番外編短編・全て愛から生まれる
作家志望のO子。学業の傍ら、作品を書いていたが、最近は筆がぬるい。書いては消しを繰り返していた。いわゆるスランプというものかもしれない。
「あー、ネタがないよ。そんな異世界転生ばっかりは思いつかないって」
そんな時だった。
『O子ちゃん!』
目の前に天使が現れた。前も天使に話しかけられた事があり、もはや驚かない。
『今日は最後のお別れに来た』
「え? どういう事?」
『本当はあんまり人と関わってはいけないからね。それにスピリチュアル系の人達が、私達に話しかけられたとか商売しはじめて、本当に腹がたつ』
天使は大人しい顔をしていたが、案外発言は強気だった。
「もしかしてスピリチュアル系のいう天使って嘘?」
『そうよ。我々、天界では占い、スピリチュアル、霊媒、口寄せ、などなど全部禁止。奇跡の力は全部神様から』
「へー」
『言っちゃ悪いけど、スピリチュアル系のパワーの源は悪魔だから』
天使がそう言うと、O子の様子をうかがう。
『え、もしかしてスランプ?』
「うーん、なんか冴えない感じで」
『大丈夫。全ての創作、新しいものを生み出すのは、愛だから。愛があれば新しいものを生み出せる』
「そう?」
『神様がこの地上や動物、植物、それを創造したのも愛しかなかった。愛が全ての源、親みたいばものよ。全ては愛から生まれる』
天使は最後にそう言い残し、消えていった。
以来、二度と天使に会う事はなかったが、挫けそうな時、思い出す事だった。
「そうだよな。作品への愛、キャラへの愛、見てくれる人の愛。それがあれば大丈夫!」
O子がそう呟き、スランプも乗り越えて行った。