真面目な話
「何処へ行くんですか?」
無言は怖いよ、無言は。
「そうだなぁ、取り敢えず何処か喫茶店にでも…って痛!?今の何処に怒る要素が!?」
シャルロットさんがセオフィラスさんの手を思い切り抓っている。
…痛そう。
「軟派」
か、絡みづらい…
「そこの喫茶店に行きましょ」
シャルロットさんは私の手を引いて店内に。
案外空いていて、すぐに座れた。
「何か飲む?奢るわ、セオが」
何気にひどい。
「あ、遠慮しないでね、莉亜」
「じゃあ、キャラメルマキアートを」
そう言うと、シャルロットさんはブラックコーヒー2つとキャラメルマキアートを注文した。
それが届くと、話を始める。
「ひとつ、いいですか」
恐縮しながらも、疑問をぶつける。
「お二人は、夫婦ですか?」
「ぶふぁっ!?」
飲みかけのブラックコーヒーを、セオフィラスさんは吐いた。
「汚い」
「ちょ、痛い痛い!!足、足ぃぃ!?」
なんかもう、慣れたな。
「セオは相棒」
シャルロットさんは、顔色ひとつ変えずに答えた。
ずず、とコーヒーを啜っている。
私もキャラメルマキアートを一口飲んだ。
うん、美味しい。
「貴女の超能力についてよ」
何処から流れたその情報。
危ない、セオフィラスさんと同じことする所だった。
「それが、何か…?」
「貴女のその能力は、世界を掌握できる危険なもの。出来れば、あまり使わない方がいいわ」
「は、はぁ…」
それだけ?
「シャル、それだけじゃないでしょ?…ここからは機密情報だ、三影やハルにも言うなよ?」
少し顔を近づけて真剣な面持ちで言う。
「いいか?能力は記憶を無くした者が使える。ハルも、幼い時に記憶を一度無くしてるんだ。俺とシャルは、能力について研究してる。で、分かったんだが…記憶を取り戻すと、能力が使えなくなる」
そこで一旦区切った。
私の表情も真剣だ。
「能力者を、車だと思ってくれ。能力が使えるようになった直後は、ガソリンが満タンだ。でも、使うにつれて減っていく。そのスピードも個人差がある。燃費の良い車と悪い車ね。今の所、燃費を見分ける方法はない。ただ、強力なモノはすぐにガソリンが無くなる。一度発動しただけでガソリンが無くなる奴もいる。三影はあんまり能力使ってないから、まだ大丈夫かな。で、問題は莉亜だ」
「わ、私?」
「そう。その能力、便利だよね。使いたくなるよね。俺なら利用してるさ。でも、それはシャルが言った通り、世界をも掌握できるんだ。つまりは、強力ってこと。三影やハルよりも、ね。だから、簡単にガソリン切れに陥る可能性がある」
ごくりと唾を飲む。
「だから、あんまり使うなよ」
「質問は?」
シャルロットさんが、質問に答えるのか?
「あの、ガソリン切れが起こるとどうなるんですか」
「…これも個人差がある。暴走する奴もいれば、死ぬ奴もいる。一番マシなのは、今までの記憶を全て失い、挙句に能力まで使えなくなること。一番最悪なのは……暴走して死ぬこと。だけど、何も起こらないということは先ずない。もしかしたら、今言った以外のことが起こるかもしれない。だから、ガソリン切れには気をつけろ」
セオフィラスさんは、それだけだ、と言って笑った。
「肝に、銘じておきます」
私はそうとしか言えなかった。




