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24.浅田理事長side

「お嬢さんだけでなく、その二人の『シンデレラストーリー』に踊らされた人は多かったようですね。二人の後に続けとばかりに……いいえ、『次のシンデレラ』になろうとする女子学生が浅成学園には度々いるのですよ。自分と似たような環境の女性に共感と羨望をもって期待して入学するそうです。少し調べればおかしいと気付くことも気付かない。そもそも報道自体がおかしいことを理解していない。夢を抱いてやって来る『次のシンデレラ候補』は、今まで沢山いたようですね。その彼女たちと偶々お話しをする機会がありましてね、少し聞いてみたんです。すると皆同じようなことを口になさいましたわ。『あの学園に入ったのは間違いだった』と。お嬢さんのように妊娠した過去を持つ女子生徒はそれは多くいたようですが、誰一人として結婚にまで至った女子生徒はいないませんでしたわ。中には『責任を取るように』と家に押しかけた女子生徒の家族もいたそうですが逆に『誘惑してきたのはそっちの方だ』『金目当てだろう』と責められて警察沙汰にまで発展した家もあったそうですよ。まぁ、全員がお金で解決なさったようですが」


 まさかの展開だ。

 今回の一件が初めてじゃないだと?!

 いや待て待て。大場夫人は言ったじゃないか。「家に押しかけた」と。つまり今までは学園の外で起きていた事で、それに対して各家が対応していたということか!


 それにしても――――


「随分と、我が校に詳しいですね」


 俺の問いかけに大場夫人は苦笑したまま答えた。


「この学校は、理事長達が思っている以上に有名ですよ。少し調べただけで色々出てきましたから」


「し、調べた……」


()()()()()でだけですよ。それに、私が調べたのは“大場家の長男を名乗る男子生徒”と“その被害者の女子生徒”に関してですから」


「そ、そうですか……」


「“被害者の女子生徒”は入学した頃から色々と有名だったようですよ」


「ゆ、ゆうめい……」


「はい。ただ、この手の有名人は()()()()()()()()()ようで、そのせいでしょうか?他の生徒の方も特に()()()()()()()()()()でしたよ」


「も、問題にしてない……」


「はい。生徒さん曰く『よくあること』だとか」


「よく……ある……?」


 校長と二人の担任も知らなかったのだろう。絶句したままだ。そういえば三人は、この学園の卒業生だったと場違いなことを思い出していた。

 幾ら一般生徒の特待生を募る学校だからといって、浅成学園は良家の子息や子女の学び舎だと自負している。例え「金持ちの裏口入学の最適校」と陰で言われていたとしてもだ。経営している以上は綺麗ごとだけではやってけない。当然、情報漏れがないように細心の注意を払っていたはずだ。それなのに、大場夫人はいともたやすく情報を入手していた。しかも情報元が在校生だけでなく卒業生にまで及んでいる。


 大場夫人の話はまだまだ続いた。





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