序章
やかましい朝は嫌いだ。それだけで1日が憂鬱な気分になる。
ベッドから手を伸ばし乱暴に目覚まし時計を止める。あと3分と思い2度寝をする矢先だった
「司君、早くしないと遅刻するよ?」
それは聞き覚えのある声だった。
「結衣か?なんで勝手に部屋に入ってるんだ?」と僅かに目を開き当然の疑問をベッドから問いかけた。
「だって、おばさんに起こしてって頼まれたから」
結衣は少しばつが悪そうにそう答えた。
「いくら家が近所で小さい頃から知ってるって言ってもなぁ」
結衣とは家が近所で小さい頃からよく遊んでいた。けれども年齢が上がるにつれ徐々に遊ばなくなり高校に入学してから会うのはこれが初めてだった。
「司君、早くしないと本当に遅刻しちゃうよ?」
時計を見ると8時10分を廻っていた。
「余裕だ。ここからなら10分で着く、先に行ってくれ」そう言うと深月は「うん」と頷き部屋から出ていった。
突然で驚いたが、それ以上に結衣が綺麗になっていたのにも驚いていた。あんなに綺麗だったかな?と、考えていたが時計を見つめ思考をシャットアウトする。
深月に俺を起こすよう言った犯人に文句が言いたかったが我慢し手早く身仕度を整え家を出た。
家から学校までは確かに10分あれば着く。
陸上部だった俺が走っての話だが