表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の指揮官  作者: 冬城 一夜
異世界での生活
11/33

11話 本気と恐怖と

どうも、ティアです、大絶賛死にそうです。あ、仮想空間なので死んでも安心ですっ♪


「目はまだ死んでおらんようじゃのう、若者はそうでなくてはいかんな」


浅く呼吸し、次第に深く、呼吸を整える。


刀を使った技で苦手なソレ、その技が得意な悪友の言葉を思い出す。


――あぁ?コツだ?んなこと言われても、邪念も雑念も……って同じ意味だっけ?自分のものだからどうしようもないだろ、だからそんなの気にせずとりあえず斬りゃいいんだよ。


気にしなきゃいいって一番難しい事だとおもうんだよね。


くすっと思わず笑いが漏れてしまう。うん、緊張が取れた気がする。


ストラウフじーちゃんまでの距離は約15M程、全力で踏み込み、大地を蹴って駆ける。


轟音と共に右から薙ぎ払われる鋼の大剣を飛んで躱す、空中回避というのは悪手。普通はしない。けれど、「人」は、相手が飛んで近づいてくるとソレを認識できずに一瞬思考が空白になるらしい


相手は歴戦の戦士、そこまで上手くいくとは思ってない。けどほんの一瞬でも空白があればその分距離は詰まる。左から払いあげられる鋼の大剣、それごと斬るために全体重をのせて上段からの振り下ろし。


「斬鉄」と言われる、斬岩を超える技。強度で劣る武器でもって鉄など同等以上の硬度の物を「斬る」というデタラメのような技だ。


空中で交差する大剣と刀、一瞬の時間が永遠のように感じられる。大剣に刃が通る。60cmほどの幅がある大剣に中程まで食い込んだ刀


大剣が中程まで斬れて、バキィっと耳障りな音とともに、そこから折れる。


ピシっと小さな音、刀が大剣と交差したその部分からやはりこちらも、折れる。


まだだめだった、僕の技術が追いついていない。刀が悪いのではない、自分の力量の無さが悪いのだ。


しかし、それを補う為に強固な刀にしたのだが、目的と手段、どちらが優先されるのか?戦闘中にもかかわらず一瞬思考してしまう。


目の前で躊躇わず大剣を捨てるストラウフ、右拳を引いて拳が迫ってくる。


僕の造った小手だ、これはヤバイ!!!必死に身体をよじり、相手の胴体を蹴って空中で後ろに一回転しながら更に身体をひねる。


知らない者がみたら異常な余裕をもってその拳を避ける、着地とともにおもいっきり後ろに飛び退る。


「あはは………あぶなっ」


「ふむ、いまの動作……予想ではなく、知っておるな?」


口の端をあげて笑うおじいちゃん、あれは製作者だっていうのに勘づかれたかな?


振り抜いた拳、小手の拳骨の辺りから20cmほどの刃がでている。


別室で戦闘の様子を観ている兵士達から歓声があがっている


(すげぇ!あの大剣壊したぜ!?)(けどよ、互角とはいえんぜ?体格が違いすぎる)

(ばかかテメーら?あのじーさんにとって武器なんて飾りだよ)

(へ?カーター隊長、どういうことっすか?)(うぉぉぉティア様踏んでくれーー!!!)

(見てりゃわかるよ)


「儂が武器を壊されるなぞ何年ぶりか、久々に滾るわい」


ふしゅぅぅぅっっと息を吐き出す、そして何度も吸込み、吐き出すストラウフおじいちゃん


そして、全身を包むプレートメイルを解除した、甲高い音と共に地面に落ちていく鎧のパーツ。シャツとズボンという軽装になったストラウフさん


……………なんだろうか、凄まじい圧力を感じる。あはは、膝震えるよ?


「ゆくぞ?避けよ」


踏みこみ、大地が悲鳴をあげて陥没する。思考が追いついた時には目の前に居た。条件反射で横へ転がるように跳ぶ。


拳が打ち下ろされて轟音とともに、地面が揺れて陥没する。


ぁははは……ナニアレ?こちらを向いたストラウフのようなナニカ。


「せっっ!」


恐怖に駆られてみぞおちに拳を繰り出す、鋼でも殴ったような感触。手が痛い。拳が砕けたような感じがしてしまう。


腕が振り上げられる、スローモーションのようにたたきつけられるそれ、かろうじて横に転がる。


転がった、立とうとしても立ち上がれない、腰が抜けました。涙が浮かぶ、怖い、怖いよ。


「ぁぅ……」


目が合う、逸らせないし、逸らしたらダメな気がしてじっっと見つめ合う。


1分か10分かわからない、とてつもなく長く感じたが実際には数秒だったのかしれない。


目の前で腕が振り上げられる、にやりと目の前のソレが笑う。


折れた刀で何をしようとおもうのか、構えたところで視界が暗転する。








全身汗ビッショリで目を開くと球体の中のイスに座っていた、少し漏らし………ちがうよっ、仮想空間での中だから、きっと大丈夫。うん、きのせーだよ!


起き上がろうとするけど、腰に力がはいらないっていうか、こう、なんとも説明しずらい症状っていうか、うん。


腰ぬけて動けない orz


球体のドアが開く、びくっと身体を震わせて振り返るとにこにこと最初の時のような優しそうな笑みを浮かべたストラウフさん。


「見事じゃったぞ?」


そういうと頭を撫でられる、自然と涙がこぼれた。怖かったよ!!!


「わっっ!?」


ひょいっと重さが無い様に抱き抱えられて、片腕で持ち上げられて肩に乗せられる。恥ずかしい……


外に出ると、兵士や騎士達が歓声をあげてそれぞれに健闘を讃えてくれる。


(すごかったぜー)(さすがティアちゃん!!!)(是非俺の妹になってくれ)(それより踏んでくだs)

(おぃ、誰か大隊長にあてられて気絶してるやつに水ぶっかけろ!)(ここに唐辛子エキスがある、口にいれりゃ起きるんじゃないか?)


……讃えてるの?!なんかほとんど違うような気がする。


「おぅ、ティア。なかなかすげぇじゃねぇか。じーさんに本気ださせるとは思わなかったぜ」


あれが本気には見えない、うん、絶対まだ余力あったよね?!


「戦意を失わぬのも見事じゃったしの?」


「……剣じゃなくておじーちゃんが重力操作使えたんですね?」


くそぅ、悔しいなぁ


「はっはっは、しかし、おもしろい嬢ちゃんじゃのう。よしっ、今日は儂の家にくるがいいぞ。晩飯をだそう」


「ぁ……ぇっと、リュカさんに聞いてみないと」


「大丈夫じゃ、すでに先に了解はとってあるからの。泊まっていくがいい」


(ティアちゃんとお泊りだとぉ!?)(大隊長といえどそれはゆずれねええええ)(いくぞお前ら!!!我らTKTの力を)


――ティア様に蹴られ隊(TKT) 他にも色々とあるようです。


5人ほどの兵士と騎士がこちらに突っ込んできて、一撃でまとめて吹き飛ばされていく……だめだこいつら、はやくなんとかしないと。


ストラウフ大隊長は、英雄の中でもたぶん最強にはいる人だとおもいますです。

重量操作だけではなく、筋力アップとかもすごそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ