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Chapter 17 :真夜中のメッセージ…そして心を揺さぶる真実


「真夜中のメッセージ…そして心を揺さぶる真実」


魔獣と影が支配するこの世界で――

現実と幻想の狭間に、一本の糸が絡み合う。


そして、それは届く。

他のどんなメッセージとも違う、特別な“声”。


深夜零時の鐘が鳴り響くとき、

風が忘れかけた名前を囁くとき、

開かれるのは、希望と恐怖が交差する扉。


レン――

数多の謎に立ち向かってきた少年が、

今夜、待ち望んだ声を耳にする。


だが、その声が告げる“真実”は……

あまりにも衝撃的だった。


時として、真実は希望よりも重く、

優しさよりも残酷なのだ。





夜は静かで、闇がすべてを包み込んでいた。

風はレンの窓から静かに吹き込み、彼の疲れた呼吸をそっと見守るかのように囁いていた。


訓練で消耗した身体を引きずり、レンはようやく自宅に戻ってきた。

ジャケットを脱ぎ、無言でベッドの上に身を倒す。


「少しだけ…眠ろう…」


そう呟いた時、時計の針はちょうど午前零時を指していた。


——リン…リン…


例の奇妙な端末から聞き慣れた音が鳴り響く。


レンは疲れた顔にわずかな笑みを浮かべ、急いで端末を手に取った。

胸の奥で、不安と希望が入り混じった鼓動が高鳴る。


そして、ついにその声が聞こえた。


「…レン? そこにいるの?」


ルナだった。


そのかすかな声には、わずかな震えが混ざっていて、レンの胸を突き刺すように響いた。

目頭が熱くなるのを感じながら、レンは優しく答える。


「ルナ…元気だったか? 本当に…会いたかった。ごめん…こんなに待たせて…

でも、約束するよ。君を助け出すためなら、何だってする。」


短い沈黙の後、ルナの声がまた聞こえてきた。

明るく装っていたが、その裏に隠れた恐怖は明白だった。


「そんなに無理しないで…私は大丈夫。痛めつけられてるわけじゃないし、ただ…少し怖いだけ。」


レンは拳を握りしめ、低く呟いた。


「冗談じゃない…君のためなら、どんな無理でもするさ。

だけど…君の助けも必要だ。

君が言ってたよね、犯人の声が聞こえるって。周りは暗いとも言ってた。

でも他に何か…感じることはある?」


ルナは少し間を置き、ゆっくりと話し始めた。


「実はね…すごく不思議なんだけど……

あの…“魔獣”の声が聞こえるの。

ニュースとかで見るあの怪物たち。

でも今回は…すごく近い。触れるくらいの距離にいるの。

すごく大きくて怖いけど…なぜか私を襲ってこない。

まるで、何かに怯えてるような…そんな感じなの。」


レンは息を飲んだ。

彼女の言葉には、疑いよりも戸惑いがあった。


「それにね…女の人の声もするの。

その人が…私にごはんをくれるの。

でも…彼女が部屋に入るたびに、魔獣たちは震えだすの。

あの誘拐犯でさえ…その人の前では怯えてるように見えるの。」


「女…? 魔獣も誘拐犯も恐れる存在…?」


レンの顔には驚きと疑念が入り混じった。


(まさか…犯人は別にいる?

あの男は…ただの駒にすぎない?)


そう思った瞬間――


あの慣れた、耳障りな声が端末から響いた。


「時間切れだ。じゃあな。」


そして、通信は唐突に切れた。


レンはしばらく無言で端末を見つめ、そのまま静かにベッドの横へ置いた。


ルナが無事であることが分かっただけでも…わずかに心は救われた気がした。


だが、天井を見上げる彼の目には、終わりのない疑問と覚悟が宿っていた。


(魔獣をも怯えさせる女…

俺が本当に戦おうとしているのは、何なんだ?

ファイターズ1に辿り着くまでに…間に合うのか?

本当に…ルナを救えるのか?)


暗闇の中で、レンは小さく呟いた。


「君を…絶対に裏切らない。必ず迎えに行くよ、ルナ。」






ルナの声は消え、端末の光も静かに落ちた。

だが、レンの心は静まることを知らない。


“魔獣すら恐れる少女”――

一体、何者なのか?

そして、彼女は敵なのか、それとも…。


レンの視線は、ただ天井を見つめながら、

自分の中に渦巻く疑念と決意を静かに抱えていた。


「絶対に、諦めない…

君を救い出す。そのためなら、どんな闇でも踏み込んでみせる。」


夜は深まる。

だがその闇の奥には、さらなる真実と運命が待っている――


そして物語は、さらに加速していく。



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