うよ」
からかうように言うアカネを軽く睨みつける。傍から見ればそうなのだろう。
あの日、私は援軍に来た敵の一部隊を全滅させたらしい。私はただ向かってくる相手をひたすらに倒し続けていただけだった。
建物の窓の近くで倒れているのを誰かが見つけたらしく、運良く救助された。その後建物は崩壊し、例え他の誰かが生きていたとしてもそこで死んでいる。
私が生きて帰ってきたことは奇跡だ。
それから私は病院で治療を受けて一週間経った。
「アカネ隊長、私はあなたの友人になったつもりはありませんが」
「えーひどくね?」
「アカネ何冗談抜かしてんの、シロはそれどころじゃないの」
アカネとモモの部隊は今回の作戦には参加していなかった。
だがこうして休みの合間を縫って私のお見舞いに来てくれた。
「それどころじゃないって…クロのことか?」
「なっ…!!」
もう既に軍隊全体に犠牲者の名前は知られていた。隊長の名となれば大体の人が知っていた。
だがあえて触れないでいてくれたのだ。私と隊長だけ建物の中に残って闘っていた事情を知っていてわざと私には触れさせないようにしていたのかと思っていた。
だがこの男はそこに勝手に踏み込んできた。
「ちょっと!シロの気持ちも考えなさいよ!」
「シロ、クロについて話したいことがある」
冗談を言っていた時の口調とはまるで違う。何の話だろうか。
「モモ、外に出てろ」
「……分かったわ」
リンゴだけ切り終わってモモは病室の外へ出ていった。
「クロってお前のこと好きだったらしい」
「…知ってる」
「…へぇ、それは驚きだ、らどうやって知ったかは知らないがお前も知っていて損じゃねぇ話教えてやるよ」
*
この時の俺は一番年の近い同じ境遇のクロに頼って欲しかったんだと思う。
「アカネはどうしてシロに想いを伝えないかって聞いたよね」
無言で俺は頷いた。
「それは俺がシロの隊長だからだよ」
「…どうゆう意味だ」
「俺達は一人の男である前に一人の兵士だ。兵士には感情はいらない」
「…。」
「それに俺は兵士をまとめる隊長だ。例えばの話、ある男の兵士とある女の隊長がいる。その部隊が敵の奇襲にあって皆ボロボロ。死ぬ寸前であった兵士達に隊長はある一人の男の兵士以外に突撃命令を出した。他の兵士達のおかげで隊長と男の兵士だけ助かった。隊長はその時自分の想いを寄せる兵士だけは死なせたくなかったのだと言った。だが兵士は仲間を失い、隊長の身勝手な命令によって自分だけ生かされてしまった」
「…なぁ、それってお前の__」
「1人の勝手な気持ちで人を生かしたり殺したりしてしまう。俺はそんなことしない」
「…。」
以前どこかで噂を聞いたことがある。女の隊長に好かれて生き残った隊員の話。それは5年も前の話だ。クロが隊員だった年齢でも十分ありえる。
「でも好きになってしまったものは仕方がない。どうにかして他に向けるか諦めるかしないと、取り返しのつかないことになる。いっそのことお前が奪ってくれた方が気が楽だよ」
そうやって言って笑うクロに俺は何も言えなかった。
☆
「後から調べたらその女の隊長の部下はクロだったよ」
私はうつむいて唇を噛んでいた。
最後の最後に大嫌いだ、と言った言葉にはどれだけの愛情が込められていたのか分からない。確かめる術もない。
「クロはクロなりにしっかり隊長をこなしていたんだよな」
堪えていた涙が流れ出した。どんどん流れていく涙が止まらなかった。
アカネ隊長は静かに立ち上がり病室を出ていった。
私は声を上げて泣いた。
誰もいない病室の中、一人でずっと。
前書きではうるさく語ってしまい申し訳ございません。高校生にもなってまだ14歳の年頃の病気にかかっておりまして…(;;´_ゝ`)
今回も推敲なんてせずに勢いだけでドーン!です。毎回そうなんですけどね。
文章書くだけで精一杯ですから…勉強爆発しろ。
恋愛なんてクソ喰らえです。男が苦手な私にとって恋愛なんてクソ喰らえです。(大事なことなので2回言いました)
それでも切ない感じのは大好物です。むしろください。
自分の好きな感じで書こうと思って迷走しながらこの作品ができました。趣味しか詰まってないです。
本当はちゃんとしたリクエスト(?)があって書いてるものの筈なんですがさてさてこんなものでいいのでしょうか…。
とりあえずこんな私の趣味しか詰まっていない小説読んでいただきありがとうございました!またの機会があればよろしくお願いします!!




