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38.晃司side

 くそっ!

 

 何もかも上手くいかない。

 どうしてこうなった!?


 あの日から全てが狂った。


 実家で父の話を聞いた時はあまり実感が湧かなかった。

 だが、それから数週間後に人事異動の通告がきた。


 社長職から一般職に降格されたのだ。

 さらに、たったそれだけで白い目で見られるようになった。


 ふざけるな!!


 それだけじゃない。

 何故か女社員達の態度が悪い!

 何なんだ!一体!!?


 鬱屈した日々の中で更に追い打ちをかける出来事が襲ってきた。





「北海道……?」


 子会社への人事異動だ。

 目の前に辞令と書かれた書類を渡された。


「社長職は大変だと思うが、鈴木君なら大丈夫だろう。何しろ、以前は社長職をしていたのだからな。アハハハハハハハ」


「フフフ。頼りにしてるわよ!鈴木君! 貴方になら安心して経営を任せられるわ」


 人事部長たちが笑いながら、俺を励ましている。

 人事部長から渡された辞令の紙には 【北海道支社長を命ずる】と書かれてあった。


 ふざけるな!!俺は……俺は……!!

 そんなの望んでない!!!!!!!


 北海道の子会社は毎年赤字を出す弱小だ。

 そんなところで何で俺が経営しなければならない!?


 俺の願いは虚しく一ヶ月後、北海道へと旅立つことになった。








「な、なんだこれは……?」


 北海道の子会社は思った以上に規模が小さく従業員も少ない。

 しかも地域密着型の地元企業に押され、取引先も減っているという。

 折角の社長職をこんな意味不明な訳の分からない田舎では絶対に成功しない! ふざけるな!!何で俺がこんなことに!!!

 だが、この辞令はもう覆せないし会社をやめる訳にもいかん……くそっ!


 八方塞がりとはこの事だ。

 イライラが募る。

 最近、酒の量が増えた。

 家で飲むと陽向が心配するからな。専ら外で飲むことが多くなった。まさかこの俺が安酒を呑む羽目になるとはな……昔じゃ、考えられない状況だぜ。




「あれ?鈴木先輩?」


 片田舎の居酒屋で懐かしい顔が飛び込んできた。

 生真面目そうな男は嘗て生徒会で一緒だった後輩の一人だった。


 

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