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12.陽向side

 豪華な結婚式。

 まるで夢の中にいるようだった。

 

 これ全部、晃司が準備してくれんだと思うとそれだけで胸が一杯で、他のことなんて何も考えられなかった!


 ただね、披露宴の様子がおかしい事に気付いた。晃司の様子も変だし、何かあったのかな?

 会場を見渡すと、晃司の友人席には誰もいない。……なんで?式には参列してたよね?

 晃司の友達は私の友達でもある。大学を卒業してから全く会ってなかったから再会できて嬉しかったのに……皆はどこ?


 気になった私はコッソリと晃司に聞いてみた。

 


「ねぇ、晃司。皆はどうしたの?」


「あ、ああ……急な事だったからな。披露宴は参加できないらしい」


「え!そうなの!?」


「……あいつらも忙しい身だからな」


「そっか……残念だな。久しぶりに会えたから話したい事もいっぱいあったのに……」


「陽向は卒業以来だったか」


「うん!社会に出たら全く会わなくなっちゃった。まあ、それも仕方ないのかな?」


「学生じゃないからな。まあ、そのうち奴らにも会うようになるさ」


「そうだね」


 晃司の言葉に納得した。

 結婚式自体が急だったもん。式に参加してくれただけでも十分だよ。

 それに晃司が言ってたように社会人は忙しいもんね。私も結婚式に来て貰おうと思ってた友達と連絡が取れなかったし。いつの間にか連絡番号が変わってたんだよね。教えてくれても良かったのに!でも仕方ないか。皆、それぞれ違う場所で働いてるんだもの。学生の時みたいにいつも会える訳ないもんなぁ。


 学生時代は本当に良かったって、しみじみ思っちゃう。

 今日の式に参加してくれた子達とは特に仲が良かった訳じゃない。大学の時のサークル仲間ってだけで……ハッキリ言って数合わせで呼んだようなものだった。だから、高校の時の生徒会メンバーにまた会えるのが嬉しかった。



「新婚生活が落ち着いたら、あいつ等を家に招待するか」


「晃司?」


「陽向も会いたいだろ?」


「うん!」



 少し淋しい気持ちになったけど、晃司も気遣ってくれたんだと思うと嬉しかったから、笑顔で頷いた。


「晃司!ありがとう!」


 そう言って晃司にギュッと腕を回すと、そのまま優しく頭を撫でてくれた。私は本当に幸せものだなぁ。晃司の様子がまだ少しおかしかったけど、きっと疲れが出たせいだと思った。結婚式を全部準備したんだから。疲れが後からドッと出て来てもおかしくないもん。


 幸せの絶頂にいた私は気付かなかった。


 私達を冷ややかに見つめている存在の多さに――



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