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答えのないキモチ

頭が激しく痛む、今にも割れてしまいそうなくらいに。


いや、むしろ割れてしまったほうが楽なのかもしれない。

そんな阿呆らしいことを考えてしまう。


苦しい――

辛い――


痛いのは頭だけではない。耳なりもするし、気持ちが悪くて吐きそうで、とにかく今の私はサイアクの状況だった。



そして悲しみのような気持ちで心がいっぱいなのだ。


でも、何がどう悲しいのかは全く分からない。


それどころか、この気持ちが本当に『悲しい』なのかさも、だんだんと怪しくなってくる。


頬っぺたが熱い気がして、ほぼ無意識のうちに、そっと触れていた。

そして私は、その時初めて、自分が涙を流しているということに気がついた。

――悲しい、のだろうか? いや、それとはまた違う涙だ。多分……というか直感だが。



――ということは、これは嬉し泣きなのか? いや、そんなことはあるハズがない、心はこんなに苦しいのに。嬉しくて泣いている訳がなかった。


なら……それなら、私は何を想って泣いているの?


馬鹿馬鹿しい自問自答の答えは、もちろん見つからない。


心がぐちゃぐちゃで、悲しみのような深い愛しさ、はてしなく空虚な思想、辛く苦しい焼けるような思い、焦りに似た焦がれるような感情



――そんな、訳の分からない気持ちたちでいっぱいだった。

何を、どう、したいのか、誰に、どう、してほしいのか。


誰かに何かを伝えたかったような気がしたが、何を、誰に、伝えたかったのか分からない。



「―き――だよ」



突如、途切れ途切れの声が、不明瞭な音が、私の耳に聞こえた。なぜか心がざわざわする。


分からない。

誰が言ったのかは、分からない。


「だ…れ?」


微かなつぶやきを漏らした。

いや、漏らそうとしたのだ。


きっと口が動いただけで、何も声は出なかっただろう。

だが、少なくとも私は、つぶやいたつもりだった。


先ほどの声の主にも、届いたはずだ、私の問いは。だが、返事はない。静寂が辺りを支配していた。


意識がすぅっと遠退いて、また、沈んでいった。

ふわふわと力なく漂うように、浮き沈みを繰り返していく、不思議な感覚が私を包み込む。


自分の体が自分のものでないような、そんな気分がした。

勝手に手が伸びていって、もう一度頬を触ると、ひんやりと冷たかった。



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