表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

Chapter 9 : 容赦なき条件

> 容赦のないこの世界では、チャンスは与えられない——奪い取るものだ。


もし、すべての望みが叶う代わりに、代償を払わなければならないとしたら?


今、レンの前にあるのは二つの選択肢。

素手で不可能の階段を登るか、

それとも、大切な人を闇に沈めるか。


こうして本当のゲームが始まる。

条件はただ一つ——容赦なし。


レンはリオの前に立ち尽くしていた。

二人の間には、まるで月のない夜のように重たい沈黙が流れていた。


その沈黙を破るのは、部屋の時計の針が刻む音だけ。


ソファに腰掛けたリオは、片足を組み、冷たい笑みを浮かべながら言った。


「一億円が欲しいなら……ゼロから始めてもらう。」


レンの目が細くなる。


「……ゼロから?」


リオはまるで子供の遊びのルールでも語るように、静かに頷いた。


「ファイターズの試験を受けろ。合格したら、ファイターズ5からスタートだ。

そこから自力で、ファイターズ1にたどり着くんだ。

そのとき初めて……金が手に入る。」


レンの目が見開かれる。


「……そんなの、ほぼ不可能だ。何年かかると思ってるんだ……! 金が必要なのは“今”なんだ……ルナは……」


リオはその言葉を遮るように、冷笑を浮かべながら続けた。


「ふん……大事なルールを言い忘れていたな。

第一に、あの化学薬品を飲んで生き延びたこと――

それを誰にも知られてはいけない。

たとえ一人でも……知られた瞬間、金は消える。」


冷や汗がレンの首を伝い、心臓が緊張で高鳴る。


「第二に……お前の新たな力を使うことは許されない。

力に頼るな。見せるな。危険な真似をするな。

自分本来の力だけで登りつめろ。……理解したか?」


レンは黙ったまま床を見つめた。

ルナの顔が、声が、怯えた姿が頭に浮かぶ。

手を握りしめ、爪が手のひらに食い込む。


「……金が必要なんだ……何年も待ってられない……」


そう呟いた声はかすれていたが、彼は視線を上げなかった。

世界が一気に重くのしかかるような感覚。


リオは小さく笑い、窓の方へと歩き出した。

その先には、無数の光が広がる冷たい都市の夜景。


「……フッ、面白い話だと思わないか?

断る自由もあるぞ、レン。

でも金は、空からは降ってこないからな。」


沈黙。

息が詰まりそうなほどの沈黙の中で、レンはただ一人、想いを抱きしめる。

ルナの涙、寂しさ、孤独……すべてが彼を支えていた。


ゆっくりと顔を上げ、揺るがぬ声で言った。


「……わかった。選択肢はないみたいだ。やるよ。」


リオが振り返る。

その顔には、得体の知れない笑みが浮かんでいた。


「……いい返事だ。

ここからが、本当のゲームの始まりだ、レン。

そして俺は……お前の一番近くで見届けてやる。」





> 「選ばされた」だけか、それとも…自ら「選んだ」のか。


レンが踏み出した一歩は、やがて誰かを救う光となるのか、

それとも、自らを飲み込む闇となるのか。


次の章で、すべてが少しずつ動き始める——


✦感想や予想など、ぜひコメントで教えてください!

あなたの一言が、とても励みになります ✦

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ