あの頃、×××があった。
それは先月のことだった。ぼくはガス台に火をつけた。ぼくはこれから何が起こるのか知らなかった。
ぼくは白い物体を冷蔵庫から取り出し、串にさした。そしてそれを火であぶり、おいしそうな焦げ目がついたところでそれを食べていた。
そのときぼくは誰かの目線を感じた。凍るような外の空気のごとく、獲物をねらうような目つきで白い物体を見ていたのは、妹だった。
「まずい! ばれた!」ぼくはとっさに逃げようとしたが遅かった。すでにそのハンターはぼくの手からあの袋を奪っていた。ハンターはぼくのほうを見ると、ざまーみろと言っているかのように、にやりと笑った。
その刹那、その袋にあった白い物体は消え失せていた。
「そんなばかな! あいつはあの白い物体を生で食べたというのか?! しかも串にもさしていない!」
その後、家であの白い物体を見たことがない。なぜなら……。
ラノベ風
「ふんふふんふ~ん♪」
小踊りしたくなるような気分でぼくはキッチンに立っていた。今日はおやつとしてこれを買ってきたのだ! 時代遅れなガス台も、このときに限っては流行最先端のHIに匹敵するほどのスーパーマシンたりえるのだ!
カチチチチチチ、ボッ。
袋から一個だけ取り出して、割り箸にぶすっとさす。残酷だが、これもおいしく食べるためのポイントなのだ。仕方がない。
コンロからやや遠めのポジションを維持したままそれがふくらむのを待つ。
ぷくーとふくらんできたところをパクリといった。すばやく食べ過ぎたので口の中をやけどした気もするが、それもまた醍醐味なのだ。
「もうひとつ……」
ガサガサと袋の中からもう一つ取り出そうとすると、目があった。……妹だ。
「ちょまっ! 何しに来たんだ!」
いつの間にか後ろにいた妹に牽制の声をあげた。
「何って? ふっふーん。……いただきっ!」
調理台の上に適当に置いてあったそれが入った袋は、すばやく妹の手に回収された。そしてあいつはすこし距離をとってからゆっくりと生のままのそれを口に入れやがった。きっと食べるふりをしているに違いないと、思考をスローモーションにしてみたが確かに口の中に入れやがった。そして、もっちゃりと噛み始めた。
「そんな……生であれを食らうなんて……」
取り返しに行きたいのはやまやまだが、まだガスコンロの火がつけっぱだ。消してから妹のいたほうへ振り向くとだれもいなかった。
「くそっ……!」
妹に追いつけまいかと走ってみたものの、すでに部屋に逃げてしまっていた後だった。
「こら、返せ!」
「やだね! お兄ちゃんくれてありがと~」
その後、家であれを見かけることがなくなった。なぜなら、言うまでもなくあいつのせいなのだ。
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読んでいただきありがとうございました。これは、中学のころに“あの頃はフリードリヒがいた”に感化されて作ったものですね。
昨日、ラノベ風につくりかえてみたものもあるのですが、完全に改悪ですね。昔の雰囲気は出せません。
あ、このタイトルの×××はマシュマロのことです。
おいしいです。
マシュマロは焼いたことがありません。
読了に感謝!