Chapter 4 :予期せぬ目覚め
「……ここは……どこだ?」
レンはゆっくりと目を開けた。眩しい白い天井の光が目を刺し、鼻には消毒液の匂いが広がる。体はほとんど動かせない。
――ここは……病院だ。
必死に体を起こそうとしたその時、すぐ隣から落ち着いた低い声が響いた。
「ようやく目を覚ましたか。」
ゆっくりと顔を向けると、鋭い眼差しの男が椅子に座っていた。無表情で、まるで鉄のような冷たい雰囲気を纏っている。だが、その静かな存在感には圧倒的な威厳があった。
「……リオ……?」
レンは小さく呟いた。信じられなかった。
この男はただ者ではない。Fighters 1の隊長――世界最強の男と呼ばれる伝説の存在、リオだった。
(なぜ……こんな人がここに?)
混乱する思考を断ち切るように、リオが低い声で問いかけた。
「お前は何者だ?なぜあの化学物質を飲んで、生きている?」
レンの目が大きく見開かれた。
(……俺は、生きてる?でも、どうやって?)
かすかな声で必死に答える。
「まず……どうして俺が薬品を飲んだことを知ってる?それに……他の人は、このことを……?」
リオはわずかに微笑んだ。まるで当然のことのように、静かに答える。
「簡単なことだ。空の瓶、モンスターの状態、お前の体調――全てが証拠になっている。俺はそれを繋げただけだ。」
レンは内心で驚愕する。
(この人……本当に天才かよ……)
リオは続けた。声の調子は穏やかだが、その言葉には強さがあった。
「安心しろ。他の誰にも言っていない。俺だけが知っている。」
そして、一瞬の間を置いて――
「だが、なぜそんなに怯えている?真実を知られるのが、そんなに恐ろしいのか?」