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愛しいカレ  作者: オムラ
1/3

純子の場合

突発的小説。






私には大切で、愛しい存在のカレがいます。







只野ただの 純子すみこ

とある大学の経済学部に在籍する女子大生。

運よく浪人することなく合格することができ、そして今年の春も留年することなく目出度くも2回生になり、只今19歳であります。

ちなみに好きな講義はゲーム理論です。

容姿は極々普遍的と言いますか、何とも特筆すべき点があまりないのが特徴です。

道を歩いていると道を聞かれたり、旅行先では写真を頼まれたりすることから、他人から見ると害のない人間だと思わせるのかもしれません。

どうしても挙げるとしたならば、髪でしょうか。

色は地毛で茶色の強い黒。

あまり手入れに気を使っているわけではないのですが、綺麗にまとまってくれます。

ただ、髪のモデルになれるかと聞かれるとそこまでではない。そんな感じです。


ここまででおわかりだと思いますが、私は至極普通の女子大生であります。

そして、他の普通の女子大生の一部の方々と同じように、私にも愛してやまないカレがいるのです。


カレと出会ったのは丁度1年前でした。

今でこそ二人でいるときは片時も離れないほど愛し合っている私たちですが、最初は全くそんなことはありませんでした。


カレとの出会いは私の一歩的な片思いから始まりました。

最初は遠くから見詰めることが出来なかったのですが、次第に我慢出来なくなり、カレに直接アタックし始めました。

色々話しかけたり、カレの好きなモノをリサーチしてプレゼントしたり、カレ好みの人間になれるように精一杯努力しました。

しかし、カレは中々振り向いてはくれませんでした。


ある時、積もりに積もった思いが弾けて、思わずカレに抱きついてしまいました。

そうしたらカレに酷く怒られてしまいました。

怒られることはわかっていました。

それでも僅かな希望を託してみたかったのです。

しかし残念なことにその希望は呆気なくも散ってしまいました。


暫くカレには近づきませんでした。

カレが嫌がるだろうと思ったし、何より私の心に思った以上のダメージを食らっていたからです。

一週間ほどでしょうか(正直この時は世界が全てモノクロにしか思えないほどに、憔悴しておりましたので、細かい日数など覚えていません)。

私が体育座りで膝に額を付けて、瞑想していた時でした。

ふと、足に何かが触れたのです。

それに気付いた私は、ゆっくりと顔を上げました。

するとそこにはカレが居たのです!

驚いたことに、カレから私の元へ来てくれたのです!

カレは黙ったまま私の横に座りました。

そのまま目を瞑ってしまったのですが、ずっとずっと私の傍に居てくれたのです。

私は嬉しくて、そしてその前の反省も踏まえまして、カレの手をそっと握りました。

カレは目を開けてチラッとカレの手を握る私の手を見ましたが、拒絶することなく、そのままで居てくれました。


それからの私たちはゆっくりと歩み寄りました。

手を繋ぎ、寄り添い、そして抱きしめる。

段階を踏むにつれ、心の距離も縮まっていくのがわかりました。

学校が終わってから、私たちは落ち合い、散歩と称したデートを日課としました。

デートコースはいつもカレが決めます。

私はカレの一歩後ろをついて行くのが、お決まりです。

カレとの散歩道は、何気ない道でもあっという間に鮮やかに見えてしまいます。

一人でその道を通ると、寂しくて仕方がなくなって、カレと会いたくて、つい駆け足になってしまいます。


私はカレに溺れていきました。

一人のオトコに溺れて、カレしか見えなくなっている私を馬鹿だと笑う人もいるかもしれません。

けれど、それでも、私は幸せだから気になりません。


朝起きた時も傍にカレの温もりを感じることができて、夜寝る時もカレの温もりに触れながら眠ることができる。


愛しい人と、共にいられる。

愛しい人が、共にいることを望んでくれる。


私はなんて幸せなのでしょう!







そして今日も、私は愛しい人の温もりを感じながら目を覚ます。









「おはよう、ケン」

「ワン!」







3部作を予定しています。


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