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黒の指揮官  作者: 冬城 一夜
異世界での生活
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2話 幸運の効果?

賑やかな街を空の上から見下ろしている。古代ローマ風の街並み、街を城壁がぐるっと囲んでいる、外敵がいるのだろうか?


意識ははっきりとしていて、なんとなくイリーナがよくネット小説で読んでいた異世界転生なのだろうと理解してしまっていた。


めんどうな事になったなぁとあまり深くは考えないようにする、心が壊れてしまいそうだから。


これ、知識もなく異世界に放り出されたら野垂れ死にするよね?とか思っていると知識がどこからか流れこんでくる。


銅貨10枚で銀貨1枚 銀貨20枚で金貨1枚 金貨20枚で白金貨1枚。頭の中で銅貨一枚で100円と思う自分がいる。


そしてこの世界には遺跡と迷宮が存在すること。遺跡はそのまま古代の遺跡、よくあるRPGなどのダンジョンと一緒だ


迷宮というのは魔界から伸びる侵略経路のことで、地下から木の根を逆さまにしたようなモノが地上に伸びていると想像するとわかりやすいかもしれない。


世界に大小ふくめて迷宮の先端が地上に届いて穴があいており、そこから魔族やモンスターがでてくるようだ。


この魔族というのと別に悪魔族というのがあって、インキュバスやサキュバス、ヴァンパイアなんかのどう考えても一般的にいう魔族なのだが


魔族の中で友好的な彼らが戦争の際に人間側についたので別の名義で呼ばれている。


地上に開いた迷宮の穴は大穴6つあり、過去の戦争や神々の力において封印され、現在大穴は隣国の街の近くにある物1つだけが通行できるようになっている


地上での大きな戦争は200年ほどに行われたのが最後である。


うーん、技術が追いついているなら、完全体感型のVRMMOと言われても納得してしまいそうだった。


しかし、親切なのか残酷なのか微妙な知識だけ教えてくれた・・・・どうしろっていうんだ!


うん?急に身体が引っ張られるように都市近くへと降りていく。


どうやらここがスタート地点、これから僕の物語の始まりになるようだ・・・いやいやいや、常識もなにも理解していないのに?


ふわりっと城壁の外の地面の上に降り立つ。ぺたぺたと身体を触ってみるとキャラメイクした通りの身体であるらしい。


鏡でもあるといいんだけど。


持ち物は・・・・ボロボロのローブ、ボロボロのズボン、ボロボロのシャツ・・・・銀貨3枚・・・・・。


どうしろというんだろうか?なんだこのマゾゲーは!と悪態をついて運営に文句が言いたい、ゲームなら。


イリーナどこに居るんだろう?逢えたらお金とか援助してくれないかな?


死んでるかも生きてるかもわからないし、とりあえずは街へ入って安全の確保とお金稼ぎかな?


加工魔術を選んだから手頃な素材か何かを加工して売ればよいかな?


とりあえず、持ち物は確認した・・・ステータスとかは見えないかな?と思ったら視界の隅?とは違う、意識の隅っこに


よくあるRPGのステータスメニューがみてとれる、あぁ・・・なんか、夢であってほしいと思いながら


冷静に事実を確認し、把握していく。ステータスや魔法などは設定した通りで間違っていない。


途中で頬も抓ってみたけど痛かった、死んだら終わり・・・・だよね?頑張って生きよう。


そういえばキャラ作成のあとに割り振られるっていう特性は


特性:傾国の美女 魅力+3 国を傾かせるほどの美貌を持つものに与えられる。その魅力は同性、異性を問わない

特性:指導者の極意 カリスマ+4 他の者を圧倒的に惹きつける、魅力とはまた似て非なるモノ

特性:天使の声 カリスマ+1 透き通るような美しい声は聞く者を魅了する。

特性:妖精の指先 器用+4 細かな作業などをまるで妖精が踊るごとくこなす指先。器用な指先の上級特性

特性:祝福 幸運+3 如何なる因果か、貴方には幸運が訪れることがある


うーーん、カリスマと美貌?女帝にでも慣れというのだろうか?


ボロボロの身なりのまま、都市の城門へと歩いて行く。


関所のような物があって、鎧をきた兵士がいるのを想像していたのだが、ちがった。元の世界の軍服にしか見えない。


深緑の軍服を着た兵士が関所で荷物のチェックと身分のチェックをしているようだ。


思わず列に並んでしまったけれど、ハーフエルフって大抵は迫害対象であったりするし、そもそもこの身なりで都市にいれてもらえるのだろうか?


しかも、結構コワモテの兵士さんだ。


「次!!」


言われてびくっと肩がすくんでしまう、ちょこちょこと歩いて兵士の前へいくと、名前を聞かれる。


「ぁ、ティーティア・・・です、ティアって言われてます」


怯えたような表情を浮かべて見上げる、設定した通りの外見ならイケル!と打算的な事を考えている。


「怯えさせたようだな、すまない。街へはいるには銀貨2枚の税を納めるか、通行理由が証明できる身分証になるカードを提示する必要がある」


目が合うと、兵士の表情に一瞬哀れみのような感情がみえる、身なりからしても仕方がないことだしね。


よくあるギルドカードとか、そういった類だろう、もってるわけはない、この衣装と銀貨3枚以外なにもないのだ。


「あり・・ません・・・・、お金でいいですか?」


そういってぼろぼろの布袋をひっくり返して銀貨3枚を取り出して、2枚渡そうとする。


「確かに受け取った。必要であるなら中央広場に帝国の役所がある。住民登録や冒険者ギルドへの所属手続きなどもできる。行ってみるといい」


顔とは違い、優しい人のようだ。受け取った振りをして銀貨をもっている手を握り直させてくれた。


なんだろう、他愛もない事のはずなのに、目尻に涙が浮かんだ。


「ありがとうございます」


ちょこんっとお辞儀をして、街へと入っていく。すごい人だ、うーん、視線が低いせいで全然場所がわからない。


中央広場といっていたから、真っすぐ行けばいいかな?


キョロキョロと辺りをみまわし、道の端へでたりして場所を確認しながら歩いて行く。


時折軍服をきた兵士が2人1組で巡回して回っているためか、治安は良いようだ。裏通りなど変なところへいかなければ大丈夫かな?


よく整備された道路を歩いて行くと、広い噴水広場に馬車や行商人が行き交っている。役所・・・あれかな?


石造りの立派な建物、城門にあった紋章と同じ三日月と獅子紋章が描かれた真紅の旗が立てられている。


恐る恐るといった感じでドアを開ける、受付らしき窓口までいくと事務服を来た女性に声をかけられる


「なにかごようでしょうか?」


「ぁ、えっと、街を入るときにここにくれば、色々登録をしてもらえるって聞いてきました・・・・」


「わかりました、都市の住民登録、冒険者ギルドの登録、孤児院への受け入れ登録などもできますが」


この格好だ、孤児院へはいるのかと思われたのだろうが・・・・さすがにそれはちょっといやだ。


「街で商売、露店などをしたいんですけど・・・・・」


「ぇ・・・?そう・・・ですか??ちょっとお待ちください」


どうしようか?と思案しているようである、身なりもぼろぼろな子供が商売がしたいというのだ、悩むだろうなぁ。


「そうだ、ちょっとリュシカ!リュカ!またさぼってるんでしょ?!」


何かを思いついたのか受付の人が名前を呼ぶと、さらっとした長い金髪を後ろで束ねた白い軍服を着込んだキリっとした印象の美女がこちらへむかってくる


「なによぉ、人聞き悪いわね。書類仕事を終えてお昼を一緒にたべようと思ってきただけじゃない」


「貴方見合いの話がうっとしいとかいってたわよね?!この子の後見人するのはどう?遠縁だとかなんとかで、それならもっともらしく断れるでしょ」


「えぇ?ちょっと、いくらなんでも・・・いえ、けど・・・それも」


「それにこの子、かわいいわよ?孤児院で楽するんじゃなくて露店でもいいから商売したいなんていうのよ?助けてあげたいじゃない」


「ぇ・・いえ、けどさすがに、私が面倒をみるなんて!」


なんだろう、僕を放置して僕の処遇がすごい勢いで決定されていってるような気がする、書類書いちゃうからとか、戸籍作成とか物騒な単語も聞こえてくる


「あ、あの!すいません、これでもハーフエルフなので27なのです」


思わずむこうの世界での年齢を答えてしまう。2人の視線がこちらへ釘付けになって、まじまじとみつめられる。というか顔ちかい、近いですよっっ!!


頬を染めて視線を逸らすと顔をリュカさんに掴まれる。


「ぁ、ほんとだ。エルフ耳・・・・・・・・・」


「ぇ?けどもうティーティア13歳って登録しちゃったわよ?しかもリュカの遠縁の親戚、両親は事故により死亡って」


おぉぉぉい、何をしてるんですか、僕なにも同意すらしてないですよ?!


「そっか、じゃぁいいわ。この子は私が面倒みるってことで!」


ええええ?!ノリ軽いですよ?!ねえ?見知らぬ男、いえ外見女ですけど、引き取るとかいいんですか?


「いいわよね?」


ずぃっと顔を寄せられる、石鹸のような匂いがしてドキドキする・・・・うなづくしかなかった。


幸運の効果なんだろうか?


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