Chapter 12 :「逃れられぬ戦い」
弱者に救いのない世界で――
生き残りを決めるのは、意志ではなく…絶対的な「力」だった。
戦場はすでに彼らを待っていた。
名をのみ込み、心を試す場所。
これはただの試験じゃない。
崩れた瓦礫の中から、頂点の輪郭が見え始める…そんな「始まり」の章だ。
その片隅に立つのは、何も持たぬ少年。
だが、彼の中には誰にも言えない「秘密」と、燃えるような決意があった。
今日――
試されるのは武器だけじゃない。
誰にも与えられない力、見えない本質…それが問われる。
誰が倒れ、誰が越えるのか。
アマチュアとプロの境界線――
その答えは、汗と、叫びと、時に……「血」で書かれる。
試験会場に灯りがともり、観客たちのざわめきが空気を震わせる。広々とした闘技場の各所に、緊張に包まれた挑戦者たちが立ち尽くしていた。中には不自然なほど自信に満ちた様子を見せる者もいた。
「全員倒してやるよ! こんなの楽勝だ!」
――その声は、自分の不安を打ち消すための叫びのようにも聞こえた。
高い観覧席には、ファイターズの五人のリーダーが順に座っていた。
ファイターズ1の伝説的リーダー、リオは腕を組んで無言のまま戦況を見つめる。
その隣には、鋭い眼差しを持つファイターズ2の女性リーダー、ユリ。
続いて、常に笑みを浮かべる屈強なファイターズ3のダン。
静かな目をしたファイターズ4のレンマ。
そして最後に、いつも通り気だるげな様子のファイターズ5のリーダー、ジェイソンがガムを噛みながら座っていた。
次々と試合が進み、勝者の歓声と敗者のため息が交錯する中――
レンは静かに列の後方で自分の出番を待っていた。
その顔には一切の動揺が見られず、微かな挑戦の笑みを浮かべていた。
(ここに来たいと思ったわけじゃない…でも、勝たなきゃ。ルナのために…)
その瞬間、スクリーンに次の対戦カードが表示された。
レン 対 ケン
ほんの一瞬、レンの目が大きく見開かれた。
「……嘘だろ……あいつは、最強の武器を手に入れた男……」
しかし次の瞬間には平静を取り戻し、レンは静かに、確かな足取りで闘技場へと進んでいった。
対するケンは、自信満々に立っていた。
その手には、最強のケミカル武器が光っていた。
だが、レンは一切怯まなかった。
いや、それどころか――不気味なほど冷静だった。
試合開始の合図と同時に、ケンが猛攻を仕掛ける。
四方から放たれるケミカル弾が空気を裂き、観客席からも驚きの声が上がる。
しかし――
レンは、すべてを紙一重で避けてみせた。まるで動きが読めているかのように。
上階で戦いを見つめるリオが、わずかに眉をひそめる。
(こんな動きができるなんて…この少年、今まで一度も戦闘経験を見せていなかったはずだ…!)
そのとき、一発の流れ弾がレンの武器を弾き飛ばした。
さらにもう一発が彼に向かって直撃しようとする――
だが、レンは地面を滑るように転がりながら武器を拾い上げ、
そのままケンの武器の「弱点」を狙って引き金を引いた。
――ドォンッ!!!
轟音と共に、ケンの武器が爆発した。
煙が晴れると、ケンは地面に倒れていた。呆然としたまま、状況を理解できていないようだった。
勝者:レン
信じられないような空気が会場を包んだ。
誰一人として、レンが勝つと予想していなかった。
リオでさえ、その静かな目をわずかに見開いた。
(予想を――完全に覆されたな……)
──次回、運命の一手が動き出す。
だが、それは始まりに過ぎなかった。
隠された才能、予想を裏切る一撃、
そして、静かに歪み始める世界の均衡――
この戦いの裏には、まだ誰も知らない「真実」が眠っている。
彼は果たして、どこまで登り詰めるのか?
次の章で明かされるのは、勝利か…それとも罠か。
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