1.悪役令嬢はぜったい死ぬ
『ディルヴィアーナ、お前を処刑とする。』
――――え。
『ディルヴィアーナァ!貴様だけは、絶対許さないっ!!』
――――あれ?
『そこのお嬢ちゃん、生きて帰れるとでも?』
――――は、?
『すまない、ディルヴィアーナ。こうするしか…』
――――あ。
何度、何度 何度くり返しても死ぬ。
どうやったら彼女を救えるのだろうか。
(全然あの子の生存ルートが見つからない。もう諦め時?)
そんなことを考えながら電車に揺られる。
私はいつも中途半端だ。
「ママ、あたしねー、ひゃくてんだったよ!」
「すごいじゃん!頑張ったね。」
知らない母娘。
(もっと頑張っていれば、今頃すごい人になれたのかな。)
オレンジ色のレトロな電車に蹴散らされた雪がふわりと舞って
ゆっくりと落ちていく。
その様子をぼーっと見つめていた
その時。
シュゥゥゥー――――
「なに、この匂い。」
ペンキのような異臭がした。
目を凝らすと薄い煙が車内に広がっていくのが見える。
ほかの乗客もざわめいてるから気のせいじゃなさそうだ。
あれ…頭がぐらぐらしてきた。、、もしかしてヤバい?
とっさに口を覆ったけど指先が震え出す。
私は何とかハンカチを取り出すと飲みかけのペットボトルの水を浸して
――――近くにいた、さっきの母娘に押し付けた。
この煙を吸わないようにしないと。
前にテレビで見たんだよね。あれ?それは火事だっけ?
どっちでもいっか。
「え、?いいんですか、?ありがとうございます…?」
ハンカチを受け取った母親は明らかに戸惑っている。
私も今、戸惑っている。
(私って意外といい奴だったりする?…なんてね。)
車内の明かりが点滅している。
悲鳴とアナウンスが鳴り響いてパニック状態。
私は もう立っていられなくなって硬い床に倒れ込んだ。
「だ、大丈夫ですか?!」遠くで誰かの声。
ぼやける視界には次々と倒れる乗客たちが映される。
意識はふっと遠退いていった。
「ん…」
ふと目を開けると、死ぬほど近くに美女がいた。
(びっくりしたぁー 誰?え、可愛い。)
月の光で染めたような淡い金髪にラベンダー色の瞳、綺麗すぎる。
にしても、ここはどこだろう。
「%&$#+@*+#%!!」
声も素敵…何語?
ぐぁっ。頭がガンガンする、、。
彼女は私をそっと、ベッドに降ろして部屋から出ていった。
(とりあえず何が起こっているのかを知りたいな…)
軽く見回してみると私はカゴのような物に入っていることを発見する。
よっこらせっと身体を起こそうとするが力が上手く入らない。
(私はさっきの女性に降ろされた、ってことは抱っこされてた?そしてここはカゴの中。)
恐る恐る手を目の前にかざしてみる。
ぎゅっと目を瞑って覚悟を決めた。
よし。
それは小さな、小さな子供の手だった。




