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30.復縁要請

 

「要するに、復縁要請ですわよね?」


「はい、それであっています」


「お二人は別れたのかしら?」


「いいえ。ご本人達に別れる気配はございません」


「……つまり、二人を無理矢理離婚させるからもう一度息子(晃司)結婚(復縁)して欲しい、という事かしら?」


「そういう事になります」


「……馬鹿げてますわね。勿論、お断りなさったのでしょう?」


「はい、当然です。非常識にも程があると旦那様もお怒りになられ、鈴木家に正式に抗議なさいました」


「ですわよね」



 一応、私にも知らせておいた方が良いというお兄様の判断ですが、聞いた内容の酷さに呆れてしまいましたわ。



「どうやら、あちらの方は『伊集院家の令嬢とよりを戻せば全てが丸く収まる』と考えているようです」


「……収まらないでしょう。どう考えても……」


「それだけ切羽詰まった状況なのです」



 支離滅裂な理由ですわね。

 早川陽向さん一人を悪者に仕立て上げようという算段なのですから。

 確かに不貞相手である彼女の罪がないとはいいません。ですが、どちらかと言うと元夫の方が罪深いと思いますわ。


 既婚者を狙った略奪愛。

 不倫の末の再婚。


 まぁ、なんといいますか……今更、彼女を悪女と罵ったところでどうにもならないでしょう。相手にする者はいませんわ。



「非常識極まりない提案を受け入れる家はいませんでしょうに」


「鈴木会長は『息子の一時の過ち』にしたいようです」


「気の迷いだったと言いたいのかしら?」


「そのようですね」


「随分、ふざけた話ですわ。鈴木様と再び婚姻を結んだところで伊集院家にはメリットはありません。寧ろ、私を利用して評判の回復に走ろうとする意図が嫌でも解りますわ。どれだけ侮辱すれば気が済むのかしら?伊集院家の怒りを買うだけだと分かりそうなものですのに……」


「そこまで考えが及ばないのでしょう。もう後がないのでしょうから」


「恥も外聞もありませんわね」


 全くもって腹立たしい事。

 自分達の為に伊集院家の力を借りようという魂胆ですわね。自分達のやらかしを伊集院家に押し付ける気満々のようですわ。

 なんといいますか、許せませんわね。

 伊集院家は全面的に相手側からの復縁要請を拒否なさいました。

 それでも懲りずに鈴木家は私と元夫が再び夫婦になるように願っているそうですが無視をなさっているらしいですわ。「一からやり直しましょう」と、粘り強い嘆願の手紙を何通も送られてきているようですが無視しているそうです。


 その熱心さを息子夫婦に向けた方が解決策が見つかるのでは?と思ってしまいますわ。

 だって、それくらいにシツコイのですもの。


 私への復縁要請はいつの間にか社交界に知れ渡り、今では息子夫婦だけでなく、会長夫妻も嗤われているようですわ。


 私と再び結婚したところで元夫と鈴木家の『やらかし』は無かった事にはできません。


 その事に早く気付いてくださると良いのですが……まぁ、この調子では無理でしょうね。


 



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