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4.魔法が使いたい

この世界には「魔法」が存在する。

誰もが一度は憧れたことがあるよね?


だけど全員が使えるわけじゃない。

魔法を使うには魔力が必要で、魔力を持っている人は少ないのだ。

乙女ゲームコースでヒロインが平民ながら魔法学園に通えたのは

このためだろう。


稀にヒロインのように突然変異で魔力持ちが生まれるけど

基本的には親から受け継がれる。その血筋が主に貴族と呼ばれる。


これが私がゲームで得た知識。

てことは、悪役令嬢、ディルヴィアーナの娘である私も魔法が使えるはず。



「かあさん、魔法つかいたい!」

「あら。今度は魔法?」


この二年間、あれやりたい!これやりたい!って宣言しまくってたからね…


「うん!」


今、クレアは魔獣討伐あそびに行っていて母さんと二人きりのお昼ご飯。

メニューは親子丼!相変わらず日本食!


母さんは少し考える素振りを見せてから、


なにもない空中を指さした。


「ソフィア、あそこに、何が見える?」

「…空気?」


「そうね。…残念だけど今のソフィアには魔法は使えないわ。」

「え?!」


なんということだ。

本当に何もないよ?母さんには何が見えるの?!


「魔法はね、魔力がある人しか使えない。ほんの一握りよ。」

「じゃあ私は使えない…?」


「分からないわ。ごめんね。」


ドカンッ


「ただいまーっ!!今日はサングリーの鍋だよ!」

クレアが帰ってきた。――――大きないのししを引きずって。


「まぁ、おかえりなさい。」

「クレア!おかえり!」


「見て!おっきいでしょー!」

「すごいわね。」


クレアは、魔獣をどうやって倒しているのだろうか?

一般的に魔法を使う獣を魔獣と呼ぶ。


クレアと入れ違いに母さんは仕事に向かった。

市場通りの食堂で働いているらしい。


「ねえ、クレア。」

「んー?」


狩りのついでに採集してきた薬草を一緒に仕分けながら聞く。


「魔法って使える?」

「うん。使えるようになったばっかだけど。」


「え、最初っから使えるんじゃないの?!」

「そーだよ。

 私は六歳くらいに爆発起こして魔力持ちだって気づいたもん。」


バクハツ。

みんなそうなのかな?…いや流石に違うか。


「ソフィアー、この草って美味しい?」

「それね、暗殺によく使われるんだって。」

「えー。」

どこから採ってきたの?そいつ氷山に生えるやつだよ。


最近、近所の薬草に詳しいおばあさんに教えてもらっている。

もうクレアの「食えるでしょ!」で寝込みたくないからね。

大変だったなぁ。二人そろって母さんに看病してもらった。


「この花はー?」

「目が潰れる。」

「えー。」

こいつは火山の噴火口に生えるやつだ。


「採ってきたの売ってくる!」

「いってらっしゃい!暗いから気を付けてね?」

「当ったり前じゃーん!」


ぎゅーっと抱きしめられる。


だきめられる。

「ぐ…」

ぺちぺちとクレアの腕を叩けばようやく息ができるようになった。

もはや慣れたものだ。


そうして私は家に一人になった。

もうすぐ最後の鐘が鳴る、すなわち夕方の五時になる。


秋だから陽が落ちるのが早くなったねぇ。

オレンジ色から紺色にグラデーションができた綺麗な空。


大体少し遅い夕ご飯の時間に母さんとクレアは帰ってくるから

それまで本を読むことにした。

ろうそくを点けて例の薬草おばあさんに借りた分厚い本を開く。

もう大体の文字は読めるし分からない単語はメモしておばあさんに今度聞く。


いつの間にかそのまま寝落ちした。

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