番外編短編・神様の原作(聖書)通りに生きている者だけが石を投げなさい
とある天使は地上に出向き、仕事をしていた。ポータルが開き悪魔が出入りしている所のチェックなどなど。
そして地上についても先輩天使に報告する為、ネットも見ていた。
最近は漫画家が炎上しているという。コミカライズ専門の漫画家だったが、原作者の作風にSNSで文句を言ったり、バカにし炎上してしまったとか。
「原作者に敬意を持て!」
「原作通りに仕事しろ」
「改悪するな!」
「裏方の漫画家がお気持ち表明するな!」
そんな声がネットに溢れ、天使はため息しか出ない。中には漫画家の誹謗中傷もある。炎上をネタにし、人を叩く事自体を楽しんでいる模様。だれも前向きな批判はしていない。
天使をこれを見てため息しかいない。
『そもそもどんな人間だって創造主である神様の意図通りに生きてないだろー! これも立派な原作冒涜だからね! 聖書通りに行きている者だけが、炎上している漫画家に石を投げなさい。どうか創った方を思い出して……』
顔に似合わず天使は憤慨するが、SNSの投稿から日常生活の下らない悪口、噂話も全部天国に記録されているのだ。人間の言葉の記録係の天使達が「人間達、最後の審判の時やばくないですか? 発した言葉や想いも全部裁きの対象なのに……」と不安がっていたのも頷ける。
『まあ、世の終わりが近いのかもしれないわ』
天使は再び呟くと、自分の仕事に戻っていた。