26話 鬼軍曹
今日もティアの執務机いっぱいに積まれた紙の束。
許可と書かれた判子と閲覧済みと書かれた判子、両方を器用に使い分けながらポンポンと押していく。
城壁の修理 許可
交易路の舗装及び巡視兵の増加 許可
周囲調査報告 閲覧積み
新兵教育についての報告 閲覧済み
市場活性化の草案 閲覧済み
…………ん?
新兵教育について 新兵200の担当教官としてホーネットを起用
んん?ホーネットさん???なんで大佐とかじゃないんだろう????
無表情だし(慣れれば少し表情が変化してるので感情が読み取れるけどさ?)
あんまりしゃべらないよね(照れてるみたいだし、人見知りっぽいよね?)
ぅーーーん、なんだろう、なんでだろう?
「あら?どうしたの?」
ふぅっと吐息を耳に吹きかけてくるカーミラ。
「うひゃぅっっ!?」
びくっと身体をはねさせて、距離を取る。
うぅ、玩具扱いされてるよ………しくしく orz
「で、どうしたの?ま・す・た・ぁ?」
無駄に色気の込められた言葉に思わずドキリとしてしまう。
「ぁ、これ、なんでホーネットさんが新兵担当なのかなと思って」
「あぁ、それね?直接みたほうが速いわよ?」
都市城壁の外、踏み固められ草も生えなくなった一角、兵士達の鍛練場所である。
一段高い場所から風に蒼い髪をなびかせて、無表情に兵士達を見下ろしているホーネット。
ソレを城壁から見ているティアとカーミラ。
「いつも通りだよね?」
「よく聞いててごらんなさい?」
新兵達が駆け足でホーネットの前に整列し、番号を点呼し整列を完了させる。
「遅い!!!5班、6班外周10週してこいっっ!」
「じゅ、10週ですか?!」
たまらずに1人が声を上げる。
「黙れ、返事はYESしか認めん!」
無表情で見下ろすホーネット、美人に無表情で睨まれるというのは凄く恐ろしいらしい。
声を上げた新兵の1人が真っ青になりながら、頷き、かけ出していく。
「1班から4班はフル装備にてソコの丘の上まで往復、走れ!」
「イエスマム!」
残った新兵達が一矢乱れぬ動きで敬礼し、装備を身につけるとため息1つ出すことなく隊列を組んで走っていく。
ティアの記憶している都市周辺地図で丘まで5キロはあるはずだ。
「………………」
完全に硬直しているティア
「ぇ……っと……、アレ。ホーネットさん………だよね?」
思わず疑問形になるもの無理はない。どこの鬼軍曹だと誰もが言いたい程の変貌ぶりである。
「あぁ、あれねぇ?ミミィがね。一応ギルドメンバーは前線で小隊指揮していたからさせてみようって軍服を着せたのよ?」
たしかに、僕の来ている軍服を少しだけ簡略化したような黒の軍服を着込んでいるホーネットさん。
「そしたらね?スイッチがはいったっていうのかしらねぇ?女王様の?」
くすくすっとおかしそうに笑うカーミラさん。
「あのミミィですら、持っていた書類を落としたぐらいだったから、おもしろかったわよぉ?」
なんでも、軍服姿のホーネットさん冷やかしにきた古参組の軍人を蹴り倒して足蹴にしながら
貴様ら屑にしゃべる権利は与えていないと言い、抗議する軍人に踵でぐりぐりとしながら
返事の後ろにマムと付けろ、返事はYES以外認めん!と無表情で言い放ったらしいです。
「………アレ戻るんだよね???」
「あら?ますたぁは、いつものホーネットちゃんが好みなのね?」
誂うように微笑むカーミラさん。視線を感じたのかホーネットさんがこちらを振り返って敬礼してくる。
「大丈夫よぉ?軍服から着替えれば元に戻っていたからね~」
二重人格なんでしょうか?すごく鳥肌が立ちました、コワイデス。
「………見なかったことにしておこうと思います」
「頼めばそういうプレイもして貰えるんじゃないかしら?」
ぼそりっと呟く声が聞こえてくる。思わず股間の辺りをかばいかけてしまい、カーミラさんが声をあげてわらう。
うぅ………なんか最近いじられっぱなしな気がする。
すいません、勢いで書いてしまいました。
ネタ好きでごめんなさい orz




