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番外編短編・チャネリング

 Yはスピリチュアル業界でカウンセラーをやっていた。この仕事を始めた動機は「楽して稼ぎたい」からだ。実際、見えないものについて適当に言っておけば金が入るチートな職業だった。


 結局、人は認められたい、話を聞いて欲しい、愛されたい存在。耳に優しい事を言い、何でも許してあげるようなカウンセラーが儲かる。果たしてそれが正しいかは謎だが、客が求めるんだから仕方ない。資本主義経済は需要を提供する事で成立するから。優生思想のこの世では、逆に甘い事を言うだけでも商売になってしまうパラドックス。


 そんなYだったが、ある日、霊的存在から声が聞こえるようになった。いわゆるチャネリングというものだ。霊的存在は自称・大天使ミカエルと言っていたが。


「ねえ、あんた。ミカエルってキリスト教の天使でしょ? 何でスピリチュアル業界の私に声かける? キリスト教ではスピリチュアル禁止だっただろ? あんた、偽物でしょ?」


 そう言うと、自称ミカエルは本性を見せてきた。天使の姿から悪魔に変わり、ペラペラ話す。


『そう、俺は悪魔だよ。ミカエルじゃないよ。キリスト教なんてむしろ嫌いだね。でも情報弱者の日本人を騙すのはチョロいしー。ミカエルの天使ヒーリングメッセージっていうセッションで売ってくれない?』


 そんな事だろうと思った。が、この天使セッションは確かに儲かりそう。


 実際、自称ミカエルの言う事を聞きながらセッションをしたら、情弱な客が押し寄せ、年収も一億近い。


 もっともこんな事をしていて全く幸せではない。いつかこの代償を支払う時が来そうで怖いが、妊娠が発覚した。夫とはこの歳では無理と諦めていたところだったのに。Yはこの幸福に涙が止まらない。


『バカだね、Yちゃん。親がスピリチュアル系の子供なんて、我々からしたら親ガチャ大失敗だがな。スピリチュアルの成功代償もこの子供から貰う事にするかね』


 悪魔がこんな計画を立てている事は、Yは何も気づいていなかった。ただ、何も知らずに今だけの幸福を噛み締めていた。

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