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1.聖女とは?

 この世界には穢れが蠢いている。


 なぜ発生するのかはわかっていない。


 一見埃のような靄のような誰にでも見える穢れは振り払えそうで振り払えない。


 穢れは人の身体に入り込み、その者の人間性を喰らう。


 穢れに侵された者は穢れ人と呼ばれる。


 始めは少しだけ乱暴になり、

 凶暴になっていき……

 他者を、そして自身をも傷つけることを厭わなくなる。

 いや、厭うも何もわからなくなるのだ。

 最終的には全ての感情を失うから。


 穢れに完全に飲み込まれたものは自我を失い、人々を襲い、自分の腕や足が千切れようとも破壊行動をやめない。人間の体であれば既に終焉を迎えるはずなのに動く身体。限界値を超えても動く身体。



 どんな屈強な者だろうと世界最強の騎士だろうが穢れ人を救うことはできない。首を切り、心臓を刃で突き刺せば終焉を迎えさせてやることはできる。


 だが穢れから解放してやることはできない。


 それができるのは『聖女』のみ。



 彼女たちは攻撃魔法は使えないが、治癒や結界を得意とし、穢れを祓うことができた。彼女たちの数は多くは無いもののあらゆる国に誕生した。


 ある時異常な量の穢れが発生し世界を飲み込もうとした。聖女たちはそれらに挑んだもののほとんどの者が犠牲となり、残ったのは2人の聖女のみだった。


 世界を救った2人の聖女に与えられたものは彼女たちの出身国にして世界最強の広大で肥沃な地と武力を持つシルビア帝国にある村だった。


 2人の聖女はそこに住み始め、新たに誕生した聖女たちが2人の師事を受けに集い始めた。



 これが



 聖女村の始まり



 と言われている。




 聖女村の誕生から月日は流れ現在――――――――。

 





 


 皆様初めまして。


 私は聖女様にこきつかわれ……んんっ!聖女様たちのサポートを行うジャックと申します。独身の雄でございます。ちなみに恋人もいない為、募集中でございます。


 さて、皆様は聖女と聞くとどのような女性を思い浮かべますか?


 美女?

 素朴?

 知的?

 天然?

 素直?

 我儘?


 各々様々なイメージがあることでしょう。それで良いのです。イメージとはその人によって様々ですからね。



 私のイメージはね――


 美しく、

 清らかで、

 謙虚さと真っ直ぐな心を持ち、

 優しく、

 温かく、

 人を愛し、人に愛される……


 止まりませんのでこの辺で遠慮いたします。



 そのような完璧超人出来過ぎ様です。



 ……いや、でした。



 実際幼き日に目にした聖女様はそうだったんですよ?


 その儚げながらも比類なき美貌を持つ顔に深い慈愛のこもった眼差しと微笑みを浮かべ…涼やかな声で挨拶をし…余計なことは口を開かず…優しく子供の頭を撫でる姿。


 怪我をした人や病気の人の手をそっと……でも力強く握る姿。


 そして、人を害する穢れを毅然と祓う姿。普段は今にも消えてしまわんばかりに儚げなのにこの時ばかりはオーラを纏い、圧を感じるほどの存在感。


 ああ!なんと聖女様は素晴らしい!!!


 ああ!聖女様のこのギャップ……たまらない!!!


 ……ではなく、その勇姿に見惚れたものでした。そして必ず自分はこの方達を支える者になるのだと決心しました。





 その夢は叶いました。



 が、


 ある3人の聖女様たちに出会ったときに言われました。


「えっ、きもっ」


「それって人間?」


「幻想ぅ」


 と。


 

 

 

 そうですね。彼女たちの言葉は尤もです。こういう仕事をしているからこういう性格。そのようなことを決めつけてはいけません。


 聖とつくからといって聖女だって人間なのですから。人とは一つの身体に様々な感情を持ち、様々な面を持つ生き物なのですから。



 でも…


 でも……


 でも………!


 言わせていただきたい!!



 御三方少々、人間臭すぎないでしょうか?


 いや、まあ人間なんですけどね。見た目があまりにも女神様なものですから。



 このお話は私の物語ではありません。



 聖女村に住む


 見た目極上

 頭……ずる賢さ良し

 聖女として優秀


 そして、


 口が悪く

 噂大好き

 ざまぁ大好き


 人の不幸は蜜の味


 でも


 なんかたまにいい人……???



 ゴスッ!ったぁ……



 …………んんっ!失礼致しました。



 とにかく!

 

 場面に応じ特大な猫を見事に被り、


 裏では罵詈雑言、


 時には本人にも言っちゃう系の



 3人の聖女達の物語の始まりでございます。







 

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