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18.離婚後2


「ええ、桃子さんに旅行の許可を出したのは私ですよ」


 その日の夕食時にお兄様はお母様に私の事を確認なさいました。


「お母さん……」


「そんな責めるような目で見ないで下さいな」


「……何故、許可を出したのですか?」


「いい考えだと思ったからに決まっているでしょう」


「いい考えとは?」


「だって、そうでしょう。今の桃子さんは傷心の身。その心を癒やす為に海外のお友人達の所に行くのは良い気分転換になると思っての事よ。日本にいれば何かと例の方々(元夫たち)の話題が耳に入ってきますでしょう?それに会社関係で鈴木グループ関係者とパーティーで会う可能性は大きいわ。例の方々(元夫たち)は恥を知らないようですからね。きっと何事もなかったかのようにパーティーに参加してくるでしょうしね」


「それは……」


「そんな場所に桃子さんを連れて行けと言うの?こちらに非は全くないけれど、面白おかしく風潮する品性下劣な者達がいるのは事実なのですよ?」


「ですが……お母さん……」


「お父様の許可も取ってあります」


「……はい?」


 あら?お兄様ったら鳩に豆鉄砲の様なお顔をされてますわ。お母様は、クスクスと面白そうに微笑んでいますし。お父様は出張で今はニューヨークでお仕事していらっしゃいます。本当はお母様も行く予定だったのですが、私の離婚が急遽決まったのでお一人で行ってしまわれました。離婚したばかりの私が心配だとおっしゃって下さったのです。


「それにね、桃子さんが傷心旅行に出かけたと知れば例の方々(元夫たち)も少しは考え改めるんじゃないのかしら。自分達の立場を……」


「精神面を攻撃すると?」


「そちらの方が効果的ではないかしら」


「彼らに効きますか?」


「それは分かりません。けれど……、いいですか?あの方々は自分達が絶対だと信じているからこそあの様な()()()()()()()を平然と行えるのです」


「まぁ、そうでしょうね」


「あの方々の常識は世間では通用しません。非常識な者がトップのいる会社など誰が信用してくれますか?」


 あ、お兄様の眉が大きく跳ね上がったのが見えました。


「それに、あの方々が恥を感じないのならこちらが幾らでもそれを教えて差し上げましょう。無知な子供に、自分がどれだけ恥をさらしているかを教えてあげればいいだけなのです。それを恥ずかしい事だと理解するまで教えて差し上げればいいのよ。その方がいい薬になるのではないかしら?」


 うふふ、と笑ってるお母様は楽しそうです。きっとお母様には色々と案があるようですわ。お兄様もそれに気が付いているのでしょう。物凄い表情で聞いています。私としては、お母様にお任せしたらいいと思ってますから気になりません。お兄様が何を心配してるかは分かりませんけどね。





 

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