Chapter 11 : 運命の試験の始まり…手に入らなかった武器
光は、時に真実を隠す。
静寂は、嵐の前触れ。
試験会場に集まった者たちは知らない。
彼の中に渦巻く"狂気"と"決意"――
そして、誰よりも深い「理由」を。
これはただの試験ではない。
生き残る者と、消える者を分ける戦場。
…だが、ある男にとっては違った。
彼にとってこの日こそが、
「復讐」の序章――そして、「救済」への一歩だった。
朝日が差し込む中、空はどこまでも澄み渡っていた。
――まるで、これから始まる過酷な現実を覆い隠すように。
ファイターズ試験の受付広場。
そこにはちょうど四十人の受験者が並んでいた。
その一人一人が、希望、不安、緊張、野心…さまざまな感情を顔に浮かべていた。
だが――
その中でただ一人、無表情を貫く少年がいた。
彼の名は、リン。
(…こんなこと、望んだわけじゃない。俺はただ、ルナのために戦っているだけだ。)
彼にとって、この戦いは夢への一歩でも、栄光を掴む挑戦でもなかった。
ただ一つ――最愛の妹を救うため、それだけだった。
試験場の上段に設けられた高台には、ファイターズの五人の幹部が静かに並んでいた。
その視線は鋭く、そして何よりも冷静で、受験者たちを値踏みするかのようだった。
ファイターズ1の総司令「リオ」は、前列中央に座り、鋭い目で全体を見渡していた。
その隣には、ファイターズ2のリーダー「ユーリ」。圧倒的な存在感を放ち、誰もが一目置く女性。
ファイターズ3の「ダン」は巨体で、どこか楽しげな笑みを浮かべていた。
そして、ファイターズ4の「リンマ」。静かな瞳に、深い悲しみを宿している男。
最後に、ファイターズ5の担当である「ジェイソン」。いつも通り、ガムを噛みながら気だるそうに立っていた。
合図と共に、受験者たちは前に置かれた「化学兵器」の中から一つを選ぶよう命じられた。
それは、特殊な力を秘めた武器群――選択こそが、勝敗を分ける鍵となる。
周囲の受験者たちが戸惑いながら武器を手に取る中、リンだけは違っていた。
彼の視線は、ただ「分析」していた。
(どの化学兵器にも、構造上の欠点がある。それは全部、俺が知っている。)
迷いなく、彼は最強とされる一つの武器に手を伸ばした――
だが、その手が届く一瞬前。別の受験者がその武器を取ってしまった。
リンはまばたきを一つし、軽くため息をついた。
(チッ…欲しかったのに。まさか、そいつが対戦相手じゃなければいいけど。)
気を取り直し、彼は隣に置かれていた第二の武器に手を伸ばした。
外見は地味だったが、性能は彼が知る限り、十分に勝機を秘めていた。
慎重にバランスを確かめ、彼は小さく笑った。
(問題ない。この武器で十分だ。俺の実力を…見せてやる。)
誰も知らない。
この場にいる「リン」が、ただの新人などではないということを。
彼は――死の薬を飲み、生き残った男。
この世界の最下層から、頂点へと叩き上がる――化学の戦士だ。
戦いはまだ始まっていない——しかし、その時は確実に近づいている。
多くの顔が崩れ落ち、仮面が剥がれる。
生き残った者が、必ずしも「勝者」とは限らない。
この場所では、人間の価値は「力」で測られる。
レンは、この世界を登りつめることができるのか?
それとも、彼の周りにいる者たちが、最初に彼を倒すのか?
だが、これはただの少年の成長物語ではない——
これは、「秩序を覆す者」の物語だ。
皆さんはどう思いますか?
レンは本当に準備ができているのか?
そして、彼の「敵」は本当に敵なのか…? それとももっと深い陰謀なのか?
ぜひコメントで感想や予想を聞かせてください。
次回、第〇話——物語が動き出します。