表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/20

番外編短編・魔女のその後

 とある魔女は舌打ちしていた。最近「真・引き寄せの法則〜誰でも願いが叶う簡単な方法」というセッションを販売し、利益を貪っていたが、A子という顧客が面倒なタイプだった。


 時々いるのだ。魂の「計画」があり、こちらの魔術が全く通用しないタイプが。これでも魔女。人の魂は読める力がある。


 それでもA子は引き寄せの法則で願いを叶えて欲しいというので、渋沢、セッションを開始。


 いつものように「見えない存在」を呼び出したが、うまくいかず、魔女は過呼吸になり、死にそうになった。気づくと病院のベッドの上。


 連日悪夢に悩まされた。


『A子は後々救う計画がある。手を出すな』


 夢に中でも「見えない存在」が警告を出してきた。


 実は「見えない存在」にはヒエラルキーがあり、意外と好き勝手ができない。おそらく夢に現れたのもそれなりに上位の存在。魔女は渋々従う事に。


 といっても、これで引き下がるのは悔しい。また魔術を極め、もっと「見えない存在」のパワーを得ようとした時。


 近所の児童養護施設の周辺に怪しい男が様子を伺っていた。


「あなた、生贄を探してる?」


 魔女の勘。すぐに分かった。


「お前誰だよ」

「魔女よ。『見えない存在』と仲良くし、かなり稼がせて貰ってる」

「そうか。俺は会社経営者でな。Sという。契約している存在が生贄をよこせっていうから、探してるんだ」


 向こうも「見えない存在」と契約済みか。同じ悪人同士で妙な連帯感のようなものも生まれたが。


『Sの邪魔するな!』


 Sが契約している存在は、かなり強いものだったらしい。再び魔女は夢の中で攻撃にあい、培っていた魔術も全部没収され、情報弱者を騙して商売をするのも難しくなった。


「悔しいわ。でも『見えない存在』はヒエラルキーがあるのよ。これには逆らえないわ……」


 魔女はため息をつきつつ、この商売を長く続けるのは難しい事も悟った。


 職場においてある聖書を捲る。呪術のために用意していたものだが、本当はこの神が「見えない存在」のトップである事も知ってる。


 昔、契約していた「見えない存在」に聖書の言葉を言っただけで、一瞬で消えた事もあった。


「そろそろ年貢の納め時ね」


 魔女はそう呟くと、聖書のページをめくった。もう他人も自分の魂を見ることは不明だったが、これで良いのかもしれない。少なくとも地獄の門に入る前に引き返せたのなら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ