瑠璃色
私たちは日々人と出会い、別れを繰り返している。その度苦しい想いをしたりする。それでも出会いを求める。
これは一人の特にイケメンでも、なんでもない一人の男の大恋愛の話。少しだけ付き合って欲しい。
再開は突然だった。勇気を出したのは僕の方だった。僕の通っていた小学校は人数が多く、僕が小学三年生の頃、近くの小学校と合併をし、さらに大きくなった。その時君に出会えた。クラスは隣だった。初めは何に惹かれたのだろう。覚えていないが一目惚れだった。
気づいたら毎日話しかけに行っていた。それでも君は、僕の名前すら覚えない。少しは笑える話だ。僕だけが、君を知るから、好きは溜まる一方で、本気で恋をした。
俺は君が住んでいる家の方に自転車で用事もないのに行っていた。会えるかな?会えるかな?それだけ思ってた。まぁ実際に会ってはないんだけどね。
小学校三年生の時に君と同じクラスになった。でも今度は心恥ずかしくて、声をかける事は少なくなった。すぐ顔は赤くなるし、なんで言えばいいんだろうって思ってた。でも好きバレはしていた思う。
小学校の修学旅行で日光東照宮に行った時、君に告白をして、しっかり思いを伝えるって決めていた。でも、仲間内の悪ノリに流されて、違う女の子に嘘コクをした。自分をぶん殴ってやりたくなった。君はもう話も聞いてくれなくなった。
僕は恋心を拗らしたまま中学生になった。中学校は地域の分け方によって、離れてしまった。それでも君が好きだった。君を知れないから好きは溜まる一方だった。
スマートフォンを持ち始めて、君の連絡先をやっとのことで手に入れた。
「久しぶり」「元気にしてる?」
下手くそな会話。でも君は、
「久々!元気だよ!」 「そっちは?」
やっぱり優しい。ここで君の好きなところがわかった。滲み出る優しさと、かわいらしい声、ノリいい明るめな性格。そこに惹かれたんだと思う。
これでまた会話ができる。喜んだ俺は泣いた。
でも君と会う事はなかった。中学生の頃、君に似た人を好きになった。でもどこか違かった。でも愛さないとって思って、夢中になった。
「重すぎる」
そう言って振られた。
どこかホッとした。
高校生になった。サッカーで選んだ高校だから、サッカーに本気になりたかった。「重すぎる」って言われても振られたのも入学したばっかりだった。辛かった、君から急に
「誕生日おめでとう!!」
って連絡が来た。
弾ける喜びに胸が躍った。これ僕のことを好いてくれてるじゃないかな。会いたいなって思った。でも勇気が出なかった。
そのまま毎年君の誕生日を祝い僕の誕生日も祝い合っていた。
そして受験生になった。
共通テストの会場で君に似た人を見つけた。勇気がないから、声をかけなかった。
でも連絡はした。
「一橋大学にいる?」
「いない」
「似てる人いたんだよね」
「いない」
冷たい返答。なんか心がキュってなった。
これをいい機会にどんどん連絡をした。
「受験最後何日?」
「九日」
脈の止まり切った。状況に、まだまだって覚悟を決めた。思い切って、彼氏いるのかを尋ねた。
「喧嘩売ってる?」
ノリの良さがわかる返答
「売ってないよ」 「いるなら手を出さないだけ」
もうこのノリのままデートに誘おうと勇気を出した。
「いない」
望みに望んだ返答が来た。
「もしよければ遊んでください!」
「なんで?全然仲良くないじゃん」
なんか悔しくなった。
「俺は会いたいと思ってる」
「じゃあ会おう」
いいの?そう思った。でも嬉しさで叫びそうになった。場所は江ノ島に行こうねって決まった。
忘れたくない三月一日。
おみくじを引いたり、海見ながら、話したり、歩き回った。
君を知れるから、好きって強く感じた。
帰り家の最寄駅の近くの公園で、二人で話した。君のことが好きだということ。まだ覚えてるってこと。君は僕をどう思っているのだろうか?そんなことばかり考えていた。
「また合ってくれる?」
「もう会わないと思うよ」
悲しい返事に僕は
「いや会いたい」「会いたい」
ただそれだけを伝えた。
そして帰る直前。
「付き合うメリットってなんかある?」
試すような言葉。
「虫退治は任せて!」「料理得意だから美味しいもの食べれるよ」「綺麗好きだから部屋の掃除は得意!」
胸を張って答えた。
「じゃあ付き合う?」
笑顔の君のいきなりのセリフに泣きそうになった。ここで勇気を出したのは君だった。
「一回目のデートでいいの?」「早いと思うよ」
バカみたいな嘘、本当は今すぐ付き合いたい。
「私がそれがいい」
それで付き合った。まさかの君からの告白にドキドキした。嬉しかった。抱きしめた。強く今までできなかった分を。
そこから愛に変わった。どうしたらこのままいい関係を作っていけるかな?って冷静に考えて過ごした。
三月はほぼ毎日会っていた。お互い好きだから、向き合いたくて。でも大学が始まって。少しずつズレが生じた。
僕は無理してでも君に会いに行った。好きという言葉で安心が欲しくなった。そして求めすぎていた。プレッシャーをかけてしまった。
いずれ来るエンディングを自ら引き寄せてしまった。ある日急に返信が遅くなった。課題をしていたようだ。それなら連絡して欲しかった。
次の日そっけない返信をしてしまった。
君が僕を好きなのかわからなくなってしまって、君に疑問を投げかけているつもりだった。でもそれは疑いの心をぶつけていただけだった。
ある夜電話で、「もう好きじゃない」「理由はない」「同じ大きさで愛せないことが申し訳ない」「部活も恋も勉強も同じ大きさでやりたくてもできない」
迫る決め台詞を聞きたくなくて、話を逸らそうとするけど、冷たい声で、君はつぶやいた。
「別れたい」
汗が出た。早くない?と思った。好きは依存に変わってしまっていた。
「一緒にいようよ」
「できない」
「好きが欠けてるなら好きにさせる」
「できない」
答えは変わらなかった。
「考え治して」
そう伝えて、そういうことにした。
駄々をこねた。結果は変わらなかった。
二人は別れた。
君はキッパリしてる人だから連絡取る手段はないと思う。でもね、いつか、また、もし、きっと、ある再開した時、僕はまだ君を好きでいると思う。
もう会えなくても、抱きしめられなくても、それでも死ぬまで、いや死んでも彼女のために生き続けると思う。
愛して、時には苦しんで、恋して、好きで好きでどうしようもない愛しの人よ。
あぁ好きだよ。
君に出会った瞬間から九年間今もずっと君に恋をしてる。一秒も想わなかった事はない。好きだった結婚したかった。
いやいや。好きだし結婚したい。現在進行形。
どうして涙は温かいんだろう。
笑顔が好きだった。最後くらい見たかった。
この目に焼き付けておけばよかった。
嘘でも嫌いって言って欲しかった。
何度生まれ変わっても君を選び愛する。
キスもハグの仕方も君に教わった。
恋し方も愛し方も君をみて学んだ。
まだ大学一年生だけど、一生忘れない恋をした。
十月六日、君の誕生日に「おめでとう」って手紙を添えて、匿名で君におくろうかな。
一輪の真っ赤な薔薇を